ドタバタクリスマス
最終回です
ユウが倒れた。
12月22日の午前八時頃に急に俺の隣の部屋(ユウの住んでいる部屋)でユウは倒れた。凍えるような冬の出来事だった。ユウの母親はすぐに病院に電話した。俺はその日仕事を休んでユウの様子を見ていた。その日ユウが起きることはなかった
12月23日
ユウの病気は原因不明で今体の中で何が起こっているのか分からないと医者から言われた。その医者はさらに大きな病院を勧めてくれたが、とても俺たちの貯金で払える料金じゃなかった。ユウの家は本当にお金がないらしく生命保険にも入れてないようだった。この日その大きな病院に行くふりをしていつものアパートに戻った。やはりこの日もユウは起きなかった
「そんでもって今日が12月24日だ。今までの大体の事情はわかったか?」
俺は今日も仕事を休んでアパートの一室にいる。そこで布団で横になっている少女に話しかけていた。その少女が力なく微笑みながら話し始める
「いやぁ〜、私が寝ている間にいろんなことがあったんだね」
「ああ、本当にいろいろあった」
俺は布団で横になっている少女…ユウに体の具合のことを聞いて見た
「そうだね。特に痛いとかきついとかないけど、なんだか急速に老化が進んでいるみたいに力が抜けていく感じがするよ」
確かにユウの言ったとおり目に見えて体が弱々しくなっていっている。口調こそいつも通りなのだが力が入っていない。蚊の鳴くような小さな声だった
「まあ、ユウ。あれだな。医者は原因不明って言って、ユウの病気のこと全然分かってなかった。もしかしたら全然大したことのない病気かもな」
俺はおちゃらけた調子でそう言った。
「そうだといいな」
それに力なくユウは答える
「ひとまず寝とけ。寝ないと治るものも治らないからな」
そうして、俺は毛布を首までかけて頭を撫でる。ユウは「ありがとう」と一言いうと目を閉じてスースーと寝息を立て始めた。
それから数分経ってから俺は部屋を出る。ユウの母親は仕事でいない。休んだら仕事をクビにされるとかで今日も出勤していた。ユウの母親は本当に優しい人で俺が仕事をしていない時でもよく励ましてくれた。彼女のおかげで俺は今生きていると思っている。ユウもあの笑顔でいつも元気を分け与えてもらっていた。あの家族には離婚してもう父はいないが、それでも暖かかった。俺もその暖かさに何度も助けられた。
「でも…なんだってこんなことすんだよ。なあ、神様」
あんなに素敵な家族なのに。あんなに優しい家族なのに。それを崩すなよ…
気がついたら俺の両目からは熱い液体が流れていた。
悲しいというよりも悔しい。俺に優しくしてくれたあの家族に何もできない自分が憎い。そして、もどかしい。
結局俺にできることなんて、から元気ぐらいしかないんだな。
俺はアパートの廊下からユウの部屋に戻った。
時刻は正午ちょい過ぎくらい。昼飯時だろう。なんか食べないと体力つかないからな。俺は料理を作ることにした。
俺の調理も終盤に差し掛かった時、後ろから体をつつかれた。気になって後ろを振り向くとそこにはユウが立っていた
「っておい!ダメじゃねえか。寝てねえと体力つかんぞ」
「あはは。ちょっと美味しそうな匂いがしたものだから来ちゃった」
「もうすぐできるから向こうで待ってろ。今すぐ美味しいものを持って行くから」
「は〜い」
そう言うとフラフラしながら向こうの部屋へと消えて行った。
よし、ユウのためにもさっさと仕上げるぞ!
