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ゆきだるま  作者: 梨奈
11/17

*第10話*。:*~勇司との距離~


約一週間ぶりの投稿です。

相変わらず長文となっています。


最後までご観覧くださると幸いです。♪

やっぱりね。

簡単なんだよ

人を好きになることって。


自分の理想に出逢えれば好きになるだろうし、

そうじゃなくても一度気になればいつの間にか好きに……な~んてことも。




人が人を好きになるって

いいこと何だよね…?



ねぇ。

私はあなたのことを好きになっていいのかな。


…ううん。いいんだよね。

好きになることは自由だもんね。


ね。そうでしょ?





私は自分の意志であなたを選んだ。











「行ってきま~す!」

冷たいそうめんを食べたあと私は体操服に着替えて家を出た。


学校の校庭に数名の生徒が集まっていた。同級生の応援団員だった。



「真ぁ~耶ぁ~!」

美奈子が私を呼んだ。

「今日も頑張ろうねっ」

走ってきた私の肩をポンと叩いて美奈子が言った。



応援団の練習は夏休み中旬の今まで、ほぼ毎日あって、私と美奈子と団長の野崎君は休むことなく練習に励んだ。


応援団の集まりは悪く、10人全員が集まって練習することは少なかった。



数分ごとにメンバーが集まりだした。

待ち合わせの時間が経って団長がみんなに練習開始の呼びかけをした。


今日は7人。

来ていない3人の中には勇司君も入っている。



「今日も昨日と同じ演武(えんぶ)の練習な!」

団長の声が校庭に響く。






練習はいつもどおり夕方まで続いた。


練習終了の時には必ず校門の前で雅也が美奈子を待っている。


「迎えはいいよって言ってるんだけどね。心配だからって、雅也ったら変な責任もってるの。」

そう言い残して、じゃあねと美奈子は幸せそうに彼のところへと走って行った。



私は1人で帰っていた。

…今日も来なかったなぁ…

そんなことを思いながら歩いていると道の曲がり角で誰かとぶつかった。


「ごめんなさい」

慌てて謝ると、相手は

「真耶?」

と私の名前を呼んだ。



ふと相手の顔を見上げるとそこに立っていたのは…



もう分かってるよね。

…そう。勇司君だった。





「ゆっ勇司くん!」

「勇司でいいって!」

そう言って勇司君は、…あ。えっと勇司…は、笑いかけた。

「真耶は練習?」

「あ…う、うん。勇司君は?」

あ。また勇司くんって言っちゃった。

「友達んとこでスマブラしてた」

そう言ってまた笑う勇司君の私服はオシャレで凄くかっこよかった。



…まるで彼女のところに行ってきた帰りのようにみえた。


「言っておくけど!俺、彼女いないぜ?」

「え…」

まるで私の頭の中を丸読みされたような不思議な気持ちがした。

…もしかして顔に出てた?

「ごめんな」



いきなり勇司君が私に謝ってきた。

「え…っな、何が?」

「『練習頑張ろう』とか言って俺、サボりまくりでさ。」

「そ…そんな!謝らないで!せっかくの夏休みなんだもん!それをどう使うかは個人の自由だよ」

「それでも真耶は練習を毎日してるんだろ?昨日さ、団長からメール来た。」

「あ。わ、私は暇人だから…!」

「ありがとうな。俺頑張るから、演武教えてくれよ」


そう言われて喜ぶヒマもないまま、勇司君の右手は私の頭の上に軽くのって離れた。

「また明日!」

そう言って去っていく彼の後ろ姿は男らしくて、格好良くて…。




…愛おしい。







翌日の練習から勇司君は毎日来てくれた。

私は凄く嬉しかった。


美奈子は、練習終了後すぐに彼の元へと走り去って行く。

私は勇司君と少し話をしてから解散していた。

「真耶は昨日のドラマ見た?」

「あ!『夢現(ゆめうつつ)』のこと?見たみた!」

『夢現』っていうのは記憶喪失の彼女を彼が色々助けてくれて、でも彼女の病だいは悪化していく話。

「あれ感動だよな」

「ね~。最後はどうなるのかなぁ」



そんな他愛のない会話が凄く幸せで死にそうだった。



練習をする日々が多くなるうちに演武のクオリティが上がっていき、応援団員は全員集まるようになってきた。


そのたびに私と勇司も仲良くなって、私はますます勇司に惚れていった。


「今日の演武、難しくねぇ!?」

「え~っ!簡単だよ!」

「やってみせろよ~っ!」

「まずこうやって…こう!」「それが俺は出来ねぇの」

「勇司って飲込み悪~い」

「うるさいなぁ!」







そんな私達の姿をとある人が見ていたなんて、この時の私は気づかなかった。




夏休みはあっという間に残り一週間となった。


この日も練習はあった。美奈子と一緒に校庭へと歩いているうちに私は言った。

「一週間ぐらい休みたいよね」

夏休みはずっと応援団の練習だったから少しは休みたいって思って口に出た。


「良弘…燃えてるよね」

「三年生の演武見た?スッゴく凄かった!」

「真耶意味わかんな~い!」




校庭に着くと、団長の野崎良弘が先に来て、1人で演武の練習をしていた。と思いきや勇司もいた。



2人で演武の練習かと思ったら、次の瞬間、良弘の拳が勇司の頬に直撃した。

勇司も良弘に掴みかかる。



…喧嘩だった。




私と美奈子は慌てて2人に駆け寄りワケを聞いた。



答えようとしない2人。

2人とも凄い険悪な雰囲気でお互いを睨んでいた。



すると勇司が口を開いた。

「練習はみんな頑張って来ただろ?だから休みを入れるべきだ。31日まで練習なんて俺はお断りだ」


…どうやら練習のことでもめているらしい。



「…そんなんで大丈夫なのか?本番は夏休み明けの一週間後だ。今やれることはやっておくべきだ」

「放課後やりゃあいいだろ?」

「演武も人一倍に下手なお前が、休みだなんてよく言えたもんだよな」



この良弘の言葉に、言われた勇司じゃなくて私がカチンときた。


「勇司は練習を頑張ってきた!私も教えた!もうみんな完璧じゃない!どうしてそんなに優勝にこだわるの!?少しは団員のことも考えなさいよ!!」



怒鳴る私に美奈子が続く。「良弘は勇司に一度も演武を教えてないわ!『休んだ奴が悪い』だなんて言って…。団長がそれでよく優勝を取るなんて言えたものよね!」



すると良弘は思いっきり地面に足を振り下ろして

「俺はこいつが嫌いだ」

と言った。






結局この日から練習はしなくなった。



とある夕方、お遣いを頼まれ町を歩いていると、良弘が彼女と一緒に映画館から出てきた。

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