第4話 確認
街に入るまで大体1時間くらいだろうか?その間に説明書を読んだ。(歩きスマホは危険なので真似しないで下さい)
どうやら一度出した道具は消す事は出来ないが、同じものを繰り返し出す事が出来る。
また、兵器なら何でも出せるようで、銃や武器弾薬、燃料は勿論の事、戦闘機や航空母艦、弾道ミサイル、核兵器や必要な人員・施設まで出せるのは驚いた。
最も、大規模・大量の兵器を出すにはレベルアップしなければならないらしく、現在はまだロックされている。
一通り見たが、現在出せるのは歩兵携行火器とHMMWVのような車両までだ。
因みに今のステータスは以下の通り。
名前:高岡大翔
レベル:Lv1
服:Tシャツ、ジーンズ
靴:スニーカー
装備:BLACKHAWK! SERPA
腕時計
武器:SIG P226
それと、このスマホは電池が切れないらしい。
ずっと弄っているが、電池が切れるどころか減る様子が無い。
説明書によると、耐衝撃、耐遠心重力、完全防水らしい。
さっきの神様がカスタマイズしてくれたのか?
兵器の操作については、一応現地人も扱えはするらしいが、使い方は自分が教えるか、[伝授]というシステムを使うらしい。
この[伝授]システムを使えば、現地人でも車やヘリなども完璧に操縦出来るという。
俺の銃の腕前はどうなってるのかなぁ……と思い歩みを止める。
周りには誰も居ないよな……?
確認してからホルスターからP226を抜く。
ハンマーを起こし、発砲。
パン!パン!パン!
響く銃声と銃から飛ぶ空薬莢。
木の幹に3つの弾痕。
腕前は前世からあまり変わっていない様だ。
一応マガジンを抜いてスライドを引いて薬室から1発抜く。
抜いた弾丸は抜いたマガジンに入れておく。
満タンになっている予備弾倉をポーチから抜いて弾倉交換。
先程と同じくスライドを引いて1発入れ、デコッキングしてホルスターに仕舞う。
能力その他の確認に戻る。
この世界の言語は神様特典(?)で、日本語が通じる様になっているらしい。
便利だなぁ〜……と思っているうちに街に着いたようだ。
結構立派な城壁だ、これで魔物の侵入を防いでいるのか?
「止まれ、入門検査をする」
城門を警備する兵士に止められる。
不味いな……身分証とか必要なのか……?持ってないぞ……。
取り敢えず、一芝居打つ事にした。
「この身一つで旅をしているものだ、東の小さな名も無い村から来た。身分を証明するものは何も無い。通してくれるか?」
「ふむ……この街に何の用だ?」
「腹が減ったんだ……ここ2日位何も食ってない、通してくれるか?」
兵士は腕を組んで悩む。
「……身分を証明するものが無いのか……名を何という」
「高岡ヒロト、姓は高岡、名はヒロトだ」
「タカオカ、ヒロト……ふむ、ここで通行証を作ったら通れ。もし騒ぎを起こしたら騎士団に連行する」
そう言って2枚の板を渡される。
ペンで2枚に自分の名前を記入する。
兵士は板に何かを記入し、2枚のうち1枚を渡される。
もう1枚は照合か何かに使われるのだろう。
「ありがとう」
「次からこういう事の無いようにな」
街の外周は城壁に囲まれており、中心部に街がある。
その外側に旅人達が宿泊する宿屋がある。
街並みは中世ヨーロッパみたいだな……と思いながら街を散策する。
取り敢えず腹が減った。時計を見ると、もう既に14時を過ぎている。
宿屋街にある旅人向けの食事処に入ると、空いている席へ通された。
メニューを見て迷った挙句、ピラフを注文した。
料理を待つ間にも、この世界の知識を頭に入れておく。
この街は"ルーベルトン"という国の"イサイア"という街らしい。
貴族が治めていて、これといった特徴は無いが、近くに魔物の出る森がある様で、騎士団が防衛に当たっているという。
注文した料理が来たので早速食事をとる。
ピラフはパラパラで、とても美味かった。
腹が膨れた所で金を払って食事処を出る。金は何故か財布に現地貨幣が入っていた。
多分神様が入れてくれたのだろう、本当にありがとう神様。
現地貨幣の価値は
穴開き小銅貨1枚=1円
銅貨1枚=10円
穴開き小銀貨=50円
小銀貨=100円
銀貨=500円
小金貨=1000円
金貨=10000円
といった感じだ。
因みに前世で最後に持っていた金額と同じ金額(6208円)が入っていた。
小金貨6枚、小銀貨2枚と穴開き小銅貨8枚だ。
しばらく雑貨屋や本屋を巡り、そろそろ宿探しをしようかと思ったその時。
カーン!カーン!カーン!
ただ事では無い雰囲気の鐘が鳴り響く。
「魔物の襲撃だ!」
「騎士団を呼べ!」
どうやら城門が魔物に襲撃されているようだ。
市民と一緒に逃げようと思ったが、今俺の手には銃がある。
出来る限り面倒は起こしたく無いが、銃がこの世界に通用するか、丁度いい機会だ。
俺は城門へと走り、戦闘に参加する事にした。