第12話 隠れ家にて
「……いてぇ」
鈍い痛みで目を覚ました。
どうやら何処かのベッドに寝かされている模様。
「目が覚めましたか?」
エイミーが覗き込んでくる。
「ここは病院?」
「いえ、屋敷からほど近いエリス派の隠れ家です」
聞きながら上体を起こす。
装備は……奪われてない、良かった。
部屋を見渡すと、エイミーの他にも何人かの男女が集まっている。
男子3人、女子もエイミー除き3人。
よく見ると女子に金髪ショートのエルフがいる。
「まだ何処か痛みますか?」
エイミーが気を遣ってくれる。
鈍い痛みはまだ引かないので、素直に甘える。
「ちょっとね、まだ背中が痛い」
「セレナ」
エイミーは金髪ショートのエルフを呼ぶ。
「頼める?」
「はい、お任せ下さい」
セレナは俺の背中に手をかざし、詠唱を始める。
「光よ、傷を癒せ」
かざした手のひらが淡く光り、痛みが引いていく。
「おおぉ……」
一度背中をぐっと伸ばし、調子を確かめる。
「ありがとう」
「いえいえ!」
俺はセレナに礼を言うと、セレナは手を振って謙遜する。
「今のは何だ?治癒魔術?」
セレナが答える。
「はい、私は治癒魔術が得意で、お屋敷の医務室担当です。そこに座ってるスニちゃんもそうなんですよ」
セレナはもう一人椅子に座ってる女の子を手で指す。
その子が立ち上がり、会釈する。
「スニッド・キャスターです、医務室担当をしています」
「どうも、ヒロトです」
自己紹介されたのでこっちも名乗る。
「治療ありがとう、ところで今の状況は?」
辺りを見回す。エリスが居ないから失敗の時に連れ去られたかな……
エイミーが発言する。
「それについてはガレントから説明させて頂きます」
ガレント、と呼ばれた長身の男が立ち上がり、ベッドの近くへ来る。
「初めまして、ヒロトさん。私はガレント・シュライク。お屋敷の伝令を務めています。まずは現在の状況から説明させて頂きます」
「現在時刻は午前4時半です、ヒロトさんが落下してから6時間が経過しております。エリス様はその際にケイン殿に連れ去られ、現在は部屋に軟禁状態だそうです」
「本日予定されていた結婚式は中止、式は2日後、午前9時にとり行われます」
ガレントの発言にう〜んと腕を組み唸る。
「なるほど、式場の位置とかはわかるか?」
「はい、ここから5km離れた教会です、突っ込みますか?」
ガレントが答え、エイミーがMINIMIのコッキングレバーを引いて鳴らす。
「よし、その為には準備だ」
ヒロトは懐からスマホを取り出し、自分の今のレベルを確認する。
【魔物を倒した為レベルが上がりました】
レベル:Lv4
服:Tシャツ、ジーンズ
靴:スニーカー
装備:レッグホルスター
腕時計
武器:H&K MP5SD6
SIG P226
気づかなかったけどレベル上がってるな、魔物倒した後見てないしなぁ。
「作戦は決まりましたか?」とエイミーが問いかける。
「あぁ、決まった。皆協力してしてくれるか?」
俺が部屋に居る全員に呼びかけると、全員が「おう!」や「はい!」など、快く返事をしてくれる。
皆、本当にありがとう。
「それじゃ、エリスの奪還と行こうじゃないか‼︎」
「「「「「「おぉー!」」」」」」