第88話、商隊護衛の初仕事
ヒロト達は仕事の時と戦闘の時で装備に若干の差異があります。
出発準備の描写が細か過ぎて分からないかと思いますが、楽しんでいただけたらと思います。
「ヒロト、時間だ」
「ん、もうか?」
部屋でゴロゴロしていた俺は、エリスの言葉を聞いて身体を起こした。
午後から予定に遅れが無ければ4日間、商隊護衛の仕事がある。
片道大体2日間かけて、他の傭兵と共に中規模な商隊を護衛する。
「んじゃ、準備と行こう。トイレは行っとけよ?」
「分かってるって」
エリスは苦笑しながらそう言う。
デリカシーがないと思われるかもしれないが、これはかなり重要な事だ。
これから長期の任務になる、食事は賄えるが、排泄は即席か携帯式トイレでどうにかするしかない。
男性隊員なら良いかもしれないが、女性隊員にそれは些か厳しいものがあるだろうと思う。
即席のトイレを作って石灰で臭い消しをするしかない。
前世の様に、サービスエリアやパーキングエリアがある訳ではないのだ。神経質にならざるを得ない。
俺もトイレで用を足し、司令部庁舎の2階へ。
階段のすぐ横にロッカールームがあり、自分のロッカーへ向かう。
「よう、ヒューバート」
「あ、ヒロトさん」
隣にロッカーを持つヒューバートも、既にブーツとコンバットパンツを履いて準備していた。
俺も自分のロッカーを開け、作業服から戦闘服……毎度お馴染みCRYE PRECISIONのコンバットパンツを履いて、ニーパッドの位置を確認。
更にコンバットシャツを被って裾をコンバットパンツの中に入れてベルトを締める。
MERRELL MOAB-MID XCRブーツを履き、紐を締めて編み込みにねじ込んでおく。
CRYE PRECISION ロープロファイルベルトを腰に装着し、VTAC コンバットサスペンダーで肩から吊る事で重量を分散させ、腰への負担を軽くする。
ベルトの左腰前方にはITW FASTmag Gen3……いわゆるFASTマグポーチを取り付け、その後ろにはHSGIのダブルデッカーTACOポーチを取り付ける。
コードによって締めを調整するので森林などでは枝や葉が引っかかる可能性があるが、今回の仕事はその心配は無い。
腰の後ろ側にはダンプポーチと、その上に拳銃用のマガジンポーチを配置。
腰の右側はホルスターを取り付け、その後ろと腰の後ろ右寄りにはM67破片手榴弾を入れたフラグポーチを1つずつ取り付けている。
ホルスターにはいつも通りP226を装備した。
身に付けるのは何時ものJPC2.0、背面はZip-onパネルはMOLLEパネルを選んで組み込まれており、カスタムはされて居ない。
今回は長期の任務でバックパックを背負う事を目的として居るので、珍しく背中は開けていた。
カマーバンド右側後方には5.56/7.62/MBITRポーチ、そこにはAN/PRC-152無線機が入っており、伸ばしたケーブルを邪魔にならない様に纏め、左胸の辺りにPTTスイッチを取り付ける。
PTTスイッチから伸びるケーブルの端子をマイクとCOMTAC M3ヘッドセットに繋げるのだが、マイクはいつも通り咽頭マイクを使う。
普通のマイクよりも小さな声を声帯の振動によって拾い、囁き声でも交信出来る上にマイクが銃声や他の音を拾わないのでクリアに聞こえる。
喉元に少し圧迫感があるのは咽頭マイクを使用しているので仕方がない。
プレートキャリア前面にはCRYEのデタッチャブル・フラップ・M4ポーチに代わり、マガジンをベルクロのついた蓋では無く、同社のバンジーコードで止めるタイプの"フラット"と呼ばれるオープントップのポーチを使い、マガジンを抜きやすくした。
これで携行弾数は弾倉5本+銃に取り付けられた1本、180発となる。
次に武器を手に取る、俺が使うのは主力として配備されているM4A1 MWSだ。
ハンドガード4面のRASと機関部上部にピカティニーレールが取り付けられたモデルで、拡張性が高い。
俺は機関部上部にはTorijicon ACOG TA31ECOSを取り付ける。
近距離及び中距離用のスコープで、集光チューブとトリチウムによりレティクルが発光するスコープだ。
