第15話 離脱
「ぃよっしゃぁ!」
「やったぞ!」
「ケインの野郎、ざまぁ見やがれ!」
後ろの車両から歓声が聞こえる。
エリスはウエディングドレス姿で助手席に座っている。
その目からは涙が落ちていた。
「どうしたんだ?」
俺は少し慌てて質問する。
やっぱり無理矢理攫ってきたからか?
「いや……やっと自由になれて……嬉しくて……」
なるほど、そう言う事が。
助手席が少し遠いから頭を撫でてやれないのが辛い。
「俺はこれから旅に出る、エリスはどうしたい?着いてくるか、この先の街で別れるか」
「行く」
即答だった。
「お前に付いて行きたい、良いか?」
「ああ、喜んで。歓迎するよ」
街に向かう道から少しそれて車を止める。
装備を整えたいのと休憩の為だ。
俺が運転席を降りると、助手席から降りてドレスのまま走ってきたエリスに思い切り抱きつかれた。
「ぅおっ⁉︎」
「ありがとう!ヒロト!私はお前が好きだ!一緒にいて欲しい!」
……突然の事で頭が上手く回らない。
けど、エリスの言わんとしている事は充分伝わった。
「…-あぁ、ありがとう。俺も、エリスの事が好きだよ」
エリスの事を護りたい、今はそれで充分だと思う。
ヒュー!とからかうような口笛や拍手が後ろから聞こえた。
2号車、3号車のメンバーだ。
エイミーも微笑ましく見てる。
やがてどちらからともなく身体を離す。
エリスは涙で顔がくしゃくしゃだ。
俺はジーンズのポケットからハンカチを取り出し、エリスに差し出す。
「ほら、ドレスが汚れるぞ」
「いい」
「良くない、俺の時にもう一度着るんだから」
エリスはハンカチを受け取り、顔を真っ赤にしてうつむきながら涙を拭う。
涙を拭ってから
2人は唇を重ねた。
「さ、装備を整えますかね」
「そうだな」
と、ポケットの中のスマホがブブブブとバイブを鳴らす。
「ん?」
不思議に思い、ホームボタンを押すと。
【レベルが上がりました】
レベル:Lv5
服:Tシャツ、ジーンズ
靴:スニーカー
装備:レッグホルスター
FASTマガジンポーチ
腕時計
武器:コルト M4A1カービン
SIG P226
あ、レベル上がったんだ……
っつーかあれでも上がるんだな……
「エリス編」?終了です。