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ガーデニングには程遠い

 毎日PV数を見てニマニマしています。

 人気作家でもないポッと出の作品を読んで下さる方がいる。

 とっても嬉しいです。し・あ・わ・せ!


 ザクザクザク。


「それにしても二日も寝られないなんて」

「ディードリッヒさんはそのうち眠れるって言ってくれたんだけど」


 ザクザクザク。


「体調はどう? 眠れなくて辛いとかある?」

「それがないのよ。あくびの一つくらい出てもいいとか思わない?」

「不思議だねえ。こちらの体でも疲れたとかお腹がすいたとかあるんだけどね」


 ザクザクザク。

 今アロイスとわたしは、採取のチュートリアルをしています。

 実はこれはチュートリアルの中でもものすごく時間のかかるものです。

 あ、今いるのは東のどん詰まりの墓場。

 チュートリアルの内容は、『墓場で指定された薬草を各十枚集める。それ以外は全部刈り取る』です。

 そして、この墓場、めっちゃ広い。

 一日二日では終わらない。

 最短記録は2週間。最長記録は2か月。

 ここで挫折する不可の皆さんも多いという。特に女性。

 だって一日中お日様の下なんだもん。それを何日も続けたら日焼けするよね。

 ちなみにこの世界には日焼け止めはないそうです。

 そんなわけで私もアロイスも、帽子屋のレイナルドさんのところで大きな麦わら帽子を買ってきた。

 ホームセンターとかで売ってるのと似ているけれど、ちょっと違うのはおしゃれさんなとこ。

 あごの下で紐を結ぶのは同じだけど、まず帽子の頭の部分を幅広の布で覆い、それを左右の穴からだして結ぶ。

 布は好きなものを選べるけれど、良い柄はちょっと割り増し料金がかかる。

 私のはコーラルピンクのフリンジ付き。アロイスはシンプルに無地の青。

 それをあごの下で結ばないで、目から下を隠すように覆って頭の後ろで結ぶ。

 これで日焼け対策は万全だ。

 ザクザクザク。

 薬草を集めるのは私の仕事。アルは黙々と草を刈っている。

 薬草と雑草の違いが判るのだろうか。さすが丙クラスの冒険者だ。


「いや、僕だって違いなんてわからないよ。ただ鑑定の魔法を使っているからね」


 鑑定? 魔法?


「魔法、あるの?!」

「あるよ。鑑定は便利だよ。採取時は特にね」

「私、私も使いたい! 教えて!」

「無理。君、不可だから」


 こちらの世界で生まれた人たちは、生まれつき魔法が使える。

 でもベナンダンティは魔法を知らない世界から来ているから、正式な冒険者になってからきっちり教わるそうだ。

 ちなみにこちら生まれの不可さんも、チュートリアル中は魔法を使っちゃいけないらしい。

 使えばすぐにバレルので、ズルはできない。

 だから採取の間は対番が薬草の周りの草を刈ってあげるんだって。



 ザクザクザク。

 もうどれくらい刈っただろう。

 一番奥から始めて、ようやく一区画が終わったところ。

 刈って採取してなんてやってたらいつ終わるかわからないので、アロイスには薬草の周りの草だけ刈ってもらい、私はそれ以外の雑草を担当する。

 採取なんて最終日にすればいいんだから。

 最後に薬草から葉っぱを集めればいいや。

 ザクザクザク。

 私の草刈りは実は刈っていない。

 雑草って根っこを残しておくとすぐまた復活する。

 だから鎌で掘るように抜いていく。これをやると後にはまっさらな地面だけが残る。

 先ほどからのザクザクは、鎌で地面を掘っている音だ。

 官舎妻のおば様方仕込みの草刈り技術に抜かりはない。

 振り返れば薬草だけがポツポツと生えている。

 

「すげえな。なんだか舗装したみたいだ。採取のチュートリアルも記録更新かもしれねえな」


 振り返ると私を追いかけていたあの大男がいた。


「ごきげんよう。なんなの。また記録阻止なの?」

「このチュートリアルでどうやったら嫌がらせができるかわからん」

「薬草を全部抜いちゃうとか、帽子を奪って日焼けさせるとか」

「・・・そんなみみっちい嫌がらせはしない。ついでに薬草を焼いたり、根っこを使うもの以外を抜くのは違法だ。覚えとけ」


 そういうと大男は私が刈った雑草に手のひらをむける。


「燃えろ」


 すると雑草の山にボッと火がつき、その火が消えた時には地面にはなにも残っていなかった。


「すごい。魔法すごい!」

「そうだろう、そうだろう」

「女の子追いかける以外もできたんだ」

「・・・。おい、飯が食いたきゃその口閉じろ」

「はい、閉じる」

「ルー、あからさま」


 夕五つの鐘が鳴り始める。

 私たちは今日の仕事を終え、ギルドに戻ることにした。

 今日は大男がごちそうしてくれるんだって。

 やった。

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