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伝説の存在

えー、説明の補足をします。ドアをすり抜けられるのはサンタ服のおかげです。サンタ服をきていないとすり抜けられません。


「た、ただいま〜」


俺は少々覇気のない声で言う。


「おかえり〜」


それにユウがのんびりした声で返してくれる


「もう、今日は大変だったよ」


「ふーん。って兄貴!その顔どうしたの?傷だらけじゃん」


そうそう、その反応を待っていた。そして、俺はフッと笑いクールに言う


「少しドアに顔が当たってな…」


見ろこのかっこよさ。『少し風に当たりたくてな…』的な感じでかっこいい!


「やばいよそれ。兄貴それ今世紀最大のカッコ悪さだよ」


なんだと?そんなバカな!そんな現実受け止めないぞ。


「まあ、そんな悲観的にならなくても大丈夫。いつもカッコ悪いから別に今のは兄貴を初めて見る人じゃなければそうでもないよ」


なにこの子。人の心を的確に抉り取るプロかしら。


「まあ、そんなことよりカリンに餌あげないと」


そう言って、ユウは外に出て行く。そんなことよりって、俺はカリンより下なのか。


そういえばカリンといえば、ここら辺ではかなり有名になっている。まあ、東京でこんなトナカイなんて育てていたら有名にならざるを得ないと思うが、まさかのテレビ局までやってくるとは思わなかった。トナカイを飼っているなんて確かに珍しいもんな。 それにしてもそのテレビ局腹立たしいことに俺の言ったセリフを映画の吹き替えみたいに声優を雇い声をすり替えていたのだ。


「どうして鹿を飼ってるんですか?」


という質問に対し俺は


「お姉さん美脚だねぇ。ちょっとうちに寄らない?お茶出すよ。むしろ泊まっていいよ」


と答えたのだが、実際テレビで流れたのは


「いやー、幼い頃から鹿を飼うのが夢で、これで夢がかなったって感じですかね。ハハッ」


と変えられていた。他にもある。


「鹿を飼ってよかったことってなんですか?」


という質問に対し俺は


「そんなの決まってる。あなたとこうして出会えたことですよ」


という風にめっちゃかっこよく決めたのだが


「やはり、昔から好きだった動物なので、一緒にいると落ち着きますね。ハハッ」


という風に言い換えられていた。なんなんだよ。どんだけ俺好青年になってんだよ。だいたい語尾に「ハハッ」とかつけんなよおかげで近所の人からそう思われて、「今日はいい天気ですね。ゲヘッ」って言っちまったじゃねえか。カリンはカリンで、鹿じゃなくてトナカイだと言いたいのか俺に頭突きしまくるし、まあ、一応シカ科ではあるのだが。ともあれ、そのせいでまた腹に青あざができた。本当にテレビ局が来ていいことがない。


俺がテレビ局の陰謀?にもんもんとしているとユウがカリンの餌やりから帰ってきた。







「いただきまーす。はぁ、今日はもやしなんだ…」


「おいおい、いつも肉とか魚とか食えると思うなよ。そんな贅沢はたまにあるから贅沢っていうんだ。ぜいたくは敵だ」


「もーう。国民精神総動員の政策で国民を戦争に積極的に参加させるために作られた標語みたいに言わないでよ。まあ、他にも『欲しがりません勝つまでは』とか『足らぬ足らぬは工夫が足らぬ』とかたくさん標語が作られたみたいだね。あとは国民の士気を高めるために日の丸弁当の推奨や国民服やモンペ服を男女の制服として推奨した教化運動もあったみたいだよ。まあ、国民の不満は結構高まっていたみたいだけどね」


