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第22話 人員回収

※視点変更注意です。

2日後、17:50


ガレント達がHMMWV(ハンヴィー)の前で出発準備をしている。

準備期間中に照準器の調整をしてある為、ガレントとスニッドのM4A1にはACOG TA31 ECOS RMRが機関部上部(レシーバートップ)に装備され、エイミーのMINIMIにはELCAN(エルカン) SPECTOR(スペクター) DRが載っている。


3人ともCRYE(クレイ) PRECISION(プレシジョン)社製のマルチカム迷彩を施したG3コンバットシャツ (ACS)と、同社のG3コンバットパンツ(ACP)を身に纏い、J(ジャンパブル)P(プレート)C(キャリア)を身につけ、カンガルーポーチにはSTANAGマガジンが3本入っている。


これが俺たちの戦闘装備だ。


「それじゃ、頼む」

「お任せください」

そう言って3人はHMMWV(ハンヴィー)に乗り込み、走り出した。


「ヒロトさん」

後ろから声がかかる。

「どうした?グライムズ」

声の主はグライムズ・ジューク。

街で助けてから、このギルドに加入したうちの1人だ。


グライムズ達をガレント達に紹介したところ、


『おっ!言ってた新入りか?よろしく!』

『よろしくね!一緒に頑張ろう!』

『初めまして!これからよろしくね!』


順に、ガレント、エイミー、スニッドと、なかなか好感触だった。


「アイリーンはまだ訓練か?」

「ええ」

「結構筋いいですよ、コイツ」

グライムズの後ろから声をかけたのは、グライムズの教導を担当して貰っているユーレクだ。

因みにもう1人、アイリーンの教導を担当しているのがエリスだ。


「的にも外さなくなって来ましたし、ライフルも拳銃も安全対策はしっかりしてる。グレネードのリロードも速いですから、もう少しで実戦投入出来るでしょうね」

「そうか、ありがとうユーレク」

「いえいえ、自分達に出来ることがあれば何でも言ってください」

「頼りにしてるぞ、2人とも」

「ヒロトさん、ユーレクさん。コーヒー飲みますか?」

「ああ、頼む」


グライムズはコーヒーを淹れるのが上手い。

自分で飲むのも好きで、初めて会ったときも一口で豆を当てて見せたのをよく覚えている。

今挽いている豆は、俺が初めてグライムズに振る舞った時の"スターダスト・コーヒー"だ。


「全ては挽き方で決まるんです、細か過ぎても粗過ぎてもダメ。これは1つの美術品(アート)だと思うんです」

「「お、おぅ」」


ここでそのセリフを聞けるとは……

ミルで挽いた豆をフィルターに入れ、蒸らす。

グライムズは、うん、と一度頷き、お湯を淹れ始める。


「どうぞ、お2人とも」

「ありがとう」「頂きます」


飲んでみる

……美味い。

俺が自分で淹れるのとは大違いだ。


「美味いな、お前のコーヒー」

「どうもありがとうございます」

グライムズは返事をしつつ、自分に淹れた分も飲んでいる。


俺は飲みながら思案する。

ここへ来て気になり始めた事が幾つかある。

まず1つ、ケイン派の事だ。

あれだけ屋敷の使用人がごっそり減れば、流石に気付くだろう。

追っ手をつけられ、3人どころかこっちの全員が攻撃される可能性が高い。

そのうち戦力強化でヘリ使って迎えに行くかな……

それにリンカーならイサイアまで約50kmしか離れていない。拠点としては近過ぎる為、ここが襲撃される危険性もある、もしかしたらここを放棄して引っ越すかもしれない。


2つ目、グライムズ達の村の事だ。

山賊に襲撃されたという事で、ギルド組合の仕事にも上がってきているが、その山賊がかなり強いらしい。

何でも(かしら)が魔物を使役するらしく、通常の冒険者や傭兵、ギルドはおろか、正規軍でも互角に渡り合えると言う。

規模は人間20人、魔物300体。

これ位ならまぁ、何とかなるか……な?