更にその上に小さなダットサイト、RMRを搭載し、近接戦にも対応出来る様にした。
ハンドガードにはAN/PEQ-15 LA-5レーザーサイトを上部の根元部分に、左側にはInsight M3Xフラッシュライトを、下部にはTangoDown BVG-ITIフォアグリップを取り付けてある。
ライトとLA-5のスイッチはデュアルスイッチにしてレールに装備した。
銃口にはKnight's ARMAMENT のQDサプレッサーを取り付けてある。
これは馬は聴力が高く、銃声に驚いてパニックになってしまう事を防ぐ為だ。
移動が主に馬車である事を忘れてはならない、今回は擲弾手も分隊支援火器手も汎用機関銃手も全員減音器を標準装備している。
銃のサイトのゼロインは済んでいる為、銃のセットアップはこれで完了している。
ヘッドセットはまだつけず、首から下げておく。
あと必要な物と言えば、ヘルメットだ。
OPS-COREのFASTマリタイムを使用、これは歩兵第1小隊に支給されているヘルメットで、耳の部分が大きくカットされていて、耳の後ろのレールが4コマあると言うものだ。
左こめかみの部分にヘッドライトを点け、右の耳の後ろにGPS発信器を取り付けてあり、さらに後頭部には赤外線ストロボをベルクロで取り付けた。
前頭部分に取り付けてあるNV用シュラウドを装備し、此処に暗視装置のマウントを取り付ける。
引き出しを開けてWilcox L4G24 NVマウントを取り付けたAN/PVS-31双眼型暗視装置を出し、LBT-2595D 3Dayライトバックパックに取り付けたポーチに入れておく。
出番が来るまでは暗視装置は重りにしかならない、夜までヘルメットが重りになるのは頂けない。
ヘルメットを被り、チンストラップで固定。
M4をスリングで肩に下げ、バックパックに仕込んであるハイドレーションに水を入れた。
後は水筒にも水を入れ、外で水を取れる様に携行浄水装置もバックパックに入れておく。
水の確保は大切だ、戦闘を行わずとも命に関わるからだ。
「お先です」
「おう」
ヒューバートが先に準備が終わり、減音器とELCAN SPECTOR DR倍率切替スコープを装備したM249MINIMI PIPを持って外に出て、地下へと降りて行く。
俺はその姿を見送りつつ、残りの準備や忘れ物が無いかを確認する。
上からヘルメット良し、暗視装置良し、プレキャリ良し、ベルト良し、ライフル良し、拳銃良し、ブーツ良し……あ、グローブ忘れるところだった。
ハンガーパイプにぶら下げてあった、カーボンのナックルガードが特徴でタンカラーのOAKLEYファクトリーパイロットグローブだ。
それを手にとってはめ、準備は完了。今度こそ忘れ物は無い。
後は地下の倉庫で弾薬と弾倉、バッテリーと戦闘糧食を受け取るだけだ。
ロッカーを閉め、鍵と番号でロッカーに二重ロックを掛けて俺も地下へと向かう。
「ヒロトさん」
「ああ、グライムズか」
俺が外に出ようとドアに近づいた時に声を掛けてきたのはグライムズだ。
グライムズも基本的な装備は共通しているがM4に乗せている光学照準器がAimpoint COMP M3で、擲弾手を担当する彼はハンドガード上部のLA-5に加えてアンダーバレルにはFN Mk13EGLMを取り付けている。
更にスリングには、40mm擲弾を保持する為のホルダーがいくつか付いている上に、プレートキャリアのカマーバンド左後方には大き目のユーティリティポーチが取り付けられ、40mm擲弾を収納できる様になっている。
そして彼のバックパックには……
「お前それ好きだなぁ……」
「コーヒー中毒にならなきゃ大丈夫ですよ」
そう言って笑う彼のバックパックからは、自前のミルとドリッパー、細口のドリップポットが下げてある。
因みに軽量化の為ステンレスやアルミで出来ている。
多分、バックパックの中にはペーパーフィルターと豆も入っているだろう。
「まぁ、良いけどな……ゴミを残したりはするなよ?」
「それは当然ですよ、訓練通り、痕跡は残しません」
訓練の時も持ち込んでたのか……通りで痕跡が無いのに微かにコーヒーの匂いがした訳だ……