「ドウシテソンナコトヲシッテルノ?」


「社会の先生に教えてもらった」


「なんて無駄にハイスペックな教師だ…」


俺はその社会の先生とやらにユウは渡さないと心の中で宣戦布告をするとひとつ咳払いをして、もやしについて納得させようと試みる


「いやー、でも、ユウも女の子だし。てか、幼女だし。ヌフ…。体型とか気にする年頃だからダイエットの意味合いをあるんだ」


「それは違うよ兄貴。そんなダイエットの仕方はたとえ痩せたとしても、栄養失調で倒れてしまうよ。むしろダイエットで気をつけるべきは栄養のバランスだよ。決して食べる量だけを減らせばいいとは限らない。量も減らしつつ安定した栄養バランスで毎日ちゃんと三食食べることにより初めてダイエットの基本が成り立つんだよ。さらに言うと食事の量を減らすだけじゃまだダイエットの本領発揮とは言えないよ。運動も睡眠もその他の生活習慣を改めて本当の意味でのダイエットが始まるんだよ」


「ドウシテソンナコトヲシッテルノ?」


「社会の先生に教えてもらった」


「なんて無駄にハイスペックな教師だ…」


予想以上に俺の敵は大きいようだ。てか、社会の先生なのかそれは。


「あー、もう。とにかくだ。今日はいつものもやしとは違って『極・太・萌やし♡』っていうのを買ってきたから大丈夫だ」


「いや、それは絶対大丈夫じゃないやつだよね」


「とにかく!文句を言わず食え!食わんなら俺が食うぞ。お前を」


「いただきます。わぁ、このなんとも言えないシャキシャキ感が口の中で奏でられ、みずみずしさを強調しているようですね。肌の細胞が若返るようです」


そう言ってユウは目の前にあるもやしをばくばく食べ始める。その姿を見て少し安堵すると、とりあえず目の前にあるもやしに手をつけた


「わぁ、このなんとも言えないシャキシャキ感が…」


「それさっき言った」


「ウィッス」







その後ユウはしばらく俺の部屋でテレビを見て、好きな番組が終わったのか急に伸びをしながら立ち上がった。


「ん〜。じゃあ、宿題があるから私帰るね」


ああ、伸びっていいよな。あの胸を強調する感じが…消え去れ煩悩!平常心平常心


「あ、ああ、帰るのか。じゃあ、またな」


「明日はご飯期待してるからね。じゃ、またね」


そう言ってユウは俺の部屋を出て行った。


「期待されちゃったなぁ」


ユウの去り際の言葉が頭でリピートする。


「よし!俺はユウのために立派なサンタクロースになるぞ!」


俺は新たな決意を胸に秘め、寝た。











さあ、新たな決意を胸に秘めた俺だが、そう簡単に体は答えてくれない。


「あの中西さん。俺死にました」


「そう言っているうちはまだ大丈夫ですよ」


昨日と同じような問答をしている。なぜなら昨日と同じことをしているからだ。朝に教会に着くと沼部長からいきなり「走れ若人よ!」と言われ無理矢理外に追い出され、現在中西と走らされている。なんとしてもこの無益な行動をやめさせなければ本格的にやばい気がする。


「中西さん。ミニスカサンタ服で走ってその脚を見せてください。多分モチベーションが上がります」


「ダメですよ」


即答だと!


「それ見せてくれないと俺倒れます」


「そんなこと言っても見せませんよ」


バタッ


「え?幸太郎さん?幸太郎さぁぁぁぁぁぁぁん」









俺は目が覚めると柔らかい何かの上で寝ていた。

はあ、また倒れたのか俺は。まあ、今回は昨日より距離増えただろうからそれだけでも成果だ。俺はゆっくりと起き上がる。


周りを見回すとそこは一つの部屋らしい。全体的に白を基調とした…ってこんなことはどうでもいいな。どうせ病室だろ?


