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第173話 魔術を技術へ

お久しぶりです、言い訳させて下さい。

Twitterで暴れてたのもあるのですが、主な原因は卒論のせいです。

終わりましたので、更新します。

平時であれば月に1度、エリスを始めとした魔術が使える者を講師として魔術講座が開かれる。召喚者の比率が多いガーディアンに魔術の知識を付けさせ、より戦闘や技術面で優位に立ち、こちらの世界と地球の技術や戦術に新しい発見があるかもしれないからだ。


技術部門や運用訓練幹部、各部署のトップに立つものはより真剣に聞いている。


地球にはフィクションの中にしか存在し得なかった魔術、それがこの異世界では現実なのだ。地球に無く、備えをしていなかったので対応出来ず全滅しましたと言うのではお話にならない。

技術部門に関しては、異世界の魔術や魔術道具について知っていれば、より戦闘や後方支援を優位に進められるような新しい装備の開発などに役立てるかもしれないと考えての事だ。


「魔術の属性は主な物は9種類、炎、水、雷、氷、風、土、木、光、闇、レベルは1から5までの5段階だというのは皆知っての通りだとは思うが、今日は魔力の性質について話していこうと思う」


本日教壇に立つのはエリスだ。魔術や魔力について、本当に基礎的な事も、召喚者や現代人は知らないので、丁寧に教えられる者が適任である。


「魔力の根っこは同じものだ、魔力を扱える者は体内に魔力の存在を感じる事が出来る。それに属性を付与する事で初めて魔術として成立する」


魔力自体は粒子の様なものだ、出所が現時点ではっきりしている訳では無いが、異世界人は魔力は生命力を変換した物だと信じている。

それに属性という“色”を付与して、初めて魔術として行使出来る。


人の持つ魔力は生命力であるという裏付けは、魔力切れを起こすと体力にも影響を及ぼすからだという。


「属性の無い魔力は身体の外に出すことは出来ない、そして基本的に個人の魔力は時間当たりの生産量が決まってる。使い続ければ魔力切れを起こすし、そうしたら魔力が回復するまで待つか、マジックポーションで強制的に回復させるしかない。例外を除いてな」


「例外?」


講義を受ける1人が、不思議そうに声を上げる。


「精霊魔術と特異魔術がその例外だ、特異魔術はクレイの様に魔力を放出せず、巡らせているだけなので、基本的には消費する事は無い。精霊魔術は自然に存在する精霊の力を借りて魔術を発動させているので、風の強い渓谷なら風の精霊が多い風の魔術、森の中なら木の精霊が多いから木の魔術、水の精霊が多い川や湖、海なら水の魔術の様に、環境に依存する傾向がある」


精霊は自然に宿り、精霊魔術はその精霊の力を借りるので魔力量を気にせず使用でき、通常の魔力より精度、威力共に高い。その代わり精霊の多い所でないと最大威力を発揮できない。


対して普通の魔術は、体内の魔力が枯渇するまで魔術を使う事が出来るが、魔力が枯渇したらそのまま倒れてしまう危険がある。


「精霊魔術を扱うのはエルフなどの妖精種が多い、人間には扱えない事も無いし、実際に前例もあるが極めて稀だ」


ある精霊魔術師は人種族で、妖精種と人種との種族間の橋渡し役となり、種族間の対立を終わらせた立役者の1人だと言う。


「話が逸れたな、魔術というのは使用する時に、空気中に微量だが放出される。その為魔力が使える者は魔力を行使した者が近くに居ると、視界内に居ずとも魔力の流れを感じ取れる」


講義室の後ろに居るエイミーに声を掛けると、エリスはポケットからアイマスクを取り出して掛ける。


「皆、エイミーに注目してくれ。私はアイマスクをしているから当然、エイミーの姿は見えていない」


全員がエイミーに注目するとエイミーは掌に魔力を集中させた。

魔力は氷の塊となり、掌に現れる。


「氷」


エリスが答えた、エリスは魔術の属性を当てているのだ。


エイミーの掌の氷は霧散し、今度は水の塊のような物が現れる。


「水」


これもエリスは当てた、何度見ても魔術というものは不思議な物がある。

次は炎の魔術だろう、エイミーの掌に拳大の火の玉が灯る。


「炎」


エリスの全問正解、エリスは魔術師としての能力も高いから当然だと思うだろうが、そうだとしても魔術を一切使えない俺は魔術の流れを感じ取れなかったから、素直に凄いと思う。


