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比較文学の観点から。

今回は書き手よりも読み手の意識がメイン。

書き手は自身が書きたいように書いているだけだと思います。


例:『薄桃色の空』

 ライトノベルはもとより、小説というものには様々なものから受けた影響が見て取れる。



【比較文学とはなんぞや】

 超絶簡単に言ってしまえば、「Aという小説が何の影響を受けているか」というものだ。

 たとえば、国木田独歩の『春の鳥』という小説は、W・ワーズワーズの詩『There was a boy』(和題『童なりけり』)の影響を受けている。このことは『春の鳥』の作中でも語られていて、『春の鳥』のストーリー構成も『童なりけり』を踏襲とうしゅうしている。


 比較文学とは、このように「他の作品から着想を得、踏襲した作品群」を言う。

 今回の『ライトノベルを書く。』では、そこまで厳密に区別せず、「他の作品から影響を受けたもの」として考えていく。


 注意してほしいのは、いわゆる「二次創作」とは異なるということである。



【本文】

 比較文学でライトノベル全体を見ることはできない。比較文学で見ることができるのは、その作品単体、もしくは○○主義・派(『春の鳥』なら自然主義)の一部を考えることができるのみだ。

 基本的に作品ひとつを読みとくための考え方である。

 

 以前、どこかの記事で「ライトノベルと作者は切り離して考える云々」のようなことを書いたと思うが、この比較文学の視点から見れば、ライトノベルと作者――作品と作者との関連は深い。

 また「比較」とあるとおり、その作品が一体何の作品を踏襲しているのか、影響を受けているのかを知っていることが大切だ。ライトノベルにおいて、本文中にそれが書かれていたり、あとがきで書かれたりすることは稀だが、なんらかの方法で知った時、それについて考察するのも良いだろう。


 考察の簡単な手順の紹介として、久しぶりに人鳥の小説から例を上げてみようと思う。



例:『薄桃色の空』

 この小説は、KOKIAの『うす桃色の季節』とフリーゲーム『君が見せた笑顔~The love illusion in summer~』から着想を得て書いている。

 ひとつずつ見ていこう。


 『うす桃色の季節』

 そもそもタイトルからほぼ同じである。

 今は会えない相手を想いながら桜の咲く道を歩いている人の恋慕の情と決意を、穏やかな曲調で表現している。

 歌詞の中に


 ※歌詞転載についての規約に従い、この部分を削除しました。


 という節がある。

 人鳥が『薄桃色』を書くにあたって最も意識したのはこの部分だ。作中ではこのような場面はないけれど、読了後の主人公たちはこのような思いを抱いているのだろう、と思ってもらえるように書いたつもりである。


 印象深いフレーズに『100年後の日の約束』というものがあるが、これが一体何を示しているのか、実はよくわからない。もしかしたらKOKIA本人にしかわからないのかもしれない。

 けれども、わからないなりに自分で考えて書いた。その部分がどういう部分なのかは、興味があれば読んで、聴いて考えてみてほしいと思う。


 人鳥は『薄桃色』を書く時、ずっとこの曲を聞きながら書いていた。他の曲を一切かけず、この一曲をエンドレス・リピートである。

 『うす桃色の季節』は『薄桃色』にとって最も基本となる部分であり、物語の雰囲気に大きな影響を与えている。



 『君が見せた笑顔~The love illusion in summer~』

 物語の基本となった作品。当初、『うす桃色の季節』から小説を書くことを決めた人鳥は、そのジャンルに頭を悩ませた。

 恋愛もの。

 恋愛もの以外の小説にはできなかったのである。

 そこでこのゲームを思い出し、プレイして、雰囲気を味わって書き出したのだ。

 結果、双方を知っている人ならば「パクリじゃない?」と言われてもおかしくないほど、似通った物語構成となってしまった。

 さすがにこの場で「いや、ラノベにオリジナルなんてあり得ないし」と、開き直ることもできない。

 良く言えば踏襲、悪く言えばパクリである。興味があれば、その辺、読んで、プレイして検証してみるのも良いかもしれない。


 共通点

 ・病を抱える少女と、自分に悩みを持つ少年の出会い。

 ・少女の友達を増やそう、生きる時間を明るいものにしよう、と物語が展開する。

 ・初めて出会った時、少女が意味深な発言をする。

 

 この三つが挙げられる。特に二番目の類似が多い。

 いや、「比較文学」という観点から考えているから、ここでは類似というよりも、影響と言った方が良いのかもしれない。



 他にも例を挙げたいが、人鳥の小説ではこれ以外に適切なものはない。



 ここまで読んだ諸兄らはもう気づいているだろうが、これは書き手というよりも、読み手が意識するものだ。書き手は「これは比較文学云々」ということは考えなくても良い。読み手が「作品A」と「作品B」との関連を見出だし、その意味を読みとることに意味がある。

 これは文学鑑賞の方法のひとつで、研究法のひとつである。


 まるで「人鳥さん、自分の小説の宣伝お疲れ様です^^」と言われかねないような記事だけれども、「比較文学」は文学鑑賞の大切な要素なので、わかりやすく解説した。本当にわかりやすいかは謎だけれども。

 わかりにくい場合は、感想欄か活報のコメント欄にその旨を書いてほしい。

 随時、記事を編集する。

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