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【短編小説】祖(catch up 大熊猫バーガー)國

掲載日:2025/12/29

 電竜 爆太郎は生まれた事を後悔していた。

 結局のところはセックスの不足だ。

 独占禁止法は施行されたものの何ら効果を発揮していない。

 一部による過剰なセックスは変わらず、それに伴う価値の変動で需要と供給のバランスは崩れ続けていた。

 特に日本の東西分裂以降は酷く、西側の人権を奪われた形になる者たちや東側の肌色に依る階級に苦しむ者たちが後を絶たない。

 都会では自殺する若者が増え続け、電信柱に接続された老人達は増え続けていた。




 そして電竜 爆太郎は生きている事を後悔していた。

 自分で有刺鉄線を巻いたバットは重く振り回しづらいのだ。

 やるならジュニア用のバットで作るべきであったと思ったが後の祭り!!

 プロレスラーたちが使うそれも恐らくそうだろう。高校生以上が使うバットではあまりにも使いづらい。


 しかしこれもエリーゼの為だ。

 爆太郎は割り切って自身の筋肉を強化しようと思ったが、プロレスラーでさえジュニア用のバットを使っているのだから爆太郎がこれを使いこなせるようになるまでには大変な時間がかかる。

 仕方なしに爆太郎は有刺鉄線バット屋まで行ってこれを売ろうと考えた。


 爆太郎が寝床にしている安アパートの2階にある部屋を出ると、階段の下で共産党員たちが本を焼いて暖を取っているのが見えた。

「どうですか、集まってますか」

 爆太郎がアカに対する社会性でそう訊くと、共産党員たちはそれに答えず、逆に

「何か燃やせる本を持っているだろう、いや、お前の様な奴は持っているに違いない」

 と言った。


 それを聞いて腹を立てた爆太郎は、おもむろに陽茎を取り出すと勢いよく放尿を開始した。

「放尿は自動なんだ」

 折良く町内放送のスピーカーからは音の割れたマイスタージンガーが流れ始めた。

 共産党員たちは尿で手を洗いながら偽造のブランド品をパッキングしていて、偶然にもそこへ通りかかった国粋主義風の若者がパンダを犯しながら

「ニヒリストだね」

 などと言うもんだから、爆太郎はますます腹を立てて、共産党員の手から暴い取ったコーラの缶でパンダもろとも国粋主義風の若者を殴り飛ばした。


 だがコーラを飲んだところでアメリカを打倒できる訳でもないし、パンダをファックしたところで中国が崩壊する訳でもない。

 アパートを後にして町を歩いてみたが、鉤十字だの旭日旗だのを下げた部屋もあればヒッピー風だとか干しっぱなしの洗濯物がある破れかぶれ生活者と言った具合で、大変結構な感じになっている。

 爆太郎はセックスを探したが特に見つからず、幾人かのインバウンドを撲殺したところで、目的の有刺鉄線バット屋が燃やされているのを見た。


 全てを諦めた爆太郎は、近くの屋台で買った寿司バーガー丸揚げ甘酢餡かけを食べながら、全自動有刺鉄線巻き機と全自動釘バット打ち込み機に関する特許申請を思いついた。

 これで爆太郎もバフェ太郎となりて資本家の仲間入り間違いなしだ。今まで不足していたセックスやミネラルも全て回収できる!!

 そう思い至り腹の底からスカッと爽やかな笑みが溢れた瞬間だった。

 爆太郎は、ノンポリの冷笑ナンパ野郎と言う名目で、先ほどの共産党員や国粋主義風の連れ合いに私的な制裁を頂戴することとなった。



 アスファルトにキスをした爆太郎は、自分の頭部から流れ出る赤黒い血を見ながら、全く馬鹿げた死に方があるものだと思った。

 自分が孫達に囲まれて死ねるとは考えていなかったが、このまで愚かで救いようのない死があるものか。

 しかし死ぬんだから仕方ない。

 死ぬのだ。


 死んだらどうしようか。

 仮に天国や地獄があるとして、中国人はどっちでも繁殖しそうだし偽造品パスポートで出入りをしそうだ。奴らはソフトの威力を知っているから、長いスパンで景色を変えてしまうだろう。

 アメリカ人はどこでも揚げ物しか食わないんだろうし、ヨーロッパ系はルールを決めたがる割にまとまりが無いからグダグダになる。

 そんなだから中国資本に良いようにされるのだ。

 爆太郎は全てがどうでも良くなってきたので、あっさりと意識を手放した。


 その頃、爆太郎が探していたエリーゼはエリートでも何でも無い半端な共産党員の繰り出す歴史ある房中術の虜となって爆太郎の事なんてすっかり忘れて腰を振っていた。

 爆太郎の安アパートと大差ない程度の部屋で行われていたセックスのBGMは半島系のラジオ放送で、ニュースではキリストの発祥が朝鮮半島であると言う声明が発表された。


 間もなく世界は終わろうとしていた。

 全てはドルチュレッタになってビュージェした後にンゴルワニーナとしてクプァドゥルルする瞬間だけが重要だったけれど、それは爆太郎の役目でない事だけは確かだった。

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