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【番外】イラストを考えてみた。

読者さんからのご要望に応えて。



 ライトノベルと言えば、何と言ってもイラストである。イラストがないものはライトノベルではないと言っても過言ではない。いや、過言である。イラストがないライトノベルだってあるだろう。しかし多くのライトノベルにはイラストがあり、作品に多大な影響を与えている。


 今回はそんなイラストについての記事が読みたいという声が聞こえたので、それについて。

 これを読んでいる人がいつ出版するとも限らないし、出版されたらイラストが書かれるかもしれないし、もしかしたら演出を少し考えてくれと言われないとも限らない。そんな可能性を信じて、いつものように人鳥的考察を。



【なぜイラストが必要か】

●絵の説得力

 前述の通り、ライトノベルとイラストは今やセットのようなものだ。

 ライトノベルとは何かと問えば、「イラストがある小説」と返ってくるなんていうこともままある。

 

 ぼくはこのイラストの意義として、ライトノベルの定義のひとつとして『前提』の記事で挙げている、「サクサク読めること」に役立つことが挙げられる。あの記事の説明では、一般に文学作品と呼ばれている作品群(無論、ライトノベルも文学であることに違いないが、そう思わない人もいる)は登場人物(特に主人公)と書き手の関係を考察することを挙げ、ライトノベルにはその必要性がほとんどないことを理由に、ライトノベルはサクサク読める小説であるとした。

 ここでまず、気軽に読むことができるようになっている。


 次に「ゲーム的である」ということも書いた。ここではこの言葉を変え、「漫画的である」と言おう。漫画は当然、絵で表現するものだ。小説は文字。

 ライトノベルと小説は、表現する方法に違いはあっても、内容的には似通っている。ライトノベルが漫画化しても、漫画が小説化しても、あまり違和感は感じない。それはその内容が、どちらの媒介で表現しても耐えうる内容であるからだろう。


 ……論点がずれている気がする。きっとこの次に書いていることが言いたかったはずだ。


 次にイラストが持つ力――特に表現における力について考えてみる。

 絵と文字では、圧倒的な表現力の差がある。長所と短所は存在するが、瞬間的な理解では絵が勝る。


 コップが机の上におかれているとして、それを絵で表現すると、漫画では一コマで終わる。しかし文字では、そのイラストに書かれた内容を表現しようとすると、かなりの文字数が割かれてしまう。文字で説明されている場面を絵にすると、その絵の説得力の強さに驚かされる。

 イラストにはそういう力が存在する。


 文章で描かれた風景を、より具体的に、明確にするためにイラストは書かれているのだろう。

 しかし待て。

 「小説は想像ができるからこそ良いのではないか? イラストがあるとそれに支障をきたして良くないだろう」という意見を持つ人がいるだろう。それはその通りなのだが、その件については次で。



●想定する読者層

 ライトノベルの読者は一般的に、中高生と言われている。ぼくは大学生でライトノベルを愛読しているが、いつから読み始めたかといえば、それは中学生の頃からである。

 ぼくの母もライトノベルをたまに読むが、どうして読むかといわれれば、ぼくが勧めたからである。中学生の頃だ。


 どうして中高生とイラストが関係するのか。

 小学生の子といえば、漫画派と小説派で分ければ多数を占めるのは漫画派であろう。つまり絵に親しんでいることになる。そういう子がいきなり文字だけの小説を読めるかと問われれば、それはきっとできないだろう。国語の教科書にはイラストの無いものが多くあるが、文章量は少ない。大量の文字を読み続けるのはなかなか難しいのである。

 そこで、イラストの出番である。


 多くのライトノベルでは、表紙・巻頭カラー・作中場面、これらのイラストが描かれている。

 まずは表紙のイラストで、「お手軽に読めるよ!」とアピールをする。

 次に手に取った彼はページを開くだろう。するとカラーイラストがお出迎えをしてくれる。

 続いて彼はパラパラとページを読むでもなくめくるだろう。すると各話に2枚前後のイラストが描かれていて、読めるかも? と思うかもしれない。


 信じられない人もいるかもしれないが、物語の趣旨云々よりもイラストで決めて買ったというライトノベル読者は意外と多い。いわゆるジャケ買い(ジャケット買いの略。詳しくはg先生やy先生に)である。


 そして少年向きなら表紙に少女を、少女向きなら少年を――そんなことは関係なく、とにかく主人公や主要キャラを、その目的やテーマに応じて配置する。

 


 場面ごとのイラストでは、見せ場や濡れ場が多く描かれる。当然である。読者が「この場面が見たい!」と思う場所を予測し、その場面のイラストが掲載されている。

 本当に個人的な意見で申し訳ないが、最近、濡れ場のイラスト多すぎないか?