エリスはアイマスクを外してこちらに向き直る。


「この様に、レベルに関係なく魔力を扱える者であれば魔力の流れを察知する事が可能だ。その為、魔術は暗殺には向かない」


それもそうだ、相手も魔術を使えるなら、そんな相手に魔術で暗殺など、「これからあなたを殺しますよ」と宣言してから襲い掛かる様なものだ。


「こうして魔術は人間が操る物だが、他にも操れるものがあるんだ。工房や評価試験隊はそっちの方が興味があるのではないかな?」


エリスはホワイトボードに何か文字を書きだす、英語でもロシア語でもドイツ語でも中国語でもスペイン語でもハングル文字でも無い謎の文字。魔術の知識の無い俺にはホワイトボードの上でミミズが躍っている様にしか……いや、よく見ると物理の数式に出て来た文字を思い出すが、そのものではない。


「魔術文字だ、魔力が流れる方向を制限する事が出来る」


エリスは解説を続ける。


「魔力や魔術によって発生した炎や水の流れを制御する事が出来る、魔法時代の魔術師が考え出した文字で、人間も亜人もこれを使って新しい魔術を体系立てようとした。けどこれでは強さを制御出来ないから、低レベル魔術師が流し込む魔力量では大した技術にはならず、今も研究はされているものの主流ではない廃れた技術だ」


これを研究する者は相当な物好きだな、と付け加える。


「主に石板や木板に刻まれていてな、地面に書いても効力を発揮する。円形でより高度な物は魔法陣と呼ばれたりするが、魔法陣は使用者が空間の放出した魔術で書くもので、その効力は使用者の魔力が切れれば無くなってしまう。その点で魔術文字は優れていて、文字が消されるか破壊されるまでその効力は続くから、魔術の才能の無い者や低レベル魔術師でも文字は書けてしまう。使えるとは限らないが」


魔術文字が書ける、という事と、魔術文字を使用する、という事は違う。エリスが先程言ったように、魔術文字に魔力を流し込めるか、流し込んだとしてもそれを文字のその先まで届かせる十分な魔力量があるかが問題で、書くよりも使用する方が遥かにハードルが高い。


俺には魔力が使えないから無理だな、と思ってレジュメを捲る。

魔力について時折脱線しながら講義は続いていき、あと20分で講義が終わろうとしていた。


「今日はこれで最後になる、レジュメを捲ってくれ、今日の講義の締め括りは魔石の話だ」


魔石。


この世界では割とメジャーで独特の鉱石で、魔力を蓄積する事が可能だ。通常状態では白濁透明の石だが、蓄積する魔力の種類によって輝き方を変える。


「魔石はもう見たことがある者もいると思うので手短に説明するぞ、魔石は魔力を溜めこむ性質を持つ非金属の鉱石だ。主に魔術道具に用いられて、代表的なのは我々も知っている公国の銃だ、ニルトン・シャッフリル銃にはマガジンに魔石が入っていて、魔石からの魔力を圧縮して弾丸を放っている。後は魔剣……柄の部分に魔石を組み込んで、剣に魔力を付与して戦う者もいる。使い終わったら魔術を扱える者が再チャージする事も可能だ」


電池の様なものか……と思った瞬間、さっきの話と繋がった。


魔石が電池の役割をするなら、魔術文字は電子回路の役割をするのではないか……?

電子回路のような物を作れば、魔術を技術に昇華させることも可能だ。魔石と魔術文字を組み合わせれば、魔術装置を作り出すことが出来る。


周囲を見渡すと、同じようなひらめきをした顔の工房の隊員が数人いる。

どうやらこれから、工房には人員を増やす必要がありそうだ。いっその事工房と評価試験隊を組み合わせて研究所にした方が、円滑な魔力研究が進むかもしれない。


色々考えを巡らせている内に、魔術の講義は終了となった。



=================================



「評価試験隊からの見解を聞かせてくれないか」


昼休みが終わった後、俺は評価試験隊や工房の面々と、情報局のローナ、先程まで教壇に立っていたエリスとエイミーを集めていた。


「結論から述べます、魔術は恐らく、技術に応用出来るでしょう」


評価試験隊の隊長、フランツが口を開く。

先程の魔術の講義を聞いて思い付いた事を、昼休み中に纏めていたようだ。


「魔術文字によって魔力の流れる方向を制限出来るなら、それを応用した回路を作る事も出来ます。文字によって流れる魔力に与える効力を変える事が出来るなら、抵抗やコンデンサ、コイルなどの電子回路部品がそのまま文字として流用出来るでしょう」


仮説ではあるが、電子回路を魔術文字で描き、それに魔術を流せばそれがそのまま回路として流用出来る。

だがこの仮説は、魔力が電子と同じ振る舞いをする事が前提だ。


「……カイロ?」


異世界人は電子回路についての知識が無いので、さらりと触れておく。


「俺達の持っている技術で、電気を制御する装置の事だ。それを魔術に応用出来ないかって思ってさ」


俺が召喚した物は、銃の照準装置から施設の主要システムまで、ありとあらゆる物が電子回路によって動作している。魔法が存在するが科学が存在しない異世界にとって、我々の技術の方が魔法に見えるだろう。誰が言ったかは知らないが、「科学と魔法は紙一重」とはよく言ったものだ。


