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第24話 初めての分隊

週明け、09:10


俺たちは駐車場に居た。


何をしにって?


グライムズとアイリーンの故郷の村を偵察する為だ。

もちろんギルド組合には事前に申請してある。


今の俺たちは完全に戦闘装備で出発準備をしている。

まずは武器、内部も外部もカスタムされたM4A1カービン MWSだ。


例えば俺のM4A1には、フォアグリップにTangoDown(タンゴダウン)のバトルグリップBGV-ITI、照準器にACOG TA31ECOS RMR、サイドレールにinsight M3Xフラッシュライトが取り付けらている。


戦闘服は、CRYE(クレイ) PRECISION(プレシジョン)社製G3コンバットシャツ (ACS)と、同社のG3コンバットパンツ(ACP)

両方ともマルチカム迷彩だ。

コンバットシャツの左腕には"ガーディアン"のワッペンをつけている。

ワッペンは団旗のデザインをそのままに、"守護"を表す盾、と、中心の丸に9×19mmパラベラム弾が描かれている。


携行システムは同じCRYE(クレイ) PRECISION(プレシジョン)社の

J(ジャンパブル)P(プレート)C(キャリア)、軽量で空挺部隊などが良く使用するモデルだ。

元からあるカンガルーポーチには3本のSTANAGマガジンが挿してあり、追加で両脇のMOLLE(モール)カマーバンドベルトに同社の5.56/7.62/MBITRポーチが1つにSTANAGマガジンが2本挿さっている。

これでマガジンは7本+銃に付いている1本で計8本、240発の弾薬が携行可能になる。

側面にマグポーチを着けるのは伏せ撃ち(プローン)を考慮してだ。


背中には折ると化学反応を起こして発光するサイリュウムが2本とラジオポーチに入った無線機がある。


胸部の左右にはMOLLE(モール)拳銃(ハンドガン)マガジンポーチが1つずつ装着してある。

これで拳銃の弾薬は45発、マガジンは合計3本になった。


1st(ファースト)ラインは、CRYE(クレイ) PRECISION(プレシジョン)社製ロープロファイルブラストベルトの両側にフラッグポーチが計4つ、MK3A2攻撃手榴弾とM67破砕手榴弾が2発ずつ入っていて、またベルト背中側は6×6×3ポーチがユーティリティーポーチとして、様々な雑具が収められている。


ズボンに直接通すパンツベルトにはBLACKHAWK!のレッグホルスターが装備され、太ももで固定されている。

ホルスターにはP226が収まっている。

また、パンツベルトの背中側左寄りは、普段は小さく畳んであるダンプポーチが下げてあり、空になったマガジンはここに入れる。

ベルトは薄いサスペンダーで肩から吊って固定されている為、ズボンがズリ落ちる心配は要らない。


ここまではほぼ全員共通の装備だ。


更にここから変わるのは5名。


まず、グライムズとアイリーンは分隊の擲弾手だ。

なので、ロープロファイルブラストベルト左側のポーチはフラッグポーチではなく、6×6×3ポーチである。

高性能炸薬弾が4発、発煙弾が1発。内部の仕切り(インサート)に収まっている。

所持しているM4には、FN Mk13EGLMが取り付けられ、初弾には高性能炸薬弾が装填されている。

しかしその分手榴弾の携行数が、MK3A2とM67各1発と減少している。


分隊(S)支援(A)火器(W)手のエイミーとヒューバートは、MOLLE(モール)カマーバンドベルト左側の9×7×3ポーチに布製200発ベルトマガジンが入っている。

分隊(S)支援(A)火器(W)はM249MINIMI PIP 、機関部上部(レシーバートップ)にピカティニー・レールを装備し、銃床(ストック)がプラスチック固定型になっているタイプだ。光学照準器は調整済みのELCAN(エルカン) SPECTOR(スペクター) DRが搭載されている。

弾倉は布製200発ベルトマガジンを使用し、作動不良(ジャム)が少なくなっている。


教導がなんとかギリギリ間に合った汎用機関銃(GPMG)ガナーのグリッドも分隊(S)支援(A)火器(W)手とほぼ同じ装備をしている。

銃器がM240E6になった以外は照準器含めほぼ変わっていない。


ポーチが多めに装備されているため、JPCの良いところが活かされているんだか殺されているんだか良くわかんなくなっているし、"軽量"が売りのJPCの利点を失っている様にも見えるが、それでも同社CPCなどよりも軽量な上、動きやすそうだ。


