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第2話 神の部屋

次に目を覚ました時に視界に入ったのは知らない天井だった。

ありきたりな表現だが、それがぴったりの部屋に居た。

腹筋に力を入れてムクリと起き上がる。部屋はごく普通の1LDK、窓の外の風景は何故か夜空しかみえない。


「目を覚ましたみたいだね」


後ろから声がしたので振り返る。

初老で白い髭を生やした男性、この部屋の主人だろうか。

誰だこのおっさん?俺を助けてくれた人か?


「おっさんとはご挨拶だなぁ、これでも若い方なんだけど」


……勝手に心を読まないで頂きたい。


「助けて下さったのですか?」


心は読めるとは思うが、口に出してその男に問い掛ける。


「助けたかどうかは微妙なところだね、君は既に死んだよ」


やっぱりかぁ……


「君が今居るここは神の部屋だ」


……やっぱりかぁ……


二重で納得。

刺された感覚はまだ胸に残っているし、周りの人気のなさから救急車を直ぐに呼ばれたとは思いにくい。あいつらがナイフを持っていたという事は、元から強盗でもするつもりだったのだろうか。


そしてもう2つ、死後の世界が1LDKとは如何なものか。普通なら遺跡の中みたいな見た目だったり、遠くに山が見える草原だったりしないのかよ……そこは少し残念。


あと、こいつは神の部屋と言ったという事は、この部屋にいるこの男は神なのだろうか。

……随分温和そうな見た目をしているな、どこにでもいそうなパッとしない俺なんかと違う。


「俺の元いた世界は?どうなるんです?俺戻れるんですか?」


「残念ながら、君は戻ることは出来ない。君が元いた世界は君が居ない世界を再構築中だ」


なるほど、どうやらそういう事らしい。

俺はあの世界で生まれなかった事になり、弟も一人っ子になるだろう、寂しくはしないだろうか、それが心配だった。


「あのヤンキーどもは皆殺しにしておいたよ、腹立ったから。地獄への強制労働コースでね」


うわぁ温和そうな顔でえげつない事すんなぁ……


「んで、君には転生してもらおうと思うんだけど、いいかな?」


少し前から、異世界転生チート物語みたいなジャンルがネット小説で流行り始めた。その1種だろうか。


「うん、まぁそんな感じ。君は今17歳って事になってる、肉体も精神もね」


ワオ、ちょっと若返ってるって事っすか。運動神経も当時のまま、という事はそれなりに身体を動かす事も出来るだろう。


「スマホは直してポケットだから、色んな武器とか道具はそこから出してね、基本情報もそこに詰まってるから無くさないでね」


「何故に武器を?」


「だって君、ミリヲタでしょ?」


あぁ、それはありがたい。俺はミリタリーが大好きだ。それは神にも分かるらしい。

銃はグアムやラスベガスで撃った事があるからまぁ扱いは分かるし、他にも扱いの分かる兵器もいろいろあるから便利かもしれない。


「あぁ、はい。助けて下さってありがとうございます!」


一応礼を言うと神様(?)は少し微笑み、指を振る。


「死なない様に頑張ってね!それじゃ、いってらっしゃい!」


「あ!ちょっとま……」


神様がそういった直後、バンッと床に大きな穴が空いた。


まるで細か過ぎて伝わらないモノマネ選手権のように、俺の第2の人生が始まった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 25歳で動けない人間なら17歳になっても動けない気がする。 アスリートに求められるようなパフォーマンスならともかく、一般的な範囲での肉体的パフォーマンスが明らかに落ちてくるのって健常者なら4…
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