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第58話 仕事の時間

執務室にはパソコンが複数台繫れ、一時的にコンピュータルームになっていた。

因みにこのパソコンは全て沢村が組み上げた物で、こういった事が趣味だった沢村に頼んでやってもらった。

部品は俺のスマホ能力で召喚出来た為、問題は無い。


現在そのパソコンを使っているのは俺とナツだ。

ナツは自分の能力を使って録音、録画したデータをパソコンに移せるガジェットを繋いでパソコンにデータを移しており、俺はギルドの戦力洗い出しを行っていた。


「?ん〜〜……?」


俺は唸りを上げて椅子にもたれかかる。それを気にしない位にナツは集中している。


……おかしい、1つの町を守備するギルドの戦力としてこれは過剰戦力だ。

この異世界には様々な街や都市が存在し、街毎の守備と言うのも大方決まっている。

ベルム街の様な中規模の街では爵位持ちの統治者の持つ兵とギルド組合で雇った1〜2つのギルドによって守備され、これより小さい町だと統治者がギルドに完全に委託する場合もある。


もっと大きい街や都市、例えばここワーギュランス公領の領都、バルランスでは、公爵の兵によって守備の全てが賄われていたりもする。


因みに地区内会の様に地区によって守備を行っているギルドもあり、あの風俗街はこれにあたる。


それにしても……戦力が明らかに大きい、下手をしたらレムラス伯爵の兵力を上回っているかもしれない。

……なぜだ?


「……ん?」


俺はある事に気付き、その部分を徹底的に調べ始めた。

すると、ある共通点が見える。


「……なるほど……」


原因、特定した。


===========================


作戦決行日、作戦時間30分前、2階のブリーフィングルームにて作戦の再確認を行う。


「首謀者を確実に捕らえる事だ、失敗は許されないぞ。準備にかかれ!」


小隊長である沢村が確認の為の説明をし、解散後は各々準備にかかる。


男子用ロッカー室は階段上って右手、ブリーフィングルームから来れば左手側。

女子用ロッカー室は階段上って左手、ブリーフィングルームから来れば右手側にそれぞれの隊員が入る。


ロッカー室に入ると、自分のロッカーの前へ。

鍵を開け、OD色の作業服を脱いで畳む。

下着も戦闘用の物に穿き替え、マルチカム迷彩の施されたG3コンバットシャツを被り、コンバットパンツを履いてニーパッドの位置を合わせる。

畳んだ作業服はロッカーに入れ、ブーツも戦闘用の物に履き替える。

現在俺の履いているブーツはMERRELL(メレル) MOAB(モアブ)-MIDミッド GTX XCRブーツだが、同じMERRELL(メレル)のソートゥースを履いている隊員も居る。

