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第19話 カップル

あけましておめでとうございます!

今年も私 中井 修平と、「ミリヲタ」、「別世界の現代戦」をよろしくお願いします!


では、今年1発目の更新、どうぞお楽しみください!

路地へ入り、一つ目の角を曲がる。

その奥の暗がりに人の気配がした。


「何だと思う?」

「何って……アレだろう」

「だよなぁ……」


そっと覗いてみると、カップルが絡まれていた。


彼女と思われる女は、不良の様な奴らに地面に倒され、足を開かれている。

彼氏と思われる男は、不良共に羽交い締めにされている。


抵抗する様子があるが、不良の中にレスラーみたいな図体の奴が居て振りほどけない様だ。

彼氏彼女共に年齢は16〜7歳といったところか。


俺たちは一旦隠れ、エリスに聞く。


「助ける?」

「当たり前だ」


愚問だった、助けない訳が無い。

作戦を伝える。


「エリスは突入したら、カップルを連れてSOV(ランドローバー)まで走ってくれ。俺が殿を務める」

「いや、殿(それ)は私がやる」


エリスに引き止められた。


「ヒロトがSOV(ランドローバー)まで2人を連れていって、私が殿を」

「大丈夫か?」

「私は元騎士団だぞ?大丈夫だ、信じて任せてくれ」


エリスは真っ直ぐな瞳で俺を見つめる。

さっきまでの可愛い笑顔は一変、凛々しい顔になっている。


「……分かった、でも危なくなったら代わる。無理はするな」

「まったく、心配性だな。ヒロトは」


エリスはふっと笑う。


「じゃ、行くぞ」


3……2……1……


GO!


俺とエリスはバッと角を飛び出し、賊共に銃口を向けて走る。


「何をしているかぁっ‼︎」


女性の足を開いていた奴がこっちを向いた瞬間、KRISS(クリス) Vector(ヴェクター)のフラッシュライトのスイッチを入れた。


800lm(ルーメン)の光がそいつの目を潰し、俺はそいつに向かって飛び蹴りを放つ。


ゴッ!


鈍い音と共に歪む顔、吹き飛ぶそいつ。


エリスは女性を押さえつけていた奴を銃床(ストック)で殴り飛ばし、女性から離す


俺は転がったそいつの肩に、エリスは殴り飛ばした奴の胸にそれぞれ銃口を押し付け、引き金を引く。


パン!

ドバァン!


2つの銃声。


「ギャァアアァァアァア!」


悲鳴が上がり、肩を押さえつけてのたうち回る。

エリスが撃った奴は、既に気絶している。

まぁ、ショットガンをあの距離で撃たれればね……非致死性のゴム弾とは言え、肋骨粉々だろうなぁ。


「その位、治癒魔術師に直してもらえ!」


次に狙いを着けたのは彼氏を押さえつけて殴ってる奴、3人。


俺はセレクターを2点バーストにセットし、左にいる奴から順に肩と足を撃ち抜く。


ダダン!ダダン!ダダン!