「魔力が空間中、及び魔術文字の中でどの様な振る舞いをするかによりますが、それが分かれば魔力回路の再現は難しくない筈です。電源の役割をする魔力源には、魔石が使えます」


「ちょっと待ってください」


声を上げたのは、先程指導補佐に入っていたエイミーだ。


「先程も言った通り、魔石自体の出力は限られるものです。魔石を大きくすれば良いのでしょうけれど、値段も高いですし、限られた大きさの魔石で実用に足る出力の回路を作るのは難しいと思われます」


魔石に魔力が再チャージ可能とは言え、魔石自体は基本的に高価な物で、大きさと値段は比例する。小さいものは比較的安価だが、その分貯め込める魔力の濃度・量共に大きな魔石には劣る。


「そこで魔術文字で昇圧回路を再現します」


「ショウアツカイロ……ですか?」


「簡単に言えば魔石が持つ魔力でも、大きな魔術を展開可能な魔術文字の羅列です」


昇圧回路とは、電子回路の中で入力電圧よりも高い電圧を出力できる回路の事だ。

コイルというものは急激な電流変化が起こると、同じ電流を維持しようと瞬間的に高い電圧を発生させる特性がある。その特性を利用して蓄積されたエネルギーは、火花を散らす程の空中放電が可能な電圧まで昇圧する事も可能だ。これを「コンバータ型」と一旦呼ぶ事にする。

一般の変圧器(トランス)はコンバータ型とは構造が異なるが、そちらは主に交流で使う変圧方法だ。コンバータ型は直流のまま電圧を昇圧する事が出来る。

これを魔力に応用するという訳か……


「魔力と電気の性質がどれほど近いかは不明ですが、それが可能なら小さい魔石でも大きな魔力装置を動かすことが可能になるかと」


「ふむ……」


全員が考え込んで沈黙が生まれる、その沈黙を破ったのはまた評価試験隊側だ。


「しかしいくら昇圧したとしても、電流に当たる魔力量がどうにかならないと……動作させる魔力装置の規模にもよると思われます」


そう、昇圧回路で上昇するのはあくまでも電圧だけだ。魔力と電力の性質が同じなら、いくら電圧が高くとも装置が使える電流に当たる魔力量に変化はないはずだ。


「トランジスタ増幅回路の応用で電力量……じゃなく、魔力量を増幅させるか……とにかく、この分野に関してはさらに研究が必要です」


「そもそも魔力にエネルギー保存則が適応可能なのかも不明ですから、この辺りの基礎研究は必要でしょう」


とは言っても魔術に関して学者並みの知見を持つ者はガーディアンにいない、エリスの魔術師としてのレベルは高いが、彼女は戦闘魔術に特化しているので、こういった方面の知識には疎い。


「なるほどな……魔術研究は評価試験隊の仕事じゃないしなぁ……」


評価試験隊はあくまで兵器や戦術の研究評価が目的の部隊なので、そこから割く事は出来ない。

魔術を利用した技術はベルム街やワーギュランス公領だけでなく、王国全体を間違いなく豊かにし、ガーディアンも利益を得られて一石二鳥だ。

しかし、それをするには魔術という異世界特有の現象を研究するところから始めるべきだ、魔術に関しての基礎研究を行う部署と人物、設備が必要になるのは間違いない。


「魔術研究の専門部署を設立するか……魔術研究費は次の予算でなるべく多めに割り当てる様にして、異世界人と召喚者の技術者や学者だけの部署を設立するのがいいな。ローナ中尉」


「はい」


ガーディアンの諜報、防諜を司る部門である情報局の連絡幹部のローナ中尉だ。元ベルム街新聞のスタッフで、彼女独自の情報網も持っている。


「魔術文字に明るい学者を数人ピックアップしてくれ、こちらに是非引き入れたい。雇い入れる様に交渉が必要だな」


「了解」


異世界にも魔術学者が居る、彼らをこちらに引き込めれば、魔術の研究は加速するだろう。

しかし上手く引き込めるだろうか、ガーディアンを直接見た事のない者にとっては、ガーディアン批判をしているあの新聞社の情報が全てとなる。その印象がもしついていたら交渉は難航するかもしれないから、その対策もしなければ……


「しかし、資金繰りに煮詰まって来たか」


「タイヤ販売も伸び悩んできたしな、前回の作戦で戦闘部隊の余力がギリギリだってことが分かったんで、少し部隊を拡張したい」


前回のバスティーユ強制収容所では、特殊作戦を実行可能な部隊が第1小隊のみだったため、休暇を取ると言ってはいたがそれを破って出撃せざるを得なかった。第3小隊を召喚したがまだ育成訓練中で、そうでなくとも現状のガーディアンでは歩兵の頭数が足りなすぎる。