「出来たぞ!」
「おー!」
ユウが拍手をする。すかさずその瞬間テーブルに大皿を置く
「今日の昼飯は『スーパーデリシャススーパーもやしデリシャス』だ!」
「わー!超いつも通りのご飯だね兄貴」
「うるせえ!俺はもやしが好きなんだよ」
するとユウは小さく笑った。
「いや、これ私も散々文句言っているけど好きだよ」
「なんだよお前も結局好きなのかよ」
「うん、なんか今は特別なものを食べるよりもこういう日常的に食べていたものを食べたかったしね」
そんなこと言うなよ
「そうだな」
俺は自分の感情を抑えて返事をするのに精一杯だった。
「そういえば兄貴。今日も仕事あるの?あるなら気を使わなくても一人で大丈夫だよ」
「俺はクリスマスイヴに仕事を入れるほど悲しい人間じゃないぞ」
本当は大切な仕事がこの夜に入っているのだが、それは今関係のないことだ
大体こんなに弱っているユウを見たら仕事から帰ってきたらいなくなってしまいそうで離れることさえできなくなっている。
「ふーん。兄貴のことだから仕事じゃなかったらどうせ一人寂しくクリスマスパーティーをするんでしょ。Twitterで同族あさりはやめなよ」
「くそ!去年のデジャヴが!」
その様子を見てユウがケラケラと笑う
「あー、ちょっと面白かったよ。笑ったらちょっと疲れちゃった。寝るよ」
「おう!おやすみ」
「うん、おやすみ」
そう言ってまたユウは布団に入って寝息を立てる。
その姿に安心し、俺は皿を洗った。その後部屋を出てアパートの廊下でスマートフォンをとる。数少ない電話帳にある電話番号の一つをタップし、電話をかける
コールが三つ目のところであいては電話に出た
「こちらサンタクロース協会極東支部東京エリアの事務の斉藤です。どのようなご用件でしょうか?」
「あ、実働部の安藤です。実働部の中西さんと繋いでくれます?」
「かしこまりました」
しばしクラシックが流れる
「はい!実働部の中西です」
「あ、中西さんですか。俺です。安藤です」
「ああ、幸太郎さんですか。一体どうしたんですか?」
「いや、申し訳ないですけど今日もお休みということにしていただきませんかね?」
「いや、こういうのは私の権限では決められないので、沼部長に変わりますね」
「ちょ!ちょっと待ってください!沼部長に話すと無理矢理来させそうなので…」
「ああ、そうなんですか。仕方が無いですね。私から直々に沼部長にギャァァァ」
「ど、どうしたんですか?中西さん?大丈夫ですか?」
「やあ、久しぶりの会話が電話越しとは随分と無礼な行為するじゃないか幸太郎君?」
「ち、違うんです沼部長。これには事情があってですね」
「へぇ、どんな事情があるのかな?」
「う、それは言えません」
だって、ユウと一緒にいたいとか言ったら絶対アウトだろ。しかもなるべくユウのことは伏せておきたいしな
「ふむ、いつもそうやって詳しい事情は話してくれないね」
「すみません…」
「いや、君の仕事の態度を見ていてね、意外と君は真面目に仕事をしているんだよね。だから君が休むなんてよっぽどの事情があるんだろう」
「沼部長…」
「だから事情については聞かない。ただ人生の先輩としてアドバイスを一つ」
「アドバイスですか?」
「今君に何が起きているのかは私にはよく分からない。だけど、後悔だけはして欲しくない。楽なことが幸せなことじゃない。まあ、こんなことが私からのアドバイスだ」
「ありがとうございます。勉強になります」
「そりゃよかった。じゃあ、もし気が向いたら来てくれ。いつでも待っているから」
「分かりました」
俺はそう返事をして、電話を切った。
「後悔するな。苦労して幸せを掴めって感じかな」
俺は部長のアドバイスを数回口ずさむ。
「そんなこと言われてもよく分からねえな」
そう言ってため息を着いた時だった
「あら、幸太郎君。どうした?ため息なんてついて」
横から女性が俺に話しかけてきた。俺はこの人を知っている
「ああ、今日は早いですね。娘さんが待ってますよ」
そう彼女はユウの母親の『カナ』である。物腰は柔らかいが背筋をピンと伸ばしていてとても美しい女性だ。まだとても若い
「ちょっと仕事場の同僚が私の仕事を手伝ってくれておかげで予定よりも早く終わったのよ」
そう言って笑顔を見せてくれる
「まあ、昨日も仕事の後夜中までユウのそばで看病して疲れているでしょう。料理は俺が作りますから今はゆっくり休んでください」
「うーん…じゃあその言葉に甘えさせてもらうわ。美味しい料理期待してるわよ」
少し思案顔をした後笑顔でそう答えた。