「起きましたか?幸太郎さん?」


「起きましたよ」


「大丈夫ですか?どこも痛くないですか?」


「大丈夫です。体も痛くありません」


まだ頭がガンガンするのだが無駄に強がってそんなことを言う。すると中西はにっこりと笑い俺の手を握ってくれる。ま、まさか…。中西は俺のことを…す、す、す、す、


「では訓練に参りましょう」


そして、俺の手を思いっきり引っ張り、病室の外に出る。現実(リアル)なんてこんなものさ。ギャルゲならもうすでに女を両手に抱えているんだがな。現実はそうはいかず中西に引きずられてどこかに連れて行かれた。





サンタ服に無理やり着替えさせられて、たどり着いた場所は昨日来た家の前。すり抜けようとして、無様にドアに顔をぶつけてしまった。あの家だ。


「はい!今日もバリバリすり抜けちゃいましょう!」


「いや、待ってくださいよ。すり抜けるったって、昨日はなんで失敗したのかわかりませんし、なんかコツみたいなのないんですか?中西さんはどんな感じですり抜けを習得したんですか?」


「なんか、ドアをすり抜けたいなぁと思ったらすり抜けることができましたよ」


「ダメだ。全然参考にならねえ。俺は一体どうしたら…」


「私がダメとなると部長の力を借りるしかありませんね」


「呼んだ?」


俺と中西は突然の声に驚く。後ろを振り返るとそこには沼部長がいた。あんたは隠密起動のプロかよ。まあ、そんなことは今はどうでもいい。こうしてわざわざ出向いてもらったんだなんかヒントを聞いておこう


「あの、沼部長。すり抜けるにはどうすればいいですか?」


すると沼部長は顔を空に向け考え事をする。


「んー、いや、すり抜けられないなんて聞いたことがないからね」


また空を見て悩み始める。え?もしかして俺ってものすごい劣等生?


「そうだねぇ。僕や中西君と君の違いは雇用方法と見た!」


「こ、雇用方法ですか?」


さっきまでの思案顔はどこかに吹き飛び急に目を見開き叫び出す。さっきのローテンションからハイテンションへの切り替わり!血圧絶対やばいよ


「そう!雇用方法だ!大体サンタクロースの実働部は最初はボランティアという名目で参加するんだ。でも、君は違う。君はサンタクロースの給料を聞いて入会した」


「な、なんか違いがあるんですか?」


「大ありだ!僕たちはただ単純に子供達にプレゼントを配って笑顔になって欲しいと願って入会した。でも、君は金のために入会した。そう、君に足りないものは子供を愛する気持ちだ!」


俺の頭にガーンという衝撃が走った


「お、俺に足りないものは子供を愛する気持ち…なのか?」


「そうだ!ならすり抜けるためにすることは子供を愛すること。さあ!今すぐ子供を愛せ!」


「はい!」


俺は子供が好きだ!俺は子供が好きだ!俺は子供が好きだ!俺は子供が好きなのか?俺は子供が好きではない。


「ダメです部長!俺はそんなに子供が好きじゃありません!」


「諦めるな!もっと心の奥まで入り込んで念じるんだ!」


「はい!」


そう威勢良く返事したはいいもののあんまり心の奥まで行きたくないな。


「減給…」ボソッ


俺はすぐに心の奥までダイブした。



『あ、あの。好きです。付き合ってください!』


『はぁ?あたしゴキブリと付き合う趣味ないんですけど』


くそ!だから心の奥まで行くのは嫌だったんだ。忘れかけていた黒歴史がよみがえるから。


『なあ、お前アニメとか好きだよな。今期のこのアニメ面白くね?』


『それか。結構面白いよな。何と言っても声優が豪華だよな。主人公の声は○○だしヒロインも○○だぜ。監督も○○だし。だいたい製作が○○って時点で俺は結構期待してたよ。そして、二話目の後半部分のあのシーン…』


『キモ』


もう俺の精神はボロボロだ。もう、こんな時は実家に帰って妹物のエロゲを…ん?妹?