話しながら、地下の武器及び弾薬管理室へ。
戦闘隊が使用する拳銃から携行対戦車ミサイルまでの武器と弾薬及び予備部品は、地下の武器庫及び弾薬庫で管理され、必要に応じて車輌格納庫や航空機格納庫に直接上げられる。
管理科の隊員に一声かけ弾薬庫を開けてもらうと、5.56×45mmNATO弾と9×19mmパラベラム弾、M4A1とP226の弾倉を受領する。
ライフルの弾倉はもちろんP-MAG……と言いたいところだが、P-MAGは現状数が足りず、即応配備のみとなっているのでSTANAGマガジンを受け取った。
作業台で弾薬を纏めたクリップと器具を用いてSTANAGマガジンに26発を詰める。
26発と中途半端な数を装填したのは、マガジンのスプリングがヘタって給弾不良を起こさないようにする為だ。
弾薬を入れたマガジンはそれぞれのポーチに取りやすい向きに入れてバンジーコードで固定しておいた。
今回は戦闘がメインでは無い為、一度に入れる弾薬は少なめでも良い。
残りはクリップで止めたまま弾薬を弾薬箱に入れておく。
継続して戦闘が行えるように、弾薬箱には600発の5.56×45mmNATO弾を、もう1つの弾薬箱には300発の9×19mmパラベラム弾を、更にM67破砕手榴弾とMK3A2攻撃手榴弾を20発ずつ入れた弾薬箱を準備する。
グライムズはそれに加え40×46mm擲弾の弾薬箱も持つから大変だ。
「あ、ヒロトさん、持ちますよ」
先に準備が終わっていたのか、ブラックバーンと狙撃手のランディが戦闘装備のまま再び地下を訪れた。
「本当か?なら頼む」
「了解です」
2人の言葉に甘え、表面に黄色の文字で"5.56×45mmNATO" "9×19mmNATO" "40×46mm" "Hand Grenade"と書かれたオリーブドラブの弾薬箱を持っていく。
俺達はまだ準備を完全に終えて居ないので助かった。
「遅くなりました」
急いで準備をして来たのだろうか、クリスタとエイミーが地下の武器弾薬管理室を訪れ、準備を始めた。
ブラックバーン達のお陰で弾薬を地上に持っていく手間は省けたので、準備を続ける。
戦闘糧食だ、3〜4日分の糧食を好みによって選び、バックパックに入れる。
一応、ガーディアンで採用しているのは自衛隊でも採用している戦闘糧食Ⅱ型である。
煮込みハンバーグやソーセージカレーなどの4パック程取り、残りは乾パンなどの乾き物を3缶取る。
更に暗視装置や光学照準器に使う電池を予備で幾つか持つ。
それらをバックパックに入れ、準備完了だ。
「グライムズ、終わったか?」
「っと、はい、終わりました」
「んじゃ、行こうか」
「了解」
「エイミー、クリスタ、弾薬箱持っていくぞ?」
「あ、すみません、お願いします」
俺達は準備を終え、エイミーとクリスタの分の弾薬箱を持って地下から地上へ上がる。
車輌格納庫では、73式大型トラックが1輌、護衛のHMMWVとランドローバーSOVが1輌ずつだ。
「初めての長期の仕事だな」
そう声をかけて来たのは健吾、護衛のSOV運転担当で、俺が所属する第1小隊の小隊長だ。
俺より高い戦闘指揮能力を持っているので、適任だ。俺はどちらかと言えば部屋で指揮を執るより、前線で戦いながら指示を出す方が向いている。
「JPCで大丈夫なのか?AVSじゃなくて?」
「初めてだからJPCで不足が無いか調べてみる目的もあるし、JPCは軽いからな。それより、QRFの待機を頼むぞ」
「ああ、分かってる」
分隊が商隊護衛に就いている間、馬車が破壊されたり、弾薬が足りなくなったり、魔物の数が多過ぎるなどの不測の事態に備え、別の分隊が商隊護衛に就いている分隊と同じ編成を組んでローテーションで緊急即応部隊として待機する事になる。
緊急即応部隊は速やかに対応出来る様に新たに召喚した1機のMH-47Gと2機のAH-64Dが待機する。
また、車輌による火力支援要請があった場合にも備え、ピラーニャⅢと16式機動戦闘車、LAV-ATもローテーションで待機に入る。
万全のバックアップ体制を構築した上での仕事となる。
戦闘になった場合、その場で対処出来る物があればその場で片付け、無理ならば必要に応じて支援を呼べばいい。
