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【チャレンジ】用法と意味【日本語の色々】

 今回はメモ帳を開いてお読みください。

 今回はクイズ形式です。

 解説も少し行います。


 11.09.10 一問追加―Q12(最新のみ表示)

 この『ライトノベルを書く。』を読んでいる諸兄らの多くは、小説を書いていると思う。小説は突き詰めてしまえば文章の塊であり、その文章はこの国では日本語で書かれている。つまり日本語を正しく使っていく必要がある。

 実は日本語というものは用法が難しい。

 意味も字面通りに受け取ってはいけないものもある。

 今回はそんな日本語の慣用表現を中心に、自分が正しく理解しているかを確認してみてほしい。


 良いストーリーも良いキャラクターも、それを表す言葉を間違って使ってしまうと意図したものにならないかもしれない。




●練習問題

Q:「世間ずれ」という言葉の意味を、下記から選べ。

 1:世間一般の考え方からずれている。

 2:世間の荒波にもまれ、ずる賢くなっている。

 3:世間に対して偏った思想を持っている。



A:答えは「2」

 実は答えは「2」である。一般的には「1」と誤解されがちであるが、「世間ずれ」を漢字で書くとどういうことかがわかる。

 「世間ずれ」は漢字で「世間擦れ」と書く。「擦れ」は「こすれる」であり、荒波にもまれていることを意味する。世間の色々な黒い部分に触れてきて、ずる賢く生き抜く術を身に付けた人をことを指す。この言葉は思ったよりも相手に対してきつい表現である。


 例文:彼女は可愛い顔をしているが、実は世間ずれしている。

 意味:見かけは可愛いけど、ずる賢くて腹黒いよ。


 「世間からずれている」のではなく、「世間にすられている」ということだ。


 このような形で問題を出していく。答えは最後にまとめて紹介するので、忘れないようにメモを。

 問題の形式は選択式、記述式ところころ変わるので、頑張って対応してほしい。



●問題

Q1:「おっとり刀でやってきた」の意味を下記から選べ。

 1:大急ぎでやってきた。

 2:のんびりとやってきた。

 3:定刻に遅れずやってきた。


Q2:「聞き耳を傾けた」を「聞き耳」という表現を用いて正しい用法に直せ。


Q3:「彼は押しも押されぬ大家になった」を正しい表現に直せ。


Q4:「相好そうごうを崩す」の意味を下記から選べ。

 1:笑顔になる。

 2:泣く。

 3:怒る。


Q5:「流れにさおさす」の意味を下記から選べ。

 1:流れに反発する。

 2:流れに乗る。

 3:流れを作る。


Q6:「笑顔がこぼれる」は言いたいことはわかるが、表現として誤っている。正しい表現に直せ。


Q7:「二の舞を踏む」という表現を、「二の舞」という言葉を用いて正しい表現に直せ。


Q8:「閑話休題」の正しい用法を下記から選べ。

 1:本題からそれて余談をする場合に用いる。

 2:余談から本題に戻る時に用いる。

 3:疲れたから休むことを表す時に用いる。


Q9:「あのアニメは期待倒れに終わった。」から誤った表現を見つけ、正しい表現に直せ。(解答は二つ)


Q10:「泥仕合」の意味を下記から選べ。

 1:泥まみれになること。泥まみれになりながらも何かを懸命に行うこと。

 2:相手の弱みなどを言い合い、きたなくののしり合うこと。

 3:スポーツや議論などにおいて、あまりにレベルが低く、見るにたえないこと。



Q11:A「くっ……強い!」

  B「フン! お前が俺の相手をするなんて役不足なんだよ!」

  A「え? あ、ありがとう」

    どうしてこんな会話になってしまったのか。理由を述べよ。


Q12:次の文章の間違いを指摘せよ。

  『「わたしにとって自由なんていうものは、自分勝手な妄言にすぎないんです。わかりますか? わからない? それならそれで構いませんよ。ええ。まあ、自由なんて妄言を吐く人間は、すべからく負け犬なんですよ。わたしにとってはね。このわたしの主張を忘れないのなら、わたしはそれで構いません」』



●解答と解説。

Q1:答えは「1」

 「おっとり刀」は「押っ取り(押取り)刀」と書く。これは武士が刀を腰に差すことすらせず、大慌てで刀を持って表に出ていく様を表した言葉。語感からはのんびりしているように思ってしまうが、決してそういう意味ではない。


