第11話 窓から
「さて、脱出するぞ」
「あぁ」
準備を終えた3人は、廊下へ繋がるドアをゆっくりと開ける。
人が出歩いている気配は無い。
まずは俺、続いてエリスとエイミーが廊下に出る。
最初の角をクリアリングしながら曲がる。
下へ続く階段を降り、踊り場の窓に寄る。下と周辺に人が居ない事を確認。
俺は2人に小声で伝える。
「ここからロープを伝って下へ降りる、先に2人が降りろ」
「わかった」
と、エリスも小声で返事をし、エイミーはこくりと頷く。
音を立てない様に鍵を外して窓を開ける。
ここは地上から2階層と半分の高さにある、若干足が竦むが贅沢は言えない。
階段の手すりは昼間確認したが、かなり頑丈だ。
ロープを括り付けて3人ぶら下がったとしても折れない位の強度がある。
俺はザックからロープを取り出し、手すりに舫結びで括り付ける。
反対のロープを窓から投げ、地上に着いているのを確かめる。
エイミーに目配せし、グローブを差し出す。エイミーはまた頷き、グローブを受け取って手にはめると、ロープを伝って降下する。
暫くして、ロープがゆらゆらと揺れる。着地した合図だ。
「よし、エイミーみたいに降りれば大丈夫だ、あんまり下を見なければ怖くない」
「わ、わかった」
エリスは俺の手からグローブを受け取り、エイミーの様に降下。
暫くして、また降りた合図にロープが揺れる。
俺もグローブをはめ、MP5をスリングで肩に担ぎロープに手をかける。
その時だった。
バタバタと、上の階から足音が聞こえてくる。
「クソっ!」
俺は小さく毒突いて窓から直ぐに飛び出す。
飛び出した瞬間、ケインと彼の仲間数人が階段に差し掛かり。
浮遊感
ロープが支えられていた感覚が消える。
「(あの野郎!ロープ切りやがった!)」
落下した時の姿勢が悪かったらしく、俺は背中から地面に叩きつけられる。
「ぐッ⁉︎」
強い衝撃と共に、俺は意識を失った。