第9話 決意と準備
朝食を食べ終わり、自分の部屋に1度戻る。
スマホとザック、MINIMIを取って部屋を出る。
階段を下りるとき、声が聞こえた。
思わず足を止める。
「……い、ど……だ」
「は……、ほん……かと」
声からしてケインの様だ、もう帰ってきたのか?
使用人と話している様だ。
幸い、彼から俺は見えていないらしい、隠れて聞き耳を立てる。
「どうだ?エリスの状態は?」
「はい、月経も終わり、今日がその日かと思われます」
「ふむ……では今夜決行だ、既成事実を作ってしまえばエリスは僕のものだ」
や……やばいな……
どうやらケインは今夜エリスに夜這いをかけるらしい。
今飛び出してケインを射殺するか、今夜エリスを連れ出すがしないと……
流石に今ケインを殺すのはまずいな、と思った俺はその場から足早に立ち去り、守衛に声をかけて1度屋敷を出る。
歩いて1km程の場所に川が流れている。
俺はその河原へ下り、MINIMIを置く。
念のため5.56×45mmNATO弾は装填済みだ。
スマホを取り出し、武器を出す。
今日使う事になるであろう武器だ。
照準器を出して、ゼロイン調整を行う。
「よし、これでオッケーかな」
新たに出した武器をザックに仕舞い、MINIMIを取る。
屋敷に戻る途中の道を確認しつつ、屋敷の周りを見回る。
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その日の午後、俺は屋敷へ戻った。
玄関のところにケインが居た。
「よう、部外者」
「何ですか?ケイン様」
一応敬称をつける。
「お前、エリスを狙っている様だが、エリスは僕の婚約者だ、手を出したら殺すぞ」
「はいはい、まだ死にたく無いですから殺される様な事はしやぁしませんよ」
俺がそう返すと、ケインは舌打ちをしてその場を去って行った。
やっぱり今日しかないみたいだな……
そう心の中で呟く。
部屋まで戻る途中、エイミーが1人で居た。
「あ、ヒロトさん」
「エイミー?エリスは?」
「エリス様は今は買い物に行って居ります。別の者が護衛に着いて居るのでご安心を」
なるほど、今はエリスは居ないのか……
「そうだ、エイミー、聞きたい事がある」
そう俺は切り出した。
「エイミーはケインの事をどう思ってるんだ?」
エイミーはその瞬間、顔を顰めた。
「あいつは、エリス様の身体が目的です」
確かにエリスはスタイルが良い、街で初めて見たときも目を奪われていた男は多かった。無論、俺もその1人だった訳だが。
「本当にそれだけか?エリスのご両親とか……」
「はい、エリス様のご両親様は貿易事業で多額の資金があります、あいつとエリス様を結婚させて、更にその名を伸ばし、さらなる経済的成長を狙っていると思われます」
なるほど……
「なぁ、エイミーはエリスと一緒に逃げたいとか思った事はあるか?」
「はい、何度も……しかし私1人では何も……」
「……何も出来ない、なんて事は無いぞ」
「ひ、ヒロトさん⁉︎」
俺はエイミーの手を引き、俺の部屋へと連れてきた。