分隊のメンバーは以下の通り。


高岡ヒロト 分隊長


エリス・クロイス 副官/無線手


グライムズ・ジューク 擲弾手


アイリーン・バレンツ 擲弾手


セレナ・ホークレーン 衛生兵


エイミー・ハング SAW手


ヒューバート・ハドック SAW手


グリッド・エルストン GPMGガナー


ブラックバーン・マーズ ライフルマン


クレイ・パルディア ライフルマン


以上の10名だ。


「いいか皆、よく聞いてくれ」

準備を終えた俺は皆に向き直る。

「まずわかっていると思うが、撃つ時は周りに気を付けろ、特に射線上に仲間が入らない様にするんだ。それから許可無き発砲は禁ずる。何かあったら相談してくれ、いいな⁉︎」

「「「「「了解!」」」」」


「よし、全員搭乗!」


COMTAC(コムタック) M3ヘッドセットとOPS(オプス)-CORE(コア)のFASTバリスティックハイカットヘルメットを被り、全員が散り散りに決められていた車輛に乗り込む。


俺、エリス、グライムズ、アイリーンの4人はSOV(ランドローバー)に、ヒューバート、エイミー、セレナはターレットにM134Dミニガンが搭載されたHMMWV(ハンヴィー) M998に、ブラックバーン、クレイ、グリッドの3人は、新たに出したHMMWV(ハンヴィー) M1044に乗り込んだ。