全員が呻き声を上げながら倒れ、彼氏から離れる。

KRISS(クリス) Vector(ヴェクター)はsuperV反動吸収システムの為、かなり撃ちやすい。


エリスは見張りについていた奴に発砲し、片付ける。


『何だ⁉︎』

『こっちか⁉︎』


「ちっ、気付いたか」

やっぱり仲間が居たか。


「エリス!援護してくれ!」

「分かった!」


背中をエリスに任せ、俺は女性に駆け寄る。


「大丈夫か?立てるか?」

「う、は、はい、大丈夫です。立てます」

「良かった、少し待ってくれ」


もしかしたらもう手遅れかと思ったが、強姦された形跡は無い。

それでまず一つ安堵する。


俺は女性の無事を確認し、今度は彼氏を確認しする。


「君は大丈夫か?歩けるか?」

「あ、はい、歩けます」

「これからここを脱出する、君は彼女の手を離すなよ」

「は、はい!」


彼はだいぶサンドバッグ状態になっていて顔が腫れていたが、無事な模様。

力強く返事をし、彼女の手を握る。

逞しいな、と思いエリスに声を投げる。


SOV(ランドローバー)まで案内する!殿を頼む!」

「了解!」


俺はエリスの了解を得、路地を奥へと走り出す。

この路地をどう抜ければ街の外に出られるかわかるからだ。

チラリと背後を振り返ると、エリスが走って着いてきているのが見える。


そのエリスに暴漢が襲い掛かるが、銃床(ストック)で受け流し、脇腹に一発。

ショットガンの銃身を掴んだ暴漢は、そのままエリスに壁に叩きつけられてナニを蹴られ撃沈する。


強いな、エリス……


俺はエリスに背後を任せ、路地を走り抜けた。


=================================


「こっちだ!」

追っ手を振り切ったヒロト達は街を出て、SOVランドローバーが隠してある茂みまで走った。

しっかりエリスも付いてきている。


SOVランドローバーに到着。

カップルには狭いけど、後部座席で我慢してもらうしかない。

エリスはもう慣れているので、後部座席に飛び乗る。


俺も運転席に乗り込みキーを挿し、エンジンをかける。


「掴まってろ!出発!」


SOVランドローバーは走り出した。


暫く走り、彼が口を開く。


「助けて下さってありがとうございます」

「良いんだよ、たまたま通りかかっただけだからね」


もし通りかかったのが俺たちじゃなくて普通の人だったら、面倒な事に巻き込まれるのを嫌って我関(われかん)せずだっただろう。


「自分はグライムズと言います」

「私はアイリーンです」

「俺はヒロト、高岡ヒロト。よろしく」

「私はエリス・クロイス、よろしく」

「じゃあ、グライムズ、アイリーン。一回俺たちの拠点に戻るよ、グライムズはそこで怪我の手当てをしよう。それから君達の状況を詳しく聞かせて欲しい」

「あ、はい」


2人は顔を見合わせ、頷く。

2人の了承を得て、SOVランドローバーは基地を目指した。


================================


林道を抜けると、開けた場所に出る。

人工的に作られた光がテントやタープを照らし、テーブルの上には弾薬箱が並んでいる。

俺達の基地だ。


基地に近づくにつれ、音が聞こえてきた。


ダァーン!

ダァーン!

ダァーン!


「……銃声……?」


エリスが怪訝そうに基地を見、助手席のM240汎用機関銃を掴む。


「大丈夫だ、音からして戦闘じゃ無い」

「そうか……」


エリスは安堵し、機関銃から手を離す。

多分、居残り組が自主練でもしているんだろう。

俺はSOVランドローバーを駐車場に入れる。


「着いたよ、降りて」


グライムズとアイリーンをSOVランドローバーから降ろし、本部タープへ連れて行く。


「ただいまー」

「お帰りなさい!」


本部タープの下に居たのはユーレクだった。


「クレイとブラックバーンとセレナは?自主練か?」

「ええ、射撃場に居ますよ。そちらの2人は?」

「街で助けて来た、暫く預かるかもしれん」


グライムズが口を開く。


「グライムズです、よろしくお願いします」


ユーレクがグライムズに向き直る。


「おいおいその顔どうした兄ちゃん、殴られたか?」

「えぇ、まぁ」

「襲われてたんだ、助けた。セレナを呼んで治療してもらう」

「彼女守ってか、カッコいいじゃねぇの」


ユーレクは笑ってグライムズと話す。

ユーレクの言葉には皮肉や揶揄からかいは無く、グライムズも反感を覚えていない様だ。


俺はタープを出て射撃場に向かう。


「セレナ居るか?」

「あ、ヒロトさん、お帰りなさい」


1番手前のブラックバーンが俺に気づく。


「自主練か?」

「ええ、俺はヒロトさん程上手くありませんから。セレナなら1番奥のレーンです」

「ありがとう」

言われた通り、1番奥のレーンで金髪ショートのエルフが拳銃の射撃訓練をしている。


奥まで行き、セレナの肩を叩く。


「セレナ、ちょっと良いか?」

「あ、お帰りなさい。大丈夫ですよ」

「治療して欲しい人が居る、来てくれ」

「分かりました」


セレナは頷き、拳銃にセーフティを掛けてホルスターに仕舞う。

射撃台に置いてあるM4を取り、マガジンを外してセーフティを確認、スリングで肩に掛けて一緒に本部タープへ戻った。

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