 ともあれ、このように各場面のイラストが描かれることにより、読みやすさと場面の明確化が両立されるのである。おっと、場面の明確化は文字でするべきだという声が聞こえてきたような気がする。だがあまりそれにこだわると、文章が細かくなり、場合によってはくどくなってしまう。それを売りとする作家なら良いが、そうでない場合、疲れさせてしまうという結果に陥る。

 ライトノベルは読みやすさの小説なのだから――多くのライトノベルがそれを証左しているだろう――必要以上に疲れさせてはいけないのである。


 想定する読者層である中高生にとって良い環境を作ることに、イラストは役立っているのだろう。



【イラスト配置】

 イラストの配置の仕方は1パターンしかないと思っていないだろうか。

 少なくとも5パターンは確認した。


 1:左側のページに掲載

 2:右側

 3:見開き(左右両方)

 4:1ページおきに、パラパラ漫画のように(説明しづらい。カメラワーク? うぅむ……)

 5:文字の中に


 1、2は見たことがあるだろう。基本的な方法だ。

 3、4は、西尾維新『新本格魔法少女リスカ』1巻で両方とも確認できる。

 5は、『同上』の3巻で確認できる。


 1、2に関しては、色々と考えることができる。

 つまり、漫画のように読者に対するインパクトや、心情に対して与える影響を考えて配置している可能性が大いにある。左側のページに配置すれば、ページをめくった瞬間に目に入ってくることになるから、そのインパクトは大きくなる。漫画でもよく使われている手法である。

 右側に書くイラストは、ギャグパートや風景・情景のイラストが多いように思う。それでも見せ場のイラストが左側に来ていることも多い。また、ある一冊の中で、全て右側・左側に固定している場合もあるので、そういう場合にはこだわりがあってそうしているのだろう。


 どういう意図でそのような配置にしているのか、考えてみるの面白いかもしれない。

 実はそこら辺のことを書いてほしいと要望があったのだが、さすがにわからない。右側にイラストを掲載している場合、それはインパクトを与える手法であることは疑いようもないことだが、左側にあるものはわかりづらい。右においておけばインパクトを与えられるようなものでも左においていることもある。

 書き手とイラストレーター、その他関係者によって何らかの話し合いがもたれているのだろうけれど、作品毎に意図は異なるだろう。


 

 3は、その作中では、主人公(女)が変身をした時、それから主人公(女)と主人公(男)がお菓子を食べている時などで見られる。見せ場や大切な場面で見開きが使われているのだ。これも漫画でよく見られる手法である。見開きは、左側にイラストをおくよりも、さらに大きなインパクトを与える。開けた瞬間、その全体から作品の場面――しかも見せ場や大切な場面が飛び込んでくるのだから、その効果は計り知れない。


 4は、よくわからない。あれも見せ場である場所だから演出であろう。執筆を依頼した方はこれをメディアミックスして商品展開を夢見ていたようであるから、アニメっぽさを出したくて、イラストレーターにお願いをしたのかもしれない。


 5は、ぼくにとって左側、右側を使ってイラストを載せるよりも臨場感があった。イラストにあわせて文章が改行され、イラストと文字が共存している。イラストは当然、そのページで描かれた場面であり、文字を読むと同時にその場面が絵で迫ってくる。一体感があるのだ。


 ※また西尾維新の名前が出てきたが、人鳥のこの記事を読む限り、この人の名前が出てくるのは仕方ないことだと思っていてほしい。いささか名前を出し過ぎているような気もするが、ぼくにはどうしようもない。万が一、人鳥について論文を書くなら、彼の名前を入れておく必要があるだろう。


 古い記憶だから記憶違いかもしれないが、見開きのイラストで全面真っ黒になっていたことがあったような気がする。もしかしたら漫画と混同しているのかもしれない。もはやイラストとも呼べないが、果たす役割はそれと同じであろう。


 ここ、「小説家になろう」ではイラストを表示させることができる。しかし、このサイトのレイアウト上の問題で、本のようには表示できない。縦読み表示にすることはできるが、これを本のように扱い、イラストを効果的に配置するにはかなりの手間がかかるだろう。

 何年かのちに、本のようなレイアウトで表示させることができるようになるかもしれない。そうなれば、ここで書いたことも活用しやすくなるので、運営にやってもらいたいと心の中で思っておく。

 これが的外れな記事でなければ、という前提が常についてまわってしまうのだけれど。


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