このHMMWV(ハンヴィー)は装甲化され、ワイヤーウインチの付いたタイプだ。

上部ターレットにはブローニングM2重機関銃が搭載されている。


「こちらヒロト、各車運転手へ、無線の感度を確認せよ」

『こちらヒューバート、5-9(ファイブ・ナイン)です』

『こちらブラックバーン、よく聞こえます、どうぞ』


「了解、出発する」

俺はSOV(ランドローバー)のアクセルを踏む。

ディーゼルエンジンが応えるように回転数を上げ、ゆっくりと走り出す。


基地の出口に向かうと、3人の男がこちらに敬礼をしていた。

レイ・コールマン

バーナード・ブライアン

マシューズ・デーモン

俺が追加で"召喚"した3人だ。

俺達が出かけている間、留守と教導を頼んだのだ。


俺は敬礼を返し、基地を出る。

山へ向かう道に入ると、グライムズが指示してきた。


「この道を暫くまっすぐです」

「おう、了解」

俺はグライムズの助言と地図の助けを借りながら、SOV(ランドローバー)を走らせた。


===========================


車を走らせてから2時間半、途中で脇道に入りながらグライムズの指示に従い山道を走る。

流石ランドローバー、山道でもなんともない。


後方の車輛も、特に何も問題無い様だ。


「んっ⁉︎」


最初に見つけたのはエリスだった。


「ヒロト、前方に人!距離100!」

「あいよっ!後方車輛へ、停止する!」

『了解!』


後ろのHMMWV(ハンヴィー)に無線を入れ、ブレーキを踏む。


ガリガリ、と、タイヤが地面をグリップする音と共に、急激に車輛が停止した。

後ろの車輛も停止した様だ。


俺は横のラックからM4を引っこ抜き、ACOGで狙いを定める。


見た感じは男の様だ、髪や服は汚れていて、ふらふらと歩いている。


「……ランディ⁉︎」

「え⁉︎嘘っ⁉︎」


同じ様にACOGで観察していたグライムズが驚き、続いてアイリーンも身を乗り出して男を見る。


「知り合いか?2人共」

「え、えぇ。村の友人です、弓矢上手かったんですよ」

「そうなのか?」

「ええ」


グライムズはSOV(ランドローバー)の銃座に乗り出し、男に叫ぶ。


「ランディ⁉︎ランディだろっ⁉︎」


叫ばれた男は、驚いた顔をしてこちらを凝視する。


「ヒロトさん、車寄せて貰えますか?」

「あぁ」


ゆっくりとアクセルを踏み、少しずつ男に近づいて行く。


「ランディ!大丈夫か⁉︎」


グライムズは慌てて車を降り、ランディに駆け寄る。


「グライム……」


ふらっ、とランディはグライムズに倒れ込む。

グライムズはランディを受け止め、声をかける。


「おい!おいっ!ランディ!大丈夫か⁉︎」


俺も車を降り、ランディの様子を確かめると無線を入れる。


「衛生兵!」


HMMWV(ハンヴィー) M998からセレナが降りてくる。


「はいっ!」

「大分衰弱している様だ、頼む」

「了解」


セレナがランディに水筒(キャンティーン)から水を飲ませながら治癒魔術を掛け始める。


「全員、治療が完了するまで周囲を警戒!」

M4の銃床(ストック)の根元にあるT型チャージングハンドルを引いて離し、薬室に初弾を送り込む。


「ううぅ……」


ランディの調子が回復してきた様だ。


「どうだ?セレナ」

「脱水と栄養失調になりかけですね、水を与えて治癒魔術で出来るところまではやりました」


銃にセーフティをかけ、セレナに様子を聞く。


「う…クリスタ…は…?」

「クリスタ?誰だ?」

「そうだ、ヒロトさん。ランディには妹が居ます」

「わかった、グライムズはランディからその妹の居場所を聞き出せ。同じ症状だったらマズイ」

「了解」


グライムズはランディから妹の居場所を聞き出す、どうやら近くに居るらしい。

俺達は車輛に乗り込み、そこを目指した。


===========================


「おおぉ……」

「大きい……!」


指定された場所は、馬鹿でかい木が生えていた。


SOV(ランドローバー)に乗っていて貰ったランディが車を降り、続いてグライムズ、アイリーン、俺が降りて木の側面に回る。

俺は皆に警戒と待機を命じた。


すると、木のくぼみに蔦で編んである梯子が隠されていた。


意味を理解した俺達が上を見上げると、高い木の上にツリーハウスが作ってあった。


「盗賊に村が襲われた時、クリスタと一緒にここに逃げたんだ。ほら、昔皆とここで遊んだの思い出してさ」

「懐かしいなぁ、ここも」

「そうね、もう10年近く前かしら?」


3人が昔話に花を咲かせている。

割り込むのは野暮だろう。


ランディ、グライムズ、アイリーンの順に梯子に足をかけ、登って行く。

俺は登り切るまで下でカバーする事にした。


3人が登ると、俺も登り始める。

足をかけた蔦は全く切れそうに無い。

8人位同時にぶら下がれるんじゃ無いか?と思う程強度があった。


登り切ると、ツリーハウスの中まで蔦でが続いていた。

中にはランディ、グライムズ、アイリーンの他にもう1人の少女が居た。


「っっ⁉︎」


その少女は俺に気づくと、ランディの背中にササッと隠れる。

この子がランディの妹か……。


それに気づいたランディが声をかける。

「すまん、こいつ人見知りなんだ」

「あぁ、気にしないでくれ」


しかし……こんなところで生活していたのか……

中は8畳程の空間があり、5人が座ると少し狭い。


