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ゆきだるま  作者: 梨奈
6/17

*第5話*。:*~過去と今~


相変わらず歩みが遅いストーリーとなっています・・・(汗

このまま学校卒業までに完結できるのでしょうか・・心配です。


今回はとくに話がのろのろしています・・

申し訳ありません・・・!


最後まで見守ってくださると幸いです・・・!!!



夕日が放つ光は、高いビルによって私達には届かなかった。その点あの2人には眩しいほどの赤い日差しがあっていた。




美奈子は少し後ずさりをし、あの2人がいる方向とは真逆の道を走っていった。


目にはいっぱい涙をためて…






美奈子と目の先にいるあの男は、私にとって理想のカップルだった。

きっと私だけじゃないと思うけど。





朝は雅也と2人で一緒にいる美奈子。

美奈子の席に彼が来たり、彼の席に美奈子がいたり。

「おはよ~」

って言ったら

「おはよう!」って

2人は口をそろえて

挨拶を返してくれた。




漢字の小テストを、予告された国語が始まる前は2人で一生懸命に漢字を覚えていた。

「美奈子。これ、何て読む?」

「可愛い(かわいい)だよ」

「違う。可愛いって書いて、美奈子って読む。」

「なにそれ~!」





体育の時、彼にタオルを持っていくたびに撫でられていた美奈子。美奈子は照れくさがっていたけど、彼は本当に嬉しそうにして、何かを美奈子に言っていた。




いつだったかな

梅雨が明けた日の下校時間、急に雨が降り出した。私は偶然、折りたたみ傘があったけど、美奈子は傘を持っていなかった。


2人で入るには小さすぎる折りたたみ傘。


教室で「どうしよう」って言っていたら、美奈子の頭の上に黒い折りたたみ傘を、彼が軽くのっけた。

「俺は使わないから」

って笑顔で言う彼に

「雅也が濡れるなら、私も使わない」

って美奈子が傘を返した。

彼は優しく笑って

「じゃあ一緒に入ろう。俺のは大きいから」

って言って美奈子の持っているカバンを取り上げるように持った彼。


「家、真逆でしょ~?」

美奈子は遠慮して言ったけど嬉しそうでもあった。


「美奈子が濡れるなら、俺も傘使わない」

「何それ~っ」




「甘えなよ美奈子!私はさつきと帰るから。ね!さつき」

私は偶然近くを通ったさつきを捕まえて言った。


さつきは一瞬「何が?」って感じだったけど、すぐに状況を察知してくれた。

「そうそう!邪魔者の真耶は私が責任をもって預かるから」

「何それ!さつきっ」


「ありがとう真耶。さつき。」



そう言って美奈子は手を振り、彼氏と共に教室を出た。

数分したら玄関から出る2人を窓から見ることが出来た。


傘は私より大きいかったけど、2人で入るには少し窮屈っぽかった。


「雅也の左肩、びっしょり!美奈子気づいてないね」さつきが言った。


彼は美奈子が塗れないように傘からほとんど体を出していた。







美奈子も彼も、友人に惚気(のろけ)たりは滅多にしなかったけど、お互いに愛しあってることは一目瞭然だった。




普段は友人と一緒にいることが多い2人だけど、2人でいる時は本当に幸せそうだった。


「千夏なんか、休み時間も彼に会いに行ってるのに」

「何よ真耶っ!今いるでしょ?」

「今、彼のクラスは体育でいないんだよね」

紀香(のりか)が言う。

「そう。あいつは2組で1組と合同。4組の私達と合同じゃないから寂しいのよね~」

「昼休みに会えるでしょ」

私は相変わらず寂しがり屋だね~と千夏をちゃかした。





ふと美奈子をみると

いつの間にか彼とラブラブしていた。












日が暮れるのが遅い今日この日。


今までのは何だったのか…

美奈子はあの男に騙されていたのか…


あの女の人は幾度(いくど)か見たことのある先輩だった。


…いつから付き合っていたのか…



みんな同じことを考えていたに違いない。





私は美奈子の落とした財布を拾い上げた。


笑顔が耐えなかった美奈子。

いつも幸せそうだった美奈子。




それは嘘偽りない、美奈子にとって宝物のような日々だったと思う。



財布の裏に

彼と写る美奈子のプリクラが一枚貼ってあった。



可愛らしい笑顔を満面に出して、彼の肩に寄っている美奈子。






私は美奈子の気持ちを考えるといてもたっても居られなかった。




「あ…っ!ちょっと真耶!?」あの2人の元へと走り出した私に、みんなが驚き、焦った。

さつきが私を止めようと走った時には遅かった。





私は美奈子の彼氏を

思いっきり殴った。





近くにいた人

通りすがりの人

さつき達

女の先輩

美奈子の彼氏




みんな驚いたかもしれない





時が一瞬止まった










「なにすんだよ!!」

雅也が私の肩を押した。

私は何からどう言ったらいいのか迷った。

と、言うより怒りで声が出なかった。


私は押し返した。

すると相手も押し返す。

また私が押し返した。


「何なんだよ!仲田ぁ!」

今度の押しは強かった。

でも私はすぐに押し返した。



涙が出た。




何か言いたい!

でも何を言ったらいいのか、何から言ったらいいのか…!



今度は押し返されるまえに、突き飛ばす勢いでいた私の腕を誰かが止めた。

…さつきだった。

さつきは黙って首を横に振った。




すると見ていた女の先輩が言った

「もしかしてまさやんの彼女?やだっ見つかっちゃった!」

「…どうゆうこと?」

あとから来た千夏が聞いた。


「…美奈子は?」

質問を遮るように雅也が言った。

「仲田が持ってるその財布、美奈子のだな。じゃあ見られたのか」

「どうゆうことかって聞いてんのよ!」

千夏もキレる。



「どうゆうことって?」

女の先輩が私達の前に出た


「見てのとおりよ」

飛びかかる勢いだった私をさつきが強く止めた。




「行こうっまさやん!」

2人はその場を去ろうとしていた。

「待て!」と呼び止める前に雅也が振り向いた。




「美奈子とは別れる」





その声は今まで聞いたことのない、低く冷たいものだった。

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