人数当たりの火力が他兵科に比べて低いのに、重要度は変わらない位高い。その歩兵が俺達には圧倒的に足りていないのだ。


部隊も増えて、かなりの規模の人数を養わなければならなくなり、さらに部隊を拡張するとなると、タイヤ販売とギルド組合からのクエスト報酬だけでは足りない可能性が出て来る。まだ余裕があるとはいえ、資金源は複数確保しておきたい。


「魔力機関が実現すれば、この世界で魔術を応用した装置や動力源が出来る。俺達がそれをやれば大きな利益になるからな」


「才能のある者しか使えなかった魔術の普遍化か……魔術の才能に縛られる階級が無くなるな、雇用も大きく増える。ただ魔術の才能がある者達は反対しそうだな、反対派が強硬手段に出ない様に策を考えないと」


エリスはそう言って腕を組む。この異世界では、魔術の才能がある者が上、無い者が下のピラミッド型階級社会が基本となっている。もちろん魔術以外の才能でピラミッドの頂点に立つ者もいるが、それはごく少数だ。


「才能があって力もある者は今ある利益を守る為に強硬姿勢を取るだろうな……その為の私達だが」


彼女の言葉を聞きながら頷く、既得権益に縋る貴族や魔術師からの反発は想定内、武力を行使した相手には___


「それ相応の手段を講じる、だな?」


「もちろんだとも」


現代兵器を装備した俺達が、現代の戦術で対抗する。



==================================



「会議終わったー」


「お疲れ、お茶でもどうだ?」


「あぁ、貰おう、ありがとうな」


結局あの後技術的な事は工房と評価試験隊で詰め、評価試験隊から現状の仕事の負担にならない程度の数を引き抜き“技術開発局準備室”を設立、ジーナ少尉からの予算も下り、魔術研究を本格化する目途は立った。

ローナ中尉も情報局側で有力な魔術研究者の洗い出しを進めており、その後の対応の検討段階に入ったら相談しに来る、との事だ。


日が暮れるまで、いや暮れてからも会議と検討の連続で、飯とトイレ以外は立ち上がってないのは結構身体がキツい。


エリスにお茶を淹れてもらいながら、執務室の椅子にもたれ掛かる。出撃禁止と会議続きもあって、身体も腕も鈍りそうだ。


「そう言えば、もうすぐ1年だな」


「あー……そうか、もうそんな時期か」


俺の目の前にカップを置いたエリスが応接用にソファに座りながら言う。俺が転生して来てエリスと出会い、もうすぐ1年になろうとしている。


もう1年か、という気持ちがあれば、色々な事がありすぎてまだ1年か、という気にもなって来る。


確かにこんな、夏と秋の境目くらいだった気がする。俺が異世界(こっち)に来たのは。

結婚式に乱入して花嫁を奪い、反発していた仲間を集めてケインと対立、ここまで逃げて来た。同じ世界に迷い込んだ友人達が加わったと思ったらこちらの仲間が1人死んだ。


風俗街の一件が終わり、ドラゴンを討伐、その後の公国との“戦争”。


「……色々あったなぁ」


「あぁ……色々あった」


だが、これは始まりの1年だ。


「これからも大変になるぞ」


「大変になったとしても、10年後も20年後も、ヒロト達と一緒に居られますように……」


エリスは祈る様に紅茶のカップを掲げる、俺も同じようにカップを掲げて一口飲む。紅茶の爽やかな香りは鼻に抜けて、気分を入れ替えてくれるようだ。


「ところで」


「ん?」


「1周年記念とかに何かやらないのか?」


「俺の転生1周年記念してどうするよ、やるならガーディアン設立1周年とかの方がいいな」


「私にとっては、ヒロトと出会えた記念すべき日なんだが……」


「そうだなぁ……じゃ、2人で食事にでも行くか。ちょっと奮発してみてさ」


忙しくてデートも出来てなかったんだ、それくらいは良いだろうと思う。俺はこの組織のトップなのだから、恋人と一緒に出掛けられる時間くらい取れなければ示しがつかない。

そうと決まれば、それまでに仕事を早めに終わらせておかないとな、やるべきことはまだ沢山ある。


「ふふ、またデートに行ける」


「一山終わったら、しばらくゆっくり過ごせるからな、俺も楽しみだ」


休みを思うと仕事が捗る、いつも一緒に寝起きしている関係だが、休みの日にエリスと一日出かけられるのがワクワクするのは変わらない。

エリスがソファを立ち、俺の隣に来る。ひじ掛けに手を着き、前のめりに近づく。

紅茶の香りが俺とエリスを包み、立ち上る湯気は部屋に消えて行った。


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