「それで、何しに来たんだ?みんなして」

「村の偵察だ、今どんな状態になってる?」


俺はランディに問いかけた、すると、ランディはみるみる表情を曇らせた。


「……村の住人はほぼ殺されたよ、生き残ったのはこの2人と、俺ら2人、ほか数名だ」

「元々の村の規模は?」

「150人くらいです、敵は300位らしいですね」

グライムズが答える。

少し考え、膝を叩いて立ち上がる。


「よし、行くぞ。2人とも準備しろ」

「え?どこに?」

「村だよ、敵を撃滅し、村から追い出す」

「この人達の武器、凄いのよ?私達も助けられちゃった」

アイリーンが一向に俺と目を合わせようとしないランディの妹に話しかける。


「それに、飯にも困らないぞ?」

「こら、女の子にそんな事言わないの!女の子がご飯に釣られるわけ……」

アイリーンが飯で釣ろうとしたグライムズを叱る、と。


「………ごはん………」


釣れた⁉︎


よほど腹が減っていたらしい。

アイリーンは苦笑いしている。


「よし、下の仲間と合流しよう、降りるぞ」


俺は最初にツリーハウスを降りる。

木の下で待機していたHMMWV(ハンヴィー) M998のセレナに戦闘糧食(レーション)を2人に食べさせてあげるように言った後、作戦を立て始める。


===========================


日が暮れる前にグライムズとアイリーン、ランディとクリスタと一緒に徒歩で村を偵察していた。


エリス始め他の仲間達には安全な場所で休憩を取ってもらっている。


村は谷に存在し、現在俺たちは谷の頂上からその村を見下ろしている。


ランディとクリスタには休んでいて貰おうと思ったが、どうやら目には自信があるらしく、2人して連れて行けと言うので連れてきた。2人は武装はしていない。


ACOGスコープを覗き込み、村を観察する。


「おぉおぉ、まーえらいことになっとる」

「わちゃわちゃしてますね」

「うわぁ……」


「主な魔物はゴブリン、オーク、トロールにコボルトってところか?」

「奥の建物に人居る」

「何処だ?」

「ジュノーの家の3軒隣」


俺は兄妹の会話に驚く。

ここから村までは直線距離で1km以上は離れているはずだ、夕暮れで薄暗くやって来たので、肉眼で見える範囲は限られている。


「……見えるのか?」

「見えます、な?クリスタ」


妹のクリスタはこくりと頷く。


「……凄いな」

小さく呟き、時計を見る。もうすぐ日没だ。

「さ、作戦は明日だ、今日のところは引き上げて休もう」

「了解です」


5人は周囲を警戒しながら、本日の野営地まで戻った。


===========================


今日の夕飯はまた戦闘糧食(レーション)だ。

と言っても、カロリーメイトの様な乾燥物では無く、レトルトの食品だ。


袋に着いているタブを引き抜き、中の食塩水の袋を破いて温める。


20分で今日の夕飯、レトルト煮込みハンバーグの完成だ。

同じくレトルトのご飯と一緒に食べる。


「味が濃いな」

「戦闘食だからな」

「美味い」

「美味しいです」

「どうだ?美味いかクリスタ?」

「うん」


ランディとクリスタもガツガツ食べている。

2人の口に合ったようで安心した。


不足している栄養分はタブレットで補う事にしている。

前世の震災で災害派遣に出た自衛官の間にビタミン不足による口内炎が蔓延した為、急遽ビタミン剤が配布されたという話を参考にした。

あまり良くない事だとは思うが、仕方がない。


夕飯が終わると、2人ずつ交代で見張りを決め、早々に就寝準備をする。

時計を見ると、既に21時半を回っている。

最初の見張りはグライムズとアイリーンだ。


テントを幾つか設営し、大体2人で一つのテントで眠る。

俺とエリスのテントは急に行動を共にする事となったランディとクリスタに貸してしまっている為、俺たちはM998 HMMWVの中で早々に眠りについた。


==================================


夜中、グライムズとアイリーンに起こされる。

「ヒロトさん、起きてください。見張り交代です」

「……ぅあぁ〜今何時だ?」

グライムズは時計を確認。

「1時です」

「あぁ、わかった。エリス起きて、見張りの時間だよ」


エリスを起こし、装備を整える。

HMMWV(ハンヴィー)を降り、周囲をライトで照らしながら見回す。

見える範囲に敵は居ない。

エリスも戦闘装備でHMMWV(ハンヴィー)から降りてきた。


「ヒロトさん、よろしくお願いします」

「おやすみなさい」

「あぁ、おやすみ」

グライムズとアイリーンは装備を解除してテントへ潜り込み、俺達2人は睡魔と戦いながら見張り番に就いた。


眠気を我慢し、見張り番につくエリスが可愛いと思ったのは内緒だ。

なんか戦闘装備がクレイ・プレシジョンばかりに……

プレートキャリアをLBT-6094に変えるのもありかな……?

でもやはり軽量で動きやすいJPCは捨てがたい……


あ、個人装備は結構こだわる方です、多分(笑)

わからなかったらごめんなさいm(_ _)m

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[良い点] 装備を見て一言「パーフェクトだ、作者」
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