第31話 ヘリvs竜騎兵
「まさかこんな事になるとはね!」
「ああ、全くだ!」
スーパー65のパイロット、オリバー・ハイネンフェルトと、副パイロットのローランド・アクロスが半笑いで言葉を交わす。
このヘリは特殊作戦用の汎用ヘリだ、攻撃ヘリでは無い、だが、策はある。
「目標、翼竜!射程内、撃て!」
『63roger that!』
「ガンズガンズガンズ!」
左舷のガナー、交戦資格を持った女性整備士のパトリシア・ヒーリーがM134Dミニガンのスイッチを入れ、発射。
それに合わせる様に65に搭乗した狙撃兵バズ・フルートがマークスマンライフル、Mk12 SPRで翼竜の脳天を狙い発砲した。
63のガナーもミニガンを操作し、2本の7.62×51mmNATO弾の奔流が翼竜へと向かって伸びていく。
曳光弾は翼竜に吸い込まれるように命中し_____硬い鱗に弾かれる。
バズが撃った5.56×45mmMk262弾も頭部の鱗に弾かれて火花を散らす。
「クソッ!5.56mmや7.62mmだと効かねェぞ⁉︎」
「ユリシーズ出番よ!キャビンドアの奴を準備して!」
「了解!」
スーパー65右舷のガナー、ユリシーズ・ギブソンが、左舷キャビンドアに据え付けてある火器の準備に入る。
「カーンズ!狙撃だ!バレットなら殺れるかも!」
『了解!』
スーパー63に搭乗していた狙撃兵、カーンズ・マクエルトがバレットM82A3対物ライフルで狙撃を開始した。
ダガン!
ローター音と100m近く離れた距離を飛び越えてM82A3の銃声が聞こえてくる。
ダガン!
ダガン!
ダガン!
4発撃ち、1発目は外れ、残りの3発が命中した。
12.7×99mmNATO弾は翼竜の脇腹の硬い鱗を突き破って内部まで届いた様だ。
翼竜が呻き声を上げる。
「ユリシーズさん!12.7mm弾は有効です!」
「よっしゃ任せろ!どけぇ!」
ユリシーズの準備は終わった様だ。
親指を発射ボタンにかける。
瞬間、スーパー65の左舷キャビンドアから、M134Dとは比較にならない火力が飛び出した。
12.7×99mmの暴風は、無慈悲に翼竜の鱗を貫いていく。
クォォォォァァァアア!
翼竜は悲鳴を上げた。
キャビンドアから火を噴いたのはGAU-19 12.7mmガトリング機関銃だ。
ガトリング機関"銃"としては最大口径の物で、海上保安庁も13mm多銃身機関銃として採用している。
グヴロォォォォォォォォォォォォ‼︎
ミニガンより更に重い銃声が信じられない速さで響き渡り、薬莢が床に落ちる。
「オービット旋回開始!撃ち続けろ!」
スーパー63とスーパー65は翼竜を中心に左旋回を繰り返す。
左側面の全火力を翼竜に叩きつける。
左旋回するのは機長が目標を確認し易いようにだ。
時折翼竜がこちらに火を噴くが、100km/h以上の速度で常に旋回しているMH-60には当たらない。
そしてユリシーズは、炎の火点を頼りに翼竜の頭に照準を合わせ、翼竜は嵐のような掃射を受けた。
12.7×99mmNATO弾は、翼竜の頭を食い破り、ミニガンの7.62×51mmNATO弾は翼竜を操る騎士を粉微塵にし、力尽きた翼竜は地上へと墜落していった。
「ふう……」
ユリシーズは溜息を吐き、GAU-19のグリップから手を離す。
GAU-19の銃身は凄まじい熱を帯び、銃口からは薄っすらと煙が立ち上っていた。
『こちらスーパー65、翼竜を撃墜。帰投する』
『了解』
2機のMH-60Mはゆっくりと旋回し、基地へと機首を向けた。
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ヒロト視点
04:00
ベースへ到着、スーパー63と65からは翼竜撃墜の報告は聞いていたので、遅れて到着するだろう。
バラバラバラバラ……とローター音と吹き下ろし起こしてスーパー61は着陸した。
床下が地面の感触を取り戻すのを確認し、ウォルコット達がエンジンを切る。
確認が取れてからキャビンドアを開ける。
「全員お疲れ様、すぐにデブリーフィングだから、装備を解いて本部に集合な」
「「「はい!」」」
「それからヘリ部隊は整備を、初めての実戦だからおかしな所が無いから要チェックだ、63と65が着いたら教えておいてくれ」
「「「了解」」」
本部タープに戻り、装備を解く。
スマホを確認、っと。
コンバットパンツのポケットからスマホを取り出し、開く。
【翼竜を倒した為レベルが上がりました】
レベル:Lv18
服:CRYE PRECISION G3コンバットシャツ(ブラック)
・"ガーディアン"ワッペン
CRYE PRECISION G3コンバットパンツ(ブラック)
靴:MERRELL MOAB-MID GORE-TEX XCRブーツ DARK TAN
装備:CRYE PRECISION ロープロファイルベルト
・BLACKHAWK!レッグホルスター
・フラッグポーチ×4
・ダンプポーチ
・6×6×3ポーチ
CRYE PRECISION JPC
・MP5用マグポーチ
・ハンドガン・マグポーチ
・サイリュウム×2
・無線機
OPS-COREMICH-2001ハイカットヘルメット
・GPNVG-18複眼型暗視装置
COMTAC M3 ヘッドセット
・咽頭マイク
・骨伝導スピーカー
武器:H&K MP5SD6
・Aimpoint COMP M2
SIG P226
M84スタングレネード×4
・はその装備についているアタッチメントパーツ類
【回転翼機:CH-47Fがアンロックされました】
【装甲車:ピラーニャがアンロックされました】
【ボート:11m級RHIBがアンロックされました】
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おおっ、兵器が結構アンロックされてる。
ピラーニャはまだいらねぇな……これから引っ越しだし、CH-47は要るか、後で出そう。
RHIBは今は1番要らん、付近に川や海は無い。
確認している間に、スーパー63とスーパー65が帰投した様だ。
俺はスマホをしまい、本部タープへ向かった。
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「取り敢えず、皆無事で良かった。作戦は成功だ皆風呂に入って休もう。拉致されてた8人も、風呂に入って汚れを落としてくれ。テントは設営済みだ。作戦に出ていた部隊は寝坊していいぞ、ゆっくり休め。あと筋肉痛になるかもしれないから、良くマッサージしておけよ。以上解散!」
そう言うと、隊員達はゾロゾロと本部タープから出て行く。
エリスにマッサージして貰えたら気持ちいいだろうなぁ……と思ったヒロトだった。
次回、イチャイチャ回です。