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第33話 襲撃と撤退と

長すぎた為、1話分を2話分割しました。

その為、若干短いと思いますが、ご理解頂ければ幸いです。

本格的な引っ越しの準備に取り掛かった。


まずはレベルアップしたおかげで召喚()せる様になった、CH-47Fチヌークを3機とそのパイロット・ロードマスター・整備士を召喚した。


CH-47F(チヌーク)のお陰で、2輌のHMMWV(ハンヴィー)が吊り下げ輸送出来るし、ベースにある野外炊具2号や野外入浴セット、燃料タンク、浄水装置など重要な装備、各隊員の私物を持って行くことが出来る。


更に人員も増え、MH-60M(ブラックホーク)に乗り切れない人員も、CH-47F(チヌーク)に乗せる事が出来る。


SOV(ランドローバー)は車体が小さく軽い為、MH-60M(ブラックホーク)で吊り下げ輸送する事が可能だ。


ここに置いて行く物は、本部タープと、訓練での為建設(召喚)したラペリング降下用の高さ10mのタワー等だ。

タワーは流石に持って行けない。

各機の整備士には、MH-6M(リトルバード)CH-47F(チヌーク)に乗ってもらう事にしている。


そしてケイン達がここを襲撃する事が予測される為、色々な細工を施した。

陣地にはM224 60mm軽迫撃砲を3門備えてある。

ベースの鉄条網も既に撤収済みだ。


そしてケイン達の襲撃は4日経っても無く、5日目に起こった。


===========================


「"作業"は終わったか?」


「ええ、上々ですよ。それからこれ」


撤退時の"作業"を行っていた第3分隊分隊長のストルッカ・スミスと、第4分隊分隊長のスティール・ラインが、俺にラジオの様な箱を手渡す。その時


「敵襲ーーー!」


見張りについている隊員が叫ぶ。

ケインの襲撃だ。

余程頭に来ているのか、白昼堂々の襲撃だ。


俺は素早く装備を身につけ、ライフルに弾薬を装填する。


「どんな様子だ?」


「あちらです」


見張りについていた第2分隊のライフルマン、ノエル・ブレンジーが指差す方向にACOG TA31スコープを向ける。


「おいおい、冗談キツいぜ」


襲撃に来たのは前衛が魔物、後衛が人の混成団で、上空には2騎の翼竜(ワイバーン)も飛行している。

高倍率の双眼鏡で見ると、翼竜(ワイバーン)の首輪にはボックスカー家の紋章が見える。間違い無く、ケインだ。

しかしエリスの言っていた色違いの翼竜(ワイバーン)が居ない、別の場所で指揮をしているのだろうか。

敵との距離は2km程、数は連隊規模。


「どうしましょう?」


「……とりあえず、車輛をここに並べてM2に弾薬を装填しろ。それから迫撃砲の準備だ」


「了解!」


「ガレント!第2分隊を招集してここの守りを固めろ!」


「了解!」


ガレントは素早く第2分隊の各員に指示を飛ばし、車輛を防衛線に集めさせる。


現時点では、基地から二重の防衛線を構築しており、車両は最も外側の第1防衛線に並べる。


俺は第1分隊を招集し、迫撃砲陣地へと向かった。

迫撃砲陣地は、第1防衛線と第2防衛線の間にある。

第1防衛線から第2防衛線までの距離はおよそ150mだ。


エイミーとヒューバート、グライムズとアイリーン、ブラックバーンとクレイが迫撃砲の射撃に着く。


衛生兵のセレナは負傷者が出た場合の治療を、GPMG(汎用機関銃)ガナーのグリッドは第2分隊へ派遣し火力支援に着く様に命じた。


まだ戦闘に投入出来ない第3分隊は、第4分隊、戦闘支援部と共にヘリへの物資の積み込みと"準備"に掛かっている他、第3分隊でも戦闘に投入出来る数人は反対側の警備について貰う。


そして俺とエリスは本部タープへともどり、長い筒の様な武器を取る。


91式個人携行地対空誘導弾……通称SAM-2Bと呼ばれる、自衛隊採用の携行地対空ミサイルである。

赤外線、TV画像、赤外線画像で誘導される要するに日本版のスティンガーだ。


操作方法は少々複雑だが、エリスには既に教えてある。


「全部隊へ、準備は出来たか?」


『第2分隊、位置に着いた。準備完了』


『第1分隊迫撃砲班、準備完了』


「良し、よく引きつけろ……………」



そして、敵が唸りを上げて、こちらへ走り出した。


「撃て!」


無線にそう叫ぶと、ブローニングM2重機関銃、M240E6汎用機関銃、M249軽機関銃が火を噴き、M226 60mm迫撃砲の砲撃音が聞こえきた。


俺達もSAM-2Bのシーカーの冷却が終わり、ロックオンが可能になる。


翼竜(ワイバーン)にTV画像シーカーでロックオンする。


「エリス、良いか?」


「ああ、いつでも」


ピーピーというピープ音がロックオン完了の音に変わると、俺達は引き金を引いた。


バシュッ!バァァァァァァーーッ!