ソートゥースは、モアブミッドよりも旧式で重さはあるが、踝周囲のホールド感がモアブミッドよりあるのが特徴だ。

第1分隊では、グライムズとヒューバートがこのブーツを履いている。


次にプレートキャリア、現在はLBT-6094AとCRYE(クレイ) PRECISION(プレシジョン) JPC2.0の2種類を支給し、状況に合わせて選ぶ。

今回の作戦ではJPC2.0を選んだ、軽量さが大切になるからだ。


クリップで30発止められた5.56×45mmNATO弾をP-MAGに次々と装填し、並べる。


腹部のAVSデタッチャブル・フラップポーチに3本のP-MAGを入れ、ベルトの左腰に取り付けた5.56/7.62ポーチにも2本の予備マガジンを入れる。

そのマガジンの後ろに取り付けてあるFASTマガジンポーチにもP-MAGを1本入れた、これでマガジンは6本、180発の弾薬を携行することが出来る。

左側カマーバンド・ベルトの後ろ寄りに取り付けたラジオポーチに無線機を入れた。


腰の後ろ側左寄りには空になったマガジンを入れるダンプポーチ、右寄りには2つのフラッグポーチにM67手榴弾を2発突っ込む。


ベルト右側には、俺の場合、SafariLand(サファリランド)6395ホルスターが取り付けられている。

親指でロックを外し拳銃を抜く為、BLACKHAWK!CQCホルスターの様な暴発が起こりにくくなっている。


JPC2.0は背面をジップオンパネルによる拡張が出来、3つのポーチが着いたタイプのパネルが取り付けられている。


背中のポーチにはM81フラッシュバン(スタングレネード)を2発、残りのポーチはユーティリティポーチとして活用。


胸部に取り付けられた2つのピストルマグポーチには装填の完了したP226用予備マガジンを入れ、プレートキャリアとベルトの準備が完了。


プレートキャリアの前面パネルを跳ね上げて身につけ、カマーバンド・ベルトを前面パネルに噛み込ませて固定。


ベルトもバックルを止め、ぴったりになって動きを阻害しない様に調整する。


OPS(オプス)-CORE(コア) FASTバリスティックマリタイムヘルメットを被り、マウントにAN/PVS-31双眼型暗視装置を取りつける。

このPVS-31は、同じ双眼型のPVS-15は両方共跳ね上げるのに対し、片目ずつ跳ね上げることが出来る。

双眼型ながら片目は暗視装置を取り付け、片目は取り付けないという事が出来るのだ。


暗視装置を取り付けたヘルメットを被り武器を手に取る。

アッパーレシーバーをCQB-Rに換装し、照準器の調整も終えたM4A1を取り出し、ハンマーダウンを確認する。

ハンマーが落ちていると引き金が引けず、セレクターレバーがSAFE(セーフティ)に入らないのだ。

取り付けてあるEOTech(イオテック)553ホロサイトやinsight(インサイト) M3Xフラッシュライトの具合を確かめる。


次に手に取ったのは、ガーディアン正式採用拳銃のSIG P226だ。

キチンと作動するかどうか、弾薬が抜けているのを確認して、親指でデコッキングレバーを押す。

カツン、という音と共にハンマーがハーフコックの状態まで落ち、安全な状態になる。

拳銃をホルスターに仕舞い、カチリとロックが掛かればOKだ。


ライフルをスリングで担ぎ、OAKLEY(オークリー)のファクトリーパイロットグローブを嵌めて準備完了、銃に装填する用のマガジンをダンプポーチに入れ外へ出る。

外階段からは直接車輌格納庫や航空機格納庫へと行ける為、男女ロッカー室の外出口はその階段に繋がっている。


車輌格納庫には、既に出撃する車輌部隊が並んでいた。

新たに生産したOD色のM1044 HMMWV(ハンヴィー)6台と、自衛隊で使用している73式大型トラック2台。

第1分隊と第2分隊、第4分隊はトラックとHMMWV(ハンヴィー)に分乗し、第3分隊と小隊本部が車輌を運転する。


それから飛行場で待機しているのは、ナイトストーカーズのMH-6Mリトルバード4機。

リトルバードには狙撃手が2名ずつ乗り、加えて出撃するのが準備を行っているAH-6Mキラーエッグだ。


同じくナイトストーカーズ所属で、MH-6Mと共にOH-6を原型として改良された軽攻撃ヘリコプターである。

武装はM134ミニガン 7.62mmガトリング機関銃が2門と、M260 7連装ランチャーに入ったハイドラ70ロケット弾。


戦闘になった場合、間違いなく市街地戦に突入するだろう。

民間人も暮らす市街地でAH-64Dアパッチを投入すると、間違いなくオーバーキルが発生し、無駄に被害を拡大しかねない。

それを避ける為、軽攻撃ヘリコプターであるAH-6Mを投入するのだ。


「よし、初陣だ。頼んだぞ」


「了解!」


AH-6Mの1番機パイロット、アラン・サイズモアにそう声をかけ、俺達も車輌に乗り込む。

第2分隊はHMMWV(ハンヴィー)に分乗、第1分隊はトラックだ。

幌を張ったトラックの荷台に次々と乗り込む。


梯子に足をかけ、乗った者は奥へ詰める。

俺が荷台に上がる、エリスが最後だ。

手を差し伸べるとエリスはニコリと笑い、俺の手を取って荷台に上がる。


今このトラックに乗った第1分隊の全員はほぼ同じ装備をしている。

強いて言うなら、カスタム上の違いと、担当武器の違いだろう。


SAW手のヒューバートとエイミーも手にしているのはM4A1 CQB-Rだが、いつもの様にM249MINIMI MkⅡも持ち込んでいる。


擲弾手(グレネーダー)のグライムズとアイリーンはM4A1 CQB-Rにはいつものグレネードランチャーを取り付けておらず、別でダネルMGL-140グレネードランチャーを持ち込んでいた。


俺達が出撃している間の基地の守備は、ストライカーMCの重迫分隊と砲兵、手空きのパイロットに任せてある。

砲兵は砲を撃つ訓練の他に、きちんと銃を扱う戦闘訓練も行っている為任せられる。


そろそろ20:30になる、風俗街の活動が活発になる時間だ。

ターレットにブローニングM2重機関銃を乗せたHMMWV(ハンヴィー)を先頭に、コンボイは街に向けて出発した。


足の速いヘリは車輌部隊到着の12分前に出発する手筈になっている。

基地のゲートをくぐり、右折する。


街道へ出ると道のり凹凸もある程度少なくなり、安定して走る。

隣に座るエリスは、しきりに暗視装置とEXPS-3ホロサイトの具合を確かめていた。


その横顔にイタズラでキスしたくなったが、皆の手前だ、我慢我慢……


「?どうしたヒロト」


「い、いや。何でもない」


自分の顔が赤くなっているのがわかる。

やべ、暗視装置で見られでもしたらすげぇ恥ずかしいわ。


「ヒロトさん、顔赤くなってますね」


「⁉︎」


エリスの反対側の隣に座っていたエイミーに見られてバレた……

唇に人差し指を当て、エイミーに「しー」と合図すると、彼女はイタズラっぽく笑った。


そうだよな、エイミーは元々エリスの付き人だったんだもんな……


謎の納得をし、俺は集中力を高めることにした。


===========================


『小隊本部より基地航空隊、航空機及び狙撃班出撃せよ』


『了解、スター41(フォー・ワン)、出撃する』


『了解、ダーター51(ファイブ・ワン)、発進する』


基地から航空隊を発進させる合図があってから、俺達も行動を開始する。


「初弾装填!安全装置確認!」


俺がそう言うと、第1分隊の各員がダンプポーチからマガジンを取り出し、銃に装填。バッファチューブ根本のチャージングハンドルを引いて離し、初弾装填。安全装置をかける。


続いてP226用のマガジンを取り出し、ホルスターから抜いたP226のグリップ下からマガジンを叩き込みスライドを引いて初弾装填し、デコックしてホルスターに戻す。


これでいつでもOK、後は街に到着するのを待つだけだ。


「さて、仕事の時間だ!」

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