痛々しいと俺は思った。無理をして笑顔を作っているのが俺にも分かる。大体この人は感情を抑えるのは得意でも感情を隠すことは下手なのだ。きっと、一番嘆き悲しんでいるのはあなただろうに。
午後七時
俺は買い物をすませて料理をだいぶ前からしていた。メニューはあいつが好きな肉を俺が超適当に焼いたやつだ。適当に作っているのになんか美味しいのですっかりお気に入りの料理方法になっている。その調理も終盤に差し掛かってきたので俺はカナさんを起こしに行くことにした。
「すみませーん。そろそろご飯ですよ」
俺がそう呼びかけると力の入っていない返事が返ってきた。
まあ、あの人は朝寝起きはいつもあんな感じなのでそのまま部屋を出る
「さあ、まだ起きてくるには時間がかかりそうだし、サブメニューも作っちゃおうかな」
俺は大きく伸びをして包丁を手にした時だった。
「幸太郎君!大変!」
急にガッと俺の肩を掴まれ耳元で叫ばれた
「なんですか」
俺は不機嫌そうな顔をして、叫んできた本人…カナさんをみる。だが、俺はその血の気の引いた顔にただ事ではないことを察し、不機嫌そうな顔をやめる。
「と、とにかくこっち来て」
弱々しくそう言うカナさんに俺は
「はい」
と、押し殺した声でそう答えることしかできなかった
薄暗い部屋。そこに横たわる少女。
ユウの部屋だ。その真ん中ではユウがスヤスヤと寝ている。
「えっと何があったんですか?俺には何もおかしく見えませんが」
たまらず俺は尋ねる。
「起きないの」
「え?」
「何度も声をかけたけど起きないのよ」
そう言って彼女ははユウの左肩を揺らす。だが、ユウは何の反応もない。
もしかして…。いや、それはない。息もしてるしまだ大丈夫なはずだ。
俺はカナさんとは反対側のユウの右側に座り、ユウの手を両手で包み込むようにして持つ。
ユウの手はとっさに離してしまいそうになるくらい冷たかった。
目の前では感情をせき止められなくなったのかカナさんが涙をボロボロと流している。
ユウから伝わる脈動がだんだんと弱くなっている気がする。
気がつくと俺も涙を流していた。多分自分の知らないところで俺も感情を抑えていたのだろう。
このまま何もかもが終わってしまうのか?
『あったか……ぶく……し…な』
このまま泣いて縋ることしかできないのか?
『あったかい…ぶくろほし…な』
いや、こんなところで終わってたまるか。なにか、できることがあるはずだ
『あったかい手袋欲しいな』
なんだ…あるじゃねえか。まだやるべきこと
「待ってろ。今すぐお前の手を暖めてやるからな」
そう言って俺はユウの手を強く握り、そして、離した。
俺は立ち上がる。力強く明確な意思を持って立ち上がる
「き、急にどうしたの?」
カナさんが俺の唐突な行動に驚き、そう言ってきた
「カナさん。俺は今までいろんな失敗をしてきました。人間関係も恋愛も勉強も運動も就職も全部失敗してきました」
カナさんはなぜ急にそんなことを言い始めたのかといった感じで頭に疑問符を浮かべている。でも、言葉は理解されなくてもいい。俺の決意さえ届けば大丈夫だ
「その度に俺はそれを黒歴史にして、心の奥底に追いやって無理矢理忘れていました」
忘却は人間の特性の一つだ。嫌なことを忘れて何が悪い
「けど、これだけは!黒歴史にして、忘れちゃいけない。忘れちゃいけないことなんだ」
もう、逃げるだけの生活はやめにしようか
「俺はもう絶対に後悔なんてしない」
そう言って俺は玄関に向かって歩き出す。
「ちょっと待って。どこ行くの幸太郎君」
するとカナさんが俺を引きとめようと肩を掴んできた。それを俺は軽くそれを払い、そしてカナさんの方を向くと、
「俺の居場所はいつだってソリの上さ」
俺は笑ってそう言った
カナさんはその後、しばらく何かを考えていたが一つ頷くと俺の服を掴むとズンズン玄関に歩き、最後には俺を蹴り飛ばし部屋から追い出された。鬼だ。そんな人だとは思わなかった。
「頑張れ」
小さな声でカナさんはそう言った。さっきの言葉は訂正の必要がありそうだ。
「よし!頑張りますか!」
俺は走りだし相棒の名を呼ぶ
「出てこい!カリン!」
すると即座にシカ小屋から俺の相棒であるカリンが出てくる。
「よし!今から全速力ではしランバラシック」
俺がカッコ良く決めようと思った瞬間に何者かに思いっきり宙へ飛ばされた。誰だ!こんなことをするのは。
そして、重力に従って地面に近づいていく。
俺は骨折を覚悟して目を瞑る。しかし、いつまでたっても地面につかない。恐る恐る俺は目を開けてみると、俺はカリンの背にまたがっている格好になっていた。
何このシュールな感じ。むしろギャグっぽく落ちた方が面白かったのに。てか、カリンさん?なに息を荒げているのですか?怖いですよ?