一瞬のタイムラグの後、ブースターで発射され、空中でロケットモーターに点火。

2発同時に発射されたミサイルは、竜騎兵へと一直線に向かっていく。


驚いた竜騎兵は、急旋回して躱そうとするが、誘導ミサイルと技術のニッポンを舐めるな。


竜騎兵は躱してもまるで生き物の様に着いてくるミサイルが命中、絶望しつつ翼竜(ワイバーン)と共に腸をブチ撒けて墜落した。


「ぃよっしゃぁ!」


俺はエリスとハイタッチ、一片に2騎の翼竜(ワイバーン)を撃墜した事に喜ぶ。


迫撃砲弾は次々と弾着、60mm弾が爆風と金属をばら撒いて敵を圧倒する。

よしんば迫撃砲弾を逃れても、今度は第2分隊の弾幕が魔物を捉えている。

後衛の持つ盾も、銃弾の前には無力だ。


濃密な銃砲撃を浴びせ、ある程度魔物の数が減ったところで迫撃砲の射撃を終える。


「迫撃砲班、撃ち方止め。迫撃砲撤収作業後、第2分隊と防御を交代せよ」


『了解、最終弾発射』


迫撃砲陣地から発射音が聴こえなくなり、暫くすると800m程離れた敵に対しての砲撃の嵐が止む。

俺とエリスは、新たにダネルMGL-140をとり、高性能炸薬弾を装填する。


ダネルMGL-140は、リボルバー式のグレネードランチャーだ。

薬室に6発の40mmグレネードを装填し、シリンダーを回して引き金を引くと、グレネード弾が発射される。

シリンダーを回すのはスプリングの力で薬室が回転する様にだ。


グレネード_____つまり擲弾は、弾種によって軽迫撃砲と同程度の威力・効果を発揮する。


そんな火力を持つグレネードランチャーを持ち、俺とエリスは第2分隊へと合流した。


「ガレント!第2分隊は第1分隊が合流後、分隊支援火器(SAW)手と汎用機関銃手(GPMGガナー)、それから擲弾手(グレネーダー)を残して車両をヘリへ運べ!」


「撤退するのは俺と無線手、ライフルマンだけって事ですね!了解!」


俺は塹壕に身を伏せ、仰角を付けてグレネードランチャーを連続発射する。


ポンッ!ポンッ!ポンッ!ポンッ!


低圧ガス発射システムによるかなり軽い音だが、威力は銃弾とは比較にならない。

第2分隊の擲弾手(グレネーダー)、リチャード・スティングと、ハミルトン・アレクスも車輛から弾薬箱を持ち出し、ポーチからでは無く直接弾薬箱からグレネード弾を取り出し射撃する。


銃声が3分程続くと、迫撃砲を撤収し、CH-47F(チヌーク)に積み込みを終えた第1分隊の各員が弾薬をみっちり抱え第1防衛線にやってきた。


「ヒロトさん!弾薬です!」


「よっし!助かった!」


「弾薬不足も者は順次補給を!」


俺はダネルMGL-140の弾薬が切れ、M4A1のグリップを握る。

チャージング・ハンドルを引いて離し、初弾装填。


ACOGのレティクルの中心に魔物の頭や心臓、人の肩や膝を捉え、セミオートで引き金を引く。


ダン!ダン!ダン!ダン!


エリスも弾切れのMGL-140を1度地面に置き、M4に切り替える。


「車輛撤収!急げ!」


第2分隊の分隊長、ガレントが声を上げ、副官のユーレクとライフルマンのレーナ・レイムリーとノエル・ブレンジーが3台のSOV(ランドローバー)と1台のHMMWV(ハンヴィー) M1044にそれぞれ乗り、ヘリの方へと走って行く。


ブローニングM2重機関銃の銃声が消え、M240の1挺が弾切れで再装填中だ。

弾幕が薄くなる。


敵はチャンスと見たのか、左右から回り込もうとするが


バシッ!ダガン!


「ぐっ!」「ギャァァ!」


戦力化出来たランディとクリスタ、カーンズとバズが左右に展開、狙撃で援護してくれている。


「⁉︎不味い!魔術が来るぞ!」


「塹壕に伏せろッ!」


全員が1度射撃を止め、塹壕に伏せる。

その瞬間、塹壕の手前に火球が命中、土埃を上げる。


「ファイア・ボールだ!」


エリスが叫ぶ。

俺はこの世界の魔術は知らないが、火の玉の連射速度はレバーアクションのライフル並み、真っ直ぐ飛んでくる。

威力はグレネードと殆ど変わらない。


敵との距離はだんだん狭まり、現時点では600mまで詰められている。


「エリス!魔術の最大射程は350mじゃ無いのか⁉︎」


「直射ではな!仰角をつければもっと飛ぶぞ!」


成る程、グレネードランチャーの様に仰角をつけて飛距離を伸ばしてるのか。

俺は喉元の無線スイッチを押し、通信を繋ぐ。


「狙撃チーム、敵魔術師が確認出来るか?」


『こちら狙撃チーム、敵魔術師4名を確認した』


「排除してくれ」


『了解』


狙撃チームが魔術師を始末する間に、俺は弾薬箱から40mmグレネードを取り出し、ダネルMGL-140に装填する。

暫くして、4つの銃声が轟いた。


狙撃チームは特別に用意した900mレンジで訓練を積み重ねているのだ。

600mの距離など彼らは遠距離とは呼ばない。


ランディのM24SWSカスタムの放った

8.58×71mm .338Lapua(ラプア) Mag(マグナム)弾は魔術師の腹部を貫通させて後ろの兵士に突き刺さり、


クリスタはレミントンR11 RSASSの軽いトリガーをダブルタップで7.62×51mmNATO弾を頭に叩き込み、


カーンズがM82A3で狙った魔術師は12.7×99mmNATO弾で上半身と下半身がお別れし、


バスのMk12SPRが放った5.56×45mmMk262弾が魔術師の心臓を的確に破壊する。


『狙撃チームから防衛隊、敵魔術師を排除した。オーバー』


「了解、感謝する。引き続き迂回してくる敵を片付けてくれ。オーバー」


『了解』


「射撃用ー意!撃てェェー!」


狙撃の間に弾薬を補給。一斉に塹壕から身を出し、射撃する。


5.56×45mmNATO弾、7.62×51mmNATO弾、40mm高性能炸薬弾が雨霰と降り注いだ。

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