第8話 朝
朝8時
「………ぅあぁぁ……」
欠伸とともに起き上がる俺。
「やべっ、寝過ごしたか?」
取り敢えず寝間着を脱ぎ、シャツとジーンズに着替えて顔を洗い、髪型を整えて荷物はそのままに部屋を出る。
ダイニングへ向かうと、使用人達が忙しく動いている。
「おはようございます、ヒロト様」
使用人の1人が話しかけてくる。
「おはようございます、って、様付けはよして下さい。勇者様な訳でも無いのに」
使用人は「ふふふ」と笑って受け流す。
「あれ、そう言えばエリスは?」
「おはよう、ヒロト」
ダイニングにエリスの姿が見えないので使用人に聞こうとしたところ、後ろの入り口からエリスとエイミーが入ってきた。
どうやらエリスもちょうど起きてきたところらしい。
「おはようエリス、エイミーさん」
「おはようございます、ヒロト様」
「エイミーさんもか、様付けはよして下さいよ、慣れてないから恥ずかしいです」
「なら、ヒロト様もさん付けせず、呼び捨てで構いませんよ。敬語も不要です」
「そうかですか?」
「ええ」
「じゃあ、そうしよう」
「お願いします、ヒロトさん」
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「ヒロトは今日はどうするんだ?」
朝食の席でエリスが聞いてくる。
「あぁ、そうだな……」
ちなみに、今はケインは居ない。朝方に魔物討伐に出掛けたらしい。
昼頃に帰ってくるとか。
「ちょっと、俺の武器の調整かな」
「そうな、ヒロトは変わった武器を使うもんな。調整は大事だ」
刀も刃を研ぎ、手入れをせねば鈍になってしまう。
銃の手入れは同じ様な事だ、とヒロトは思う。
「すまんな、まだ行くところが決まってないから、図々しいとは思うが、もう一晩泊めてくれないか?代金は支払うから」
「あぁ、構わないよ」
朝食のトーストを食べながら、もう一晩宿泊の許可を得る。