73式大型トラックやランドローバーSOVには既に弾薬や必要な物資が積み込まれ、準備が終わった隊員が乗り込んでいた。
「お待たせしました」
エイミーとクリスタが準備が終わったのか、トラックに乗り込む。
その後ろから装備を整えたエリスがやって来た。
「忘れ物と残った隊員が居ないかチェックして来た、大丈夫だ」
エリスはそう言いながら乗り込む、俺はエリスの手を取ってトラックの荷台に引き込んだ。
頭の中に入れた名簿と今いる隊員を照らし合わせ、全員の乗車を確認する。
「よし、了解。分隊準備完了、出発しろ」
「了解!」
トラックの運転を担当する小隊本部のリハルトにそう声をかけると、彼はトラックのエンジンを始動させる。
ゲートを抜け、右へ曲がるとそのまま街に続く一本道になる。
基地は丘の上にあり、草原が広がっており、その中を異世界には無い、エンジンを積んだ車輌が走る。
異世界は空気が綺麗だ、車輌は俺達しか使っていないので汚染も無い。
そんな事を思いつつ車の揺れを楽しんでいると、幌にある透明な窓の部分に城門が写り込む。どうやらベルム街に到着した様だ。
何度か警邏を行っている為、自走する車輌に驚くのは行商人や冒険者で、街の人たちは流石に慣れた様で、手まで振ってくる。
俺達は手を振る市民に敬礼を返した。
一度ギルド組合に到着、依頼書と番号の書かれた札を受け取り、依頼主の待つ運送会社へ向かう。
この間大規模改装を行なったらしく、その会社のターミナルは日本のトラックターミナルの様になっていた。
ターミナルには18台の馬車が既に待機している、10台は他の街に荷物を送る為に荷物が積まれ、8台のうち俺達や別の冒険者か傭兵が使うのだろう。
もちろん、馬車の車輪は全てガーディアン製のサスペンションと車軸の付いたタイヤだ。
俺達は幌張りの荷馬車が出入りする入り口からターミナルへと入り、出発を待つ馬車の車列の隣に停車する。
「総員降車!」
そう言いながら俺達は73式大型トラックを降り、トラックとランドローバーSOVに搭載された戦闘継続及び生活用の物資を下ろす。
一人当たり弾薬箱が2.5個、0.5と不自然な数字が混ざるのは手榴弾の弾薬箱が2人で1つ分だからだ。
荷物と隊員達を降ろすと、73式大型トラックと護衛のランドローバーSOV、HMMWVは帰投した。
「君達がガーディアンか?」
俺達を見て声を掛けてきたのは、髭を生やした40代くらいの男性だ。
俺はヘルメットを脱ぎ、グローブを取って敬礼をする。
「ガーディアン団長兼歩兵第1小隊第1分隊、高岡ヒロトです」
「ヒロトさんか、俺はこの商隊の隊長を務めるナグロスだ。よろしく」
ナグロスと名乗った彼は握手を差し出して来た、右手でしっかり握り返す。
体型も程よく筋肉がつき、引越し業者の様な雰囲気を醸し出している。
商隊は他にも8人程がいて、彼らも馬車に残りの荷物を積み込んでいた。
「この間はドラゴンを討伐したと聞いた、期待しているよ。君達が製造した車輪と車軸、緩衝装置のお陰でよりスムーズに大量の荷物を運べる様になった」
「ありがとうございます、我々も今回が初仕事ですので至らない事もあるかと思いますが、よろしくお願いします」
「ははっ、謙虚だな。こっちだ、馬車を案内しよう、来てくれ」
札を渡すとナグロスさんはそう言って笑い、俺達を馬車へ案内する。
「護衛の為の馬車は8台、4台は君達が使ってくれ。残りは他の冒険者が使う」
「分かりました、もう荷物は載せてしまっても?」
「ああ、構わない。出発は30分後だ、そろそろ他の冒険者も来る頃だろう」
「了解しました、総員積み込み作業始め!」
「了解!」
号令と共に隊員達は一斉に動き出す、OD色に塗装され、黄色い文字で入っている弾薬の種類が記された弾薬箱を馬車に積み込んで行く。
「お、もう1チームも来たみたいだ」
ナグロスさんの声に振り向くと、傭兵の集団がターミナルの門に姿を現したところだ。
傭兵の集団から代表らしき人物が前へ出てナグロスさんと対面する。
銀髪長身の男で背中にはサーベルを背負っている。
見た目の年齢は20位だろうか?
