第18話 ガーディアン
リンカーの街に到着、近くの茂みにSOVを隠し、街へ入る。
俺とエリスの服装はODカラーの作業服だ。
一応武装はしており、俺はEOTechのEXPS-3ホロサイトと右サイドのレールにフラッシュライトが装備してあるKRISS Vector SMG、左腰に予備マガジンの3連ポーチが下げてある。
エリスは非致死性のゴム弾が装填してあるM870ショットガンだ。
ストックに同じくゴム弾が、スリングのシェルベルトにはOOバックのシェルが入っている。
KRISS Vectorは基地から、M870はSOVから持ってきた物だ。
レッグホルスターにはP226が入っているのは変わらない。
街に入ってまず立ち寄ったのは冒険者組合だ。
建物の中に入ると、中はハローワークみたいな雰囲気だ。
仕切られたカウンターに受付担当者が座り、冒険者と話している。
ボードにはクエストの用紙が貼られており、内容は魔物討伐や商隊護衛、ダンジョン探索、盗賊退治など多岐にわたる。
冒険者は戦闘職種だが、土地の調査などの戦闘以外の仕事もある。
基本的に依頼主や冒険者組合から依頼を受け、その報酬で生計を立てている。
また、冒険者のランクもE〜Sまであり、ランクによって支払われる報酬金も違う。
冒険者はクエストを1人で行う事もあれば、多数で集まってクエストを行う事もある。
一時的に他人同士で組むのをチームと言うが、俺達の様に部隊を組む集団をギルドと言うらしい。
チームとギルドの違いでは、チームは一時的な物で、基本的にクエストが終われば他人同士なので解散する。
偶に解散せず、そのままギルドになるチーム等もある様だ。
しかし、チームから優秀な人材をギルドへ引き抜かれる事もあるらしく、それに文句を言う事は出来ない。
更にクエストの報酬金はチームだと1人1人の割り勘になる。
ギルドは、信頼出来る仲間同士で組むのが基本的らしく、ギルド1つ1つに名前・団旗があるのも特徴だ。
クエストの受注・発注もギルド名義になる。
クエストの報酬金も上がり、それはギルドへ支払われる。
またギルドになると、優良クエストを優先的に回して貰える様になるらしい。
しかし、ギルドにはギルドのルールもあり、ギルドに入った金額によって組合に税金を払わなくてはならない。
俺は冒険者組合に冒険者登録をし、ついでに今のメンバーでギルド登録もした。
ギルド名は"ガーディアン"
"守護者"と言う意味があり、俺はこの召喚能力を皆を守るために使いたい、という思いが込められているのと、もう1つ理由がある。
地球には"ガーディアン・エンジェルズ"という国際自警団がある。
赤いベレー帽を被り、武器を持たず街の防犯に当たる組織だ。
因みに本部はニューヨーク。
これにあやかれたら、と思い、この名前にした。
バリバリ武装してるけどね……
団旗を決めたりするのは後にしよう。
そんな感じで冒険者登録&ギルド登録を終えた俺達は、商店街で買い物をする。
「今日は何が食べたい?」
「料理出来るのか?エリス」
「ちょっとだけだけどな」
「じゃあシチューが食べたいな」
「任せておけ、得意料理だ」
……なんか普通に恋人っぽくて照れるな……いや、普通に恋人なんだけどさ。
しかしスリングで肩にかけているショットガンがちょっとだけ不自然だけど。
あれだ、日本人特有の感覚だな。
スイスではライフル背負って買い物する人も居るし。
いや、あれもスイスが特殊なだけだ。あの国は国民全員が兵士の国だからな……ありゃ兵士と言うより民兵か?
エリスは食材を買い終わり、会計を済ませて戻ってくる。
「お待たせー」
「幾ら掛かった?」
「基地に帰ったら精算する」
「そう?じゃあ戻ろうか?」
「うん!」
うわぁ、笑顔が可愛い。
この笑顔は俺だけか、と嬉しくなる。
「あ、荷物持つよ」
「ありがとう」
エリスの持っていた荷物を受け取り、ザックに入れて背負う。
空はすっかり陽が落ち暗い。
腕時計を見ると19:30を指している。
この世界では10月に入った頃、少々肌寒くなった来た。
街の外れに差し掛かった時に、人通りの少ない事に気が付いた。
ふと、エリスの横顔を見ると、エリスと目が合う。
「ひ、ヒロト……」
「エリス……」
エリスは目を閉じる、俺はエリスの唇に自分の唇を重ね………
『きゃぁぁぁぁ‼︎』
る、前に悲鳴に中断された……
エリスも目を開け、悲鳴の発生源を探す。
どうやら横の路地からの様だ。何があるんだ、暗過ぎてわからない。
「何だ……?」
「行ってみよう」
エリスは俺の手を引き、路地へと入る。
年内の更新はこれで最後です。
来年も、「ミリヲタ」をよろしくお願いします!