いやいや死亡フラグ立ててどうすんだ。


「グライムズ」

俺はグライムズに声をかける。

「はい?」

「……来週、お前の村を偵察に行く。案内してくれ」

「本当ですか⁉︎わかりました‼︎」


さ、待つのも仕事のうちだ、今の内に追加のM4を召喚しておくか。


===========================


ガレント視点


前回と同じ、3時間ほどでケインの屋敷の近くに到着。


偽装を施し、隠れ家へ向かう。

俺たちの握っているM4A1には、新たに照準器が載っている。


監視されていないか注意しつつ、隠れ家のドアを開ける。


廊下を進み、角を曲がり、ドアを開ける。

部屋の中には、ストルッカ他6名の男女が居た。


「待たせた、直ぐに出発する。荷物を纏めて付いて来い」

「了解」「わかりました」


エリス派は孤児院からエリス様の両親が引き取った身寄りの無い者達で構成されていた為、荷物はザック1つやショルターバッグ1つ等少ない者が多かった。

また、エリス様への忠誠心も高く、メンバー間の仲も良好。裏切られる可能性は限りなくゼロに近い。

俺がヒロトさん達にエリス派を推薦したのはその為だ。


スニッドとエイミーが殿を務め、警戒しながら隠れ家を出る。


最初の曲がり角、クリア。


次の角、クリア。


その奥、クリア。


ストルッカ達を連れ、HMMWV(ハンヴィー)まで走る。


町の外れにある茂みの1つに偽装して隠してあるHMMWVに到着。


俺は運転席、エイミーは助手席へ。

スニッドは後部座席に回り、後部のハッチを開く。


「ここから乗ってください!」

スニッドが声をかけ、7名が乗り始める。


7人乗ると結構キツイな、HMMWV(ハンヴィー)も……


バン!とスニッドが後ろのハッチを閉めた音がした。


「全員乗りました!OKです!」

「よし!シッカリ掴まって!出発!」


アクセルを踏み、HMMWV(ハンヴィー)は走り出す。


=================================


HMMWV(ハンヴィー)を走らせながら、ケイン派の襲撃を警戒する。


ディーゼルエンジンの音を乗り越え、隣のエイミーが話しかけて来る。


「ヒロトさん、何者なんだろうね」


やっぱり、感じてたのは俺だけじゃないんだな。


「16年生きてきたけど、こんな乗り物初めてだよ」

「俺も20年生きてきて初めてだ、それにこの武器……アサルトライフルも、見た事も聞いた事もない。まるで……別の世界から来たみたいだ」

「……なるほど、納得出来るわね」


俺が今まで戦闘で見てきた中で最も強力な物は魔術だ、俺自身もレベル3の魔術師だし、騎士団だったから腕に覚えはある。


だが、ヒロトさんや仲間に配られているこの"ライフル銃"という武器は、物によるが射程距離が1kmを超える"ライフル銃"もあるという。


弓矢の射程距離は、一流の弓使いで120m、クロスボウでも仰角射撃で200m、魔術だと、最も射程距離が長い術で350m程しかない。


しかも、魔術は使用すると魔力の流れで使用を悟られる為、暗殺等隠密性が必要とされる作戦には向かない。


しかし、この"ライフル銃"は、魔力の流れを全く感じさせず、指先一つで生物を殺傷する事が出来る。

しかも、俺たちの持つこのライフルだと500〜650m、ヒロトさんの言う"射程距離の長いライフル銃"だと、約1km先から、だ。

威力も驚異的だ。

あの拳銃(ハンドガン)という武器は、ヒロトさんの持つ武器の中では最も威力の弱い類に入るという。

強いものだとどのくらいになるのか、想像もつかない。


それに、ヒロトさんの射撃の腕。

実際に教会での戦闘では、ヒロトさんは約15m先のケインの肩に2発、正確に当てていた。


多分、あれは外れたんじゃない、ワザと外したんだ。

ヒロトさんの射撃を初めて見た時、彼は30m先の直径20cm程の的の中心に命中させていた。

彼の腕なら、ケインの頭を吹き飛ばす事など容易いに違いない。

だから、ワザと外したと推測した。

ワザと外す程腕に自信と余裕があったんだ。


彼の持つ武器の強力さ、彼の射撃の腕前。

この2つを改めて認識し、背筋が凍った。

しかし、敵に回したのでは無いので、それが心から良かったと思える。

ヒロトさんのギルドには俺たちが忠誠を誓うエリス様もいるし、共に忠誠を誓った仲間もいる。

それに、エリス様を救出する時、ケインの計画を聞かされ、腸が煮えくりかえったが、多分俺一人じゃ何も出来なかっただろう。

ヒロトさんとエリス様に一生付いていく、そう誓った。


いろいろ考え、最初のポイントを左に曲がる。


旅はまだまだ、始まったばかりだ。


===========================


ヒロト視点


「ようこそ、"ガーディアン"の拠点へ」


ガレント達のHMMWV(ハンヴィー)が基地に到着したのは深夜になってからだ。


「皆夜遅くにお疲れ様。新隊員の確認は明日するから、その時にまたよろしく」


「は、はい。よろしくお願いします」


皆と握手すると、それぞれ設営が済んでいるテントに潜り込む。


「ガレント達もお疲れ、どうだった?」


「上手く行きましたよ。ヤツらにもバレて無いと思いますし、追撃も無くスムーズに行きましたね」

「なるほど、ありがとう。また2日後に行ってもらうから、今日のところは休んでくれ」

「はい」


ガレントとスニッド、エイミーも自分のテントに戻る。


3人には大分無理して頑張って貰ってる気がする、俺がのうのうと楽している訳にもいかない。

俺はまだ書類整理がある、もう少し頑張ってから寝るか……


俺は夜中まで書類と格闘を続けた。

暫くは書類仕事が続くヒロト君。

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