カリンは前足を高くあげると力強く走り出した。
「ギャァァァァァァァァァァァァ」
俺は振り落とされそうになり、必死にカリンのツノを掴む。一旦状況を理解しようと周りを見渡してみる
「なんだこれ。すげえ」
街頭の明かりたちが光の線になって次々と俺の後ろへ飛んで行く。様々な音が俺の耳に届き消えていく。
見たこともない光景に俺は思わず感嘆の声を漏らしてしまっていた
これなら普通に走るよりも圧倒的に速い
「よーし!いっけーカリン!」
俺は思い切り右手をあげカリンはそれに答えるかのように高くジャンプした
いやー、やっとついたぜ。サンタクロース協会に。
予定よりもかなり早く着いたのだが、なぜか俺の体は傷だらけだ。歴戦の猛者みたいだ。いや、俺は生まれながらにして戦士だし。すみません軽いジョークです
まあ、こんなことはさておき、なぜ俺が傷だらけなのかというと、そりゃあ、右手をあげてカリンがジャンプをすればバランス崩れますよ。落ちますよ。ゴロゴロ転がりますよ。痛いですよ。
まあ、そういつ理由で俺の体は歴戦の猛者になっていたのだ。黒歴史にしてこんなこと忘れよう。
気を取り直して俺はサンタクロース協会の中に入りエレベーターを乗り継ぎ13階に向かう。エレベーターのドアが開くといつも通りの住宅街が俺を待ち受ける。その中のエレベーターから最も近い家のドアに向かう
中西と沼部長はいないだろうと思いながらドアを開けたのだが、まあ、案の定二人はいなかった。その部屋の中にはテーブルの上にサンタ服が置いてあるだけだ。俺が使っていた時とは違う。一切のほころびもない新品同様のサンタ服がテーブルの上に置いてあった
信じてたんだ。あの二人は俺がここに来るって。だから、俺のサンタ服も綺麗にしてくれたんだ。
俺はサンタ服を持ち上げるとヒラリと一枚の紙切れが床に落ちた。それを俺は拾い上げて綺麗に広げてみる。
『いいですか。いつも通りに頑張るんですよ。ソリから落ちちゃダメですからね』
『君はまだ若いから一杯経験を積むべし。その第一歩だ』
その内容は先輩たちの応援メッセージだった。全く、俺は本当にいい先輩を持ったな。期待に応えないとな
ブーツの靴紐を締め、サンタ服に袖を通す。ベルトを巻き、最後に帽子をかぶって袋を持てば、もう俺はサンタクロースだ
大きく深呼吸をして緊張をほぐそう
冷たい夜の空気が俺の肺に入り、心の中の無駄な部分も吐き出すようにして思い切り息を吐く
よし!
