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碧い航海日誌   作者: 松本朱海|徒然なるままに
最初の話

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7/9

7, 学園祭

風に乗ると、心も少しだけ大胆になる。

怖いのに、楽しくて、離れたくなくて。

近づく距離に、ちゃんと理由をつけながら。

今日は、バイクで学園祭へ向かいます。

大学の学園祭、

家も近いし迎えに行くよ、って連絡が来たから家の前で待ってみる。

やっぱり5分前。

でも、今回の5分は、楽しみで準備が早く終わってしまった5分。

今月のお小遣いももらったし、用意万端。


忘れ物がないかチェックしようかと思ったら…

エンジンの音?なに?

目の前で赤いバイクが停止した。

郵便屋さん?宅急便?


「おはよう、待った?」


おーっっつ、まさかの朱海班長?

バイク?乗ってたのー!?


「あ、あーけみはんちょー、おはよう、ございます。

バイク?ですよね?」


見ればわかるだろー、私!メチャかんでるし。

ダサすぎる…


「うん、電車でも良かったんだけどね。

先輩に借りてたんで、ちょうど良いから今日返そうと思って。

帰りは電車なんだけど、いい?」


「何なら自転車でもマラソンでも構いませんがっ!」

「本当?じゃあ帰りはマラソンかな?」


あー、心の声を大声で発言してしまった。

班長大笑い。


「ヘルメットはこれを使って、バイク乗ったことは?」

「ありません!」


あると思います?普通ないでしょー!

変に力が入ってしまった。

手取り足取りって感じで教えてもらい、出発。

だからズボンでって話だったのね。

てっきり、サッカー大会でもあるのかと思ってた。


初めて乗るバイクは、すっごく怖くて、

その10倍くらい気持ちよかったの。

風になるって、こういう感じかも!


「大丈夫?ちゃんとつかまってる?」

「大丈夫です!握力には自信あるんで!」

「そう?疲れたら腰につかまってね、飛ばされたらシャレになんないから」


え、マジ?飛ぶの?

絶対だめなヤツじゃん!

って、信号のスタートで少し油断しちゃって、本当に飛ぶかと思った。


「ねえ、お願い、腰、掴んで」


次の赤信号で班長に頼まれた。

遠慮してる場合じゃないかも。

はいはい、ごめんなさいね~、ちょっと失礼しますねー。


腰…をつかむっていうのが良く分からなくて、腕で抱きしめるようにしてタンクに組んだ手を置いた。

よし、これでどうだ!

どんとこい!!


何の勝負かよくわからないけど、なんだか楽しい。

班長がチラッとこちらを見た。


「行くよ」

って、言った気がした。

だって、エンジンの音がうるさくて、よく聞こえないんだもの。


大学についてバイクを降りたら、ちょっとふらついてしまって、

すごく心配された。


「大丈夫です。興奮したのと、いつも使わない筋肉を力いっぱい使ったからなので」

「転んだら危ないでしょ」


手を差し出されて、躊躇なくつないだ。

んーと、危ないからね、しょうがないね。

人も多いしね。


「何か言った?」

「いえ、なんにも」


距離が近いかなぁ。

うっかりつぶやかないようにしなきゃね。



バイクの鍵を返しに行くのに、関係のない私が一緒では気まずいと思い、

一時解散を提案したのだけれど、100%迷子になるからと鋭い指摘をされてしまい、

結局お供することになった。


「先輩!」

「おー、朱海!よく来たなー。どうだった?」


どうやら、班長はバイクを買いたいと思っていて、その先輩のバイクを試しにお借りしていたらしい。


「決めました!ただ、もう少しバイトしないとですけどね」

「まぁ、どちらにせよ春だろ?焦らなくても。で?彼女?」


「違います!」


あー、まず挨拶しようと思ってたのに!

そんなこと言うから!


「初めまして、班長にバイク乗せてもらいました。ありがとうございました」


「初めまして、ライブね、開場は午後だから。それまで学内見学しててよ。

俺は忙しいから案内できないけど。漫研オススメよ。

ところで、朱海は班長なの?軍隊?」


「えと…」

なんて答えたら正解なのかなぁ。


「ありがとうございます!また連絡します!」

「あはは、じゃ、またなー」


返事を考えている間に、終わってしまいましたとさ。

班長‥呼び方を変えた方がいいのかな‥


「あのー‥」

「高校の先輩でさ、まぁ、気にしないでね」

「そうなんですか?」

「とりあえず、漫研、興味ある?」

「あります!」


んー、又、問題を据え置きにしてしまった。

大学生の漫画研究会、行ってみたかったのよね!


「いらっしゃいませ〜❤️」


いきなりのメイドさん、2名がお出迎え。

しかも男子!足毛もじゃもじゃ!


「ごゆっくりどぉぞ〜、似顔絵もやってますよ〜」


あんまり笑っては失礼だけど、笑わずにはいられない。

一通り見て、漫画も読ませてもらって、似顔絵ブースに来た。


「せっかくだから、描いてもらいなよ」

「えー、でもぉ」

「あら〜、せっかくだから2人一緒にどぉぞ❤️」


あれよあれよという間に、2人並んで記念撮影。

これを見ながら描いてくれるので、ここにいなくてもいいらしい。


「でき上がったら取りにてくださいねぇ」


携帯で、出来上がったかどうかを確認できるシステム。

素晴らしい、さすが大学生。

出口で記念にとしおりをくれて、漫研終了。


「‥圧倒される、面白さだね」

笑顔の朱海班長。

「面白いですねぇ、次、どこ行きます?」


アイドル研究会、星空研究会などもあり、あっという間に時間は過ぎた。


「そろそろライブの時間かな」

「待ってました!行きましょう!」


私でも知っている有名なお笑い芸人で、班長も私も沢山笑って、笑いながら会場を出た。

会場はお祭りなんかよりずっと混んでいて、人の波に流されているうちにはぐれてしまった。


まぁ、携帯ありますからね、

メッセージ送れば大丈夫です!

はい、ダメでした!

電源入れた瞬間に電池が1%。

送信ボタンを押す直前に画面が落ちた。


え~と、また迷子でしょうかね?


ここにいると完全に人の流れで危ないので、

どこかに移動したい。

でも、どこへ?

見やすい、探しやすいところは…


はぐれた時はあまり場所を移動しないほうがいい。

そんな事は頭からすっとんでいた。

色んな事があって、楽しくて、

少しハイテンションになっていたみたい。


さっきの漫研の似顔絵がすごく気になってしまって、うっかりもらいにいってしまった。

一人で。


さっきと同じメイドのおにいさんが気づいてくれた。


「はい、おまたせ、これはおまけね」


イラストと一緒にさっき撮ったツーショット。

かわいいしおりもくれた。

やったー!しおりゲット!


「あれ?隊員さんかな?」


あ…さっきの先輩。


「迷子1名確保、漫研前、よろしく」


大人の人が使うような、小さなマイクで誰かと話してるみたい。

教えてくれた内容によると、先輩は学園祭の実行委員長(!)で、

朱海班長から私を探してくれないかと頼まれていたらしい。

班長の先輩って、すごい人なんだ。


「あのね、電話も通じないって、朱海くんがすごぉーく心配してるからね、

はぐれないように、お手てつないで帰りなさいね」


そうでした、迷子だったんだ。

うっかりしてた。


それからすぐに

朱海班長が心配そうな顔で走ってくるのが見えた。

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