「傭兵団"クルセイダーズ"、団長のキルアです、よろしくお願いします」
「依頼主のナグロスだ、よろしく頼む。出発までもう少しだ、各自荷物を積み込んで、出発準備にかかってくれ」
「分かりました、皆荷物を積み込むんだ」
「はい!」
キルアと名乗った男は部下に指示を出すと、俺達に歩み寄って来た。
俺達を一瞥すると、隊員を眺めながら言った。
「クロスボウの様な変わった武器に斑模様の服と鎧と鉄兜、君達がガーディアンかい?代表者は……」
「俺だ」
準備をしていた手を止め名乗りを上げた前に出る。
「傭兵団"クルセイダーズ"団長のキルアだ、よろしく頼むよ」
「ガーディアン団長の高岡ヒロトだ、よろしく頼む」
グローブを取って握手をする、かなりガッチリとした体格で、手にも剣を振るう為マメが硬くなっていた。
「変わった武器を使っているのは噂でも聞いていたし、君達が巡回の時も見た事がある。今回もその武器がどの様に使われるのか、楽しみにさせて貰うよ」
「ああ、分かった。そちらも期待している」
キルアはクスッと笑いながら握手を離す。
その後、ナグロスさんを交えて護衛の配置を話し合う。
「今回の配置なんだが俺達が前衛に着こうと思うんだけど、どうだろう?団の意思疎通の面でも便利だと思うんだけど……」
要は、"クルセイダーズ"を前方に配置させて露払いを、後衛に俺達"ガーディアン"を配置して背後を守ろうという事か。
「……悪くは無いが、前衛後衛で戦力を分断されると、いざとなった時に緊急対応出来なくなる。前衛に俺達のチームの馬車を1台配置させてくれないか?ガーディアンは離れていても意思疎通が出来る道具を持っているから、そちらの情報を後衛に伝えるのにガーディアンを使ってくれてもいいし、後衛の情報は定期的に伝えよう」
「……なるほど、それなら戦力の面でも心配は無いな、頼めるかい?」
「任せろ、ウチからは前衛に3人回します、ナグロスさん、よろしいですか?」
「ああ、構わんよ」
決まりだ。
俺は自分の隊のところに戻ると、複数の隊員に声をかける。
「クリスタ、カイリー、グリッドは前方の馬車に移動だ、クルセイダーズを援護して露払いを頼む」
「了解」
「了解!」
「了解です」
声を掛けられた3人はバックパックを背負い、自らの得物と弾薬箱を持って前方の馬車に移動した。
「時間だ!出発するぞ!」
ナグロスさんが大きな声で呼び掛ける。
既にガーディアンもクルセイダーズも準備は終わっていた、隊員達は割り当てられた馬車に乗り込む。
時刻は午後14:20。
18台の荷馬車は多くの荷物と商人、護衛を乗せ、ターミナルを出発した。
アイデアと書きたい話は湯水の如く浮かんで来るのに文章が荒ぶるこの始末……これがスランプか、恐ろしい……