第6話 エイミーとケイン
MINIMIを出したヒロトは街の中で最も森に近いところへ移動、"敵"を待ち構える。
--来たっ!
魔物が見えた、オークとゴブリン計40頭。
ヒロトは近くの茂みに隠れて、全て仕留める為に十分引き付ける。
魔物との距離が50mを切った。
今だ!
茂みから飛び出し、腰だめでフルオート射撃!
数発毎に指を離す"指切りバースト"を繰り返す。
20秒程で200発のベルトリンクを撃ち尽くす、すぐにリロード開始。
リロードの間にも敵は押し寄せて来る。
コッキングレバーを引いてボルトを後退させ、フィード・カバーを開けてベルトリンクを流し込み、カバーを閉める。
再び射撃開始。ストックを肩に当て、しっかり狙う。
ダダダダダダダン!ダダダダダダダン!
5.56×45mmNATO弾の嵐が魔物を襲う。
掃射しつつ前進、魔物の群れとの距離を詰めて行く。
おおよそ1分で400発のベルトリンクを撃ち尽くした。
まだ魔物が残ってるかって?
震えてるゴブリンが3頭居る。
MINIMIを地面に置き、P226を抜く。
さっき逃げ出した奴らなのか、P226を見た瞬間に逃げ出すが、未だ射程内。
パン!パン!パァン!
拳銃弾は真っ直ぐゴブリンの頭に命中し、ゴブリンは骸を晒す。
「……よし」
一応魔物の集団を殲滅し、一安心。
さて、後処理が来る前に帰るかな。
「ヒロト?」
「⁉︎」
振り向くと、エリスと、付き人と思われるもう1人が立っていた。
「エリス、どうしたんだ?」
「どうしたって魔物退治だが……ヒロトは何でここに?」
「え、いや〜何って……魔物退治?」
はぁ〜っと、エリスがため息を吐く。
「大きな音がしたからもしかしたらと思ったんだ……逃げる為の準備じゃ無かったのか?」
「逃げるなんて一言もいってないぜ、俺は」
「しかし強いな……変わった武器だが、これだけの魔物の死体を作り出せるとは……」
「あの……エリス様、この殿方は……」
後ろにいる侍女(?)がエリスに質問する。
「あぁ、さっき話してたヒロトだよ」
「このお方が……ですか?」
「そうだ」
とエリスは俺に向き直る。
「紹介する。エイミー・ハングだ。私の護衛をしてくれている」
「エイミーです」
エイミー・ハングと紹介された金髪ショートの女性がぺこりと頭を下げる。
「おや、エリス、ここに居たか」
誰か割り込んで来た、エリスは瞬間的に表情を硬くする。
エリスが振り向くと如何にも騎士な格好したイケメンが居る。
「ぁ……ケイン……」
ケインと呼ばれた男はエリスの肩を抱き、それをエイミーが睨みつけている。
「心配したよ、無事でよかった」
ケインはエイミーが睨んでいるのにも気付かず、一方エリスは死んだ目をしている。
「イキナリ飛び出していってはダメだよ、危ないんだから。ところで、この魔物の死体の山はどういう事だ?それから彼は誰なんだ?」
「彼はヒロト、私の友人だ」
「ヒロト、高岡ヒロトです。旅人やってます」
一応自己紹介する。
何か嫌味っぽい奴だな……イケメンだからってつけあがってるタイプか。
「エリス、さっきも言ったが、勝手に飛び出して行ってはいけないよ、外は危ないんだから」
ケインはそう言ってエリスの肩に手を置くが
「っ……っ!」
エリスはその手を払いのける。
「エリス様、ヒロト様は旅と戦闘でお疲れの様です。屋敷に泊めて差し上げてはいかがですか?」
エイミーがエリスに提案する。
「あぁ、そうだな。ヒロト、良いか?」
「あぁ、助かる。宿に困ってたところだ」
その時、ケインが俺を睨みつけているのを俺は見逃さなかった。