「いくか」
夜の空気を切り裂きとある場所に向かう。その場所とはオンボロのアパートの一室だった。俺はそのアパートの近くにソリを止め、一つのドアの前で立ち止まる。いつもと立場が違うからなんだか新鮮な気持ちだ。俺は意を決してドアをすり抜けた。そして、慣れた動作で一つの部屋に忍び込む。
その部屋には一人の少女が静かに眠っていた。
俺はその少女に静かに近寄り枕元にプレゼントを置く。
「メリークリスマス」
「メリークリスマス兄貴」
返ってくるはずないと思って言った言葉に返事がきて、俺は驚き部屋の隅まで飛び退いてしまう。しかし、すぐに返事の主が分かり安堵する
「なんだユウ。まだ起きてたのか」
「いや、たまたまさっき起きただけだよ」
ユウは不満そうな顔でそう言う。
「そうか…」
数秒の静寂が生まれる。最初はなんとも思わなかったが、だんだんとこの静けさが怖くなりユウに話しかける
「おお!そういえば、ほら、クリスマスプレゼント持ってきたぜ。開けてみろよ」
俺がそう言うとユウは枕元にある箱を手に取りはしゃぎ出す
「ねえ兄貴開けていい?」
「おう!開けちまえ」
「うん!」
ユウは綺麗に包装紙を取ると箱の蓋をゆっくりと開ける
「わあ!これ私が欲しいって言ってた手袋だ!ありがとう兄貴」
「そうか、早速つけてみろよ」
「え?いいの?」
「手袋ってのは見るだけのものじゃないぞ」
「そうだね分かった」
ユウはピンク色の可愛らしい手袋を両手につけ始める。
ところで少し気になっていることがあるのだが
「おい、ユウ。俺がサンタクロースでもあんまり驚かないな。俺がサンタクロースってこともしかして知ってたのか?」
「うん、知ってたよ」
な、なんだって?
「どうやって分かったんだよ」
するとユウは上を向いて少しウーンと唸った後俺の方に体を向ける
「いや、色々あるんだけどね。トナカイを急に飼い始めたとか、レジェンドサンタのトロフィーをもらってきたとかね」
「それだけで」
「あとは電話の通話内容とか、壁越しで聞こえてたよ」
「なんだって!」
「だからサンタなんじゃないかなーって思ってたの」
「なるほどねぇ」
特にサンタクロースの存在は秘密にしなくていいらしいのだが、なんか、ねえ…
俺の気持ちは少しブルーになっていた
そんな俺の肩をユウはバシバシ叩いてくる。
「なんだよ」
俺は多少声を荒げてそう返事をしたが、ユウはそんなのお構いなしに両手を俺に見せてきた。
「どう?」
自慢したくてしょうがないといった感じだ
「似合ってるよ」
俺は率直な感想を言う。その言葉にユウはさらにはしゃぎまわる。
「じゃあ、俺はそろそろ仕事に戻らねえと」
「あ、そうか。今お仕事中だったね」
「おう」
俺は部屋の出口まで歩き一度立ち止まる。いつものように別れの挨拶をしなくては
「じゃあ、またなユウ」
その言葉に一瞬ユウは驚くが一度強く瞬きをすると笑顔で答える
「うん、またね兄貴」
そうして俺の最初のプレゼント配りは終わった。
その数分後
東京都にある、とある小さなアパートに住んでいる少女は静かに息を引き取った
その両手には桃色の手袋をしており
口元はかすかに笑っていたそうだ。
さあ!季節はもう春だ!春にはいろいろな行事があるよな。入学とか就職とか。
特に就職!どれも同じに見えてどこの会社に入ればいいが分からないそこのあなた!俺がオススメする職業を紹介しよう。
この仕事は訓練がきつい。トナカイにぶっ飛ばされたり、壁にぶち当たったり、高所から落下したり、とにかく死にかけまくる。毎日が死闘だ。
でも、この仕事は子供達を笑顔にできる。たとえそれが貧困で苦しむ男の子だとしても、たとえそれが金持ちの女の子だとしても、たとえそれが…数分後に死んでしまう少女だったとしても、必ず笑顔にすることができる
ん?そこの君見込みがあるよ。じゃあ、ちょっとなってみないかい?
サンタクロースに
はい、終わりました。
えーと
tayuuの次回作にご期待ください
これ一回言ってみたかったんですよ。
まあ、終わりは終わりです。今までありがとうございました