「幸太郎さんの雰囲気がガラリと変わりましたね。周りの空気がピリピリしていていい感じです」


「うん。なにか掴んだのかもしれないね。邪魔しちゃまずいからそっと見守ろう」




その頃俺はスーパーコンピュータ並の計算を頭の中で行っていた。


子供→少女→幼女→妹→俺の嫁→嫁にプレゼントを渡すために侵入する→普通


「ふう、至極正当な理由でプレゼントを渡してくるか」


早く幼女に会いたいという気持ちもあったが、それと反対になぜか落ち着いてる…


「デュフポポポ。待ってろよ俺のマイエンジェル。今すぐ君の部屋に忍び込みプレゼントを君の枕元に置き、ほっぺにチューしてやるぜ。デュフ。ギャハハ」


落ち着いてるわけねえだろ。馬鹿じゃねえの?

俺は地を蹴り一瞬で家の玄関の前までたどり着く。しかし、この玄関のドアで顔をぶつけたトラウマが…


「幼女ぉ」


何の問題もなくドアをすり抜ける。トラウマ?なにそれ?おいしいの?


家の中に入り幼女の部屋を探す。この家は結構広いようで、見たところ一階にはリビング、ダイニング、キッチン、トイレ、和室といった部屋がスペースを取っていた。すなわち幼女の部屋は二階!


俺は足に力をこめて真上に跳躍する。そして、俺は天井をすり抜けて一気に二階にたどり着いた。


「幼女がいるのはこの部屋かぁ」


「この部屋かぁ」


「この部屋かぁ」


「この部屋かぁ」


「どこにもいない。ということは下の階の和室か」


俺は即座に床をすり抜け下の階へ降りる。和室覗くがそこには誰もいない。


「くそ!ならばリビングか!いや、トイレということも…」


そう言って足に力を入れたところで誰かに肩を掴まれる。

振り向くと中西が立っていた


「幸太郎さん。サンタクロース協会支部の十三階には私たちとトナカイしかいないので幸太郎さんが求めているものはありませんよ」


「え?じゃあこの家は…」


中西は一つ頷き言う


「無人です」


衝撃の事実を告げられた俺はその場で気を失った。








俺は全体的に白を基調とした…って病室か。この部屋を訪れるのは今日二回目だな。常連客みたいだ


「幸太郎さん。大丈夫ですか?」


顔を横に向けてみるとそこには中西が椅子に座ってこっちを見ていた。その横に沼部長もいた。


「あんまり…大丈夫じゃない…です」


大丈夫と言ったらまた手を引っ張られてしまいそうだしな


「そうですか…。ってこんな話はどうでもいいんですよ」


「俺の体のことはどうでもいいんですか」


「はい。そんなことより幸太郎さん素晴らしいお知らせがあります」


「はい?なんでしょう?」


「実はですね。サンタクロースがすり抜けることのできるのは玄関のドアだけなんですよ。しかし、例外的に子供を盲目的に愛している人だけ壁や天井、さらには床まですり抜けてしまいます。そして、そんなことのできるサンタクロースを私たちは尊敬と畏怖の念を込めて…」





「レジェンドサンタと呼びます」










「お邪魔しまーす。兄貴仕事お疲れ様って、何そのトロフィー?」


「いやぁ、ちょっと俺伝説になっちゃって、あははは」


「何言ってるの。兄貴が伝説になれるとしたらロリコンとしてでしかなれないよ」


ごもっともです
















あー、これで終わるとそこはかとな〜くトイレに小便行ったあとの残尿感のような、あとあじ悪い感じなので俺の今年の夏の過ごし方についてお話ししよう。


俺は車に乗って数時間のところにある素朴な家の前に来ていた。そこは俺の実家だ。ドアを開けると親からの暖かい声が聞こえる。と思わせて普通に俺が来たことは無視される。いつものことだ。脳の中だけでも現実を美化させてくれ。


まあ、こんなことは置いといて、俺は二階に上がると自分の部屋入る。部屋は片付いていて…というより、殺風景な感じだ。そんな部屋のパソコンの前に座ると俺はそれを起動し、普通にエロゲをした。ずっとした。夏の間ずっとした。


やっぱり残尿感が残る


さあ、どうでしたか?なんだか、主人公がかなりのロリコンになっていますが、ロリコンだっていいじゃないか!

修学旅行の計画が本格的になって行き僕の公開処刑が始まろうとしています

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