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穏やかな日々

 孤児院は今日、みんなで収穫のお手伝い。

 夕方まで誰もいないから、その間にお願いと言われた。

 全部きれいにしなくていいから、気になったところだけピカピカにしてくれたらということで、今日は厨房を全面的にやることにした。


「うわあ、やりがいがありすぎる台所だわあ」


 とにかく油がこびりついたコンロ部分。

 水垢びっちりの洗い場。

 掃除はされてはいるけれど、長い間についた汚れがばっちり。

 これを一日でなんとかしろと ?


「なんとかしましょう」


 お取り寄せ魔法で色々取り出す。

 ギルマスからは、この世界にはないもの、作れないものはお取り寄せしないように言われている。

 だけど今日は誰もいないんだし、いいんじゃない ?

 と言うことで、取りい出したるは重曹、過炭酸ソーダ、電解水、スチーム掃除機。

 そしてカッパキ。

 まずは汚れがしみ込んだカーテンに過炭酸ソーダ。

 こちらは5時間くらいつけておかなければいけないので、ついでに目についた他の部屋のカーテンも一緒に漬け込んでおく。

 次はスチーム掃除機でコンロの固まった油を温める。

 そのあと洗剤を撒いてしばらく放置。

 その間に厨房の窓をきれいにする。

 続いて床にも洗剤を撒く。

 ちょうどいいところで油のこびり付いたコンロ部分に取り掛かる。

 油が溶かされて柔らかくなっている。

 そこでこびり付いた油の塊をカッパキでこそぎ落としていく。

 おっと、誰かに見られたら困るのでスチーム掃除機は冒険者の袋に収納しておく。

 カッパキは掻っ攫う、剥ぐの意味らしくて、根こそぎ取っていくという感じらしい。

 窓掃除のスクレーパー、グランドの地ならしとかにも使われるらしいけど、私が今使っているのはショッピングモールや空港の床のガムをはがすのに使う金属製のもの。

 固まった油をガンガンはがしていくのが楽しい。?

 ✖️楽しい。

 固まって層になった油はパッカンと気持ちよくはがれる。

 一時間ほどで大きな塊はすべて取れた。

 次はオーブンの中。こちらも中の灰をからにして洗剤をまき、スチームをかけておく。

 洗剤は温めるとその効力が倍加する。

 しばし置くことで洗剤が定着してさらに効く。

 そこで放置していた床に取り掛かる。

 板張りの厨房は油が張り付いて歩くとペタンペタンと音がする。

 G取りのナントカの上を歩いているようだ。

 撒いていた電解水のおかげで軽く拭けばとりあえずは良しとする。

 しつこい水垢には茂〇〇哉。

 我が家でも愛用している。

 普段も使った後はすぐ掃除しているけれど、ちょっと気を抜くと汚れって際限なく溜まっていくのね。

 だから週末になると順番に大掃除している。

 先週はお風呂、今週はトイレ、次の週は換気扇とかね。

 オーブンの中の油の固まりをカッパキで丁寧に取っていく。

 こういう単純作業って色々考えるのにちょうどいい。

 夏にベナンダンティになって今は秋。

 大きな出来事と言ったらピンク一角ウサギの襲来くらいで、とにかく穏やかな日々が続いている。

 これがラノベだったら、チートで無双して ゴブリンやオークの集落を殲滅させて、身分を隠した王子様に惚れられて、おいしいごはんで魔物を従魔にしてって頃だと思うのよ。

 ないないない。

 人間型の魔物はいないから、オークもゴブリンもいない。

 でも、エルフとドワーフいるらしい。

 らしいって言うのは別の大陸に住んでいるらしく、この大陸にはよっぼどのことがないかぎり来ないらしい。

 ただ友好の為に年に一度はお互いに代表団が行き来してはいるとのことで、運が良ければ王都で出会うことが出来るらしい。

 らしいばっかりだけど、しかたない。

 この街は平和だ。

 新人冒険者のチュートリアルで盛り上がってしまえるくらい。

 厨房の掃除はこれくらいでいいだろう。

 お昼のお弁当が済んだら漬け込んでいたカーテンを洗って干そう。

 あとはピ〇ールで真鍮部分を磨いておこう。

 疲れて帰ってくる子供たちにおやつでも作っておこうかな。

 


「やはり王都のギルドは把握していなかったか」

「はい、シジル地区のギルドについて何も知らなかったそうです」


 領主館の一室。

 ギルマスとご老公様が向かい合っている。


「特に犯罪行為が行われている様子もなく、従魔がいるだけで普通に冒険者としてやっているようです。ただ、シジル地区から出て活動している様子がありません」

「まさか無断で出入り口を作っておるのか」


 そうだとしたら、間違いなく摘発対象となる。


「これは婿殿に伝えた方が良いかの」

「領主様にですか。それはさすがに大事になりませんか。宰相閣下にまで上がってしまうとただではすまないでしょう」

「確かにな」


 重苦しい空気が漂う。


「実際に動けるのは春じゃったな」

「ええ、まずはルーの淑女教育。係累の侍従教育。そしてアンシアの侍女教育。王都に移ってシジル地区と関わりのあるエイヴァンとアンシアに動いてもらうのが良いでしょう」


 それまでにルーとアンシアがどれだけ信頼関係を築くことが出来るか。

 春は遠い。

 だがそれまでにやらなければならないことが多すぎる。

 若い者と違い、老齢二人はじっくりと事を進めるよう話し合うのだった。

 

 

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