Q2:「聞き耳をたてた」

 「傾ける」のは「耳」である。「耳を傾ける」と言った場合は、話し手の言葉を注意深く聞くことを言う。「聞き耳をたてる」というと、周りにいる誰かの話を盗み聞くことを言う。


Q3:「押しも押されもせぬ」

 確固たる地位を築き、堂々としていることを言う。自分から他者を押しのけることもせず、また他者から押しのけられることもない。「押しも押せぬ」というと、自分は他者を押しのけるが他者は自分を押しのけられないという意味になる……と思う。前者と比べるとちょっと人が小さく見える。


Q4:答えは「1」

 これは仏語がもとである。「三十二相八十種好」の略。詳しくはググったり辞書で調べてみよう。それまでの表情を崩し、笑顔になることを言う。「表情を崩す」と言われると「泣く」ことも「怒る」こともそうなのだが、そこは慣用表現。使い方は限られており、この場合は「笑う」ことのみを指す。


Q5:答えは「2」

 「掉さす」は流れに乗ることである。この「棹」は、船で川を渡るときに使うオール(厳密には違う)のことだ。竿で川底の石を突いて船を移動させる際、川の流れに棹をさしている。そこからきている。棹をさして巧みに川の流れにのる様を表している。


Q6:「笑みがこぼれる」

 冷静に考えると「笑顔がこぼれる」のは怖い。新聞などでも時折「笑顔がこぼれる」という表現が見受けられるが、今のところ辞書には載っていない。


Q7:「二の舞を演じる」

 これは意地悪な問題。確実な回答は存在しない。だが、一般的には「二の舞を演じる」が正しいとされ、「二の舞を踏む」は誤用とされている。辞書にも前者が載っている。「舞は演じるものだ」という解釈から。「踏む」の表現は、「演じる」とほぼ同じ時代から用いられていたらしい。今後の研究によって、もしかしたら誤用ではなくなるのかもしれない。不安な場合は「二の舞になる」と用いれば良い。

 ちなみに「踏む」を用いた場合は「二の足を踏む」もしくは「轍を踏む」となる。


Q8:答えは「2」

 「閑話」は無駄話。「休題」はそれまでの話をやめること。ふたつを合わせると「無駄話を止める」という意味になる。簡単に言うと「閑話休題」は「それはさておき」という意味。本題が無駄話という状況はほぼあり得ないので、解答は「2」となる。


Q9:「期待はずれに終わった」及び「看板倒れ」に終わった。

 「期待はずれ」と「看板倒れ」が合わさってできてしまった表現。看板倒れで期待はずれなアニメだったのだろう。「期待はずれ」は今更説明の必要がないだろう。「看板倒れ」は表面だけで実質が伴わないことを言う。類似した表現に「羊頭狗肉」がある。


Q10:答えは「2」

 「試合」ではなく「仕合」であることに注意。泥にまみれながらお互いをののしり合ったことから、「相手の秘密や弱みを暴露し合って、醜く言い争う」ことを指す。特に「3」と間違いやすい。政治家が選挙戦で行う「ネガキャン(ネガティブキャンペーン)」はこれに当たるだろう。ちょっと違うかもしれないが、イメージとしてはあのような言い合いを指す。


Q11:「役不足」の意味をBが間違えて覚えていたから。

  そもそも「役不足」の意味は、素晴らしい役者に対して役柄が不足しているという意味。つまり、「お前ならもっといい役ができるのにな」ということである。つまり褒め言葉。「役不足」はその正反対の意味として理解されていることが多く、誤用がよく見られる。「私にゃぁ荷が重いです」と言いたい場合は「力不足」を用いるのが適切。「役者不足」という言葉も時折耳にするが、これは造語であって辞書には載っていないのであまり好ましくないだろう。


Q12:「すべらかく」には、「全て」や「ことごとく」などの意味はない。

  本来なら「そうするべきこと」という意味。「必然的に」や「当然」と言い換えることが可能である。長い文章と、暴論のような極論に惑わされてはいけない。

  もしかすると、誤用の意味で浸透していく言葉――なのかもしれない。


 どれくらい正解しただろうか? そして問題なのは、どれだけ勘違いして覚えていただろうか、ということである。練習問題が一番正答率が低いのではないかと思うのだが、どうだろう。

 正しい言葉の使用は小説を書いている者として、ぜひとも身につけたい必須のスキルである。正答率が低いと感じられたそこの読者の……そうあなた! これを機に少しだけ慣用句や四字熟語と触れあってみては? 新たな出会いが待っているかもしれないぞ!


 というわけで、今回はここまで。

 反響があれば問題を追加するかもしれない。その際は追加報告を行う。

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