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眼差しの力学

作者: たかぎ

自己満足で書いた物語です。

クオリティが低いと思いますが、ご容赦ください。

諸君、この世に神はいない。

あなたがこの世界をどう捉えるか、その視点を通して世界は形作られる。

あなたのその眼を通じて世界を見るかぎり、この世の神とはあなた自信である。


私たちは、紙幣という紙切れに、言葉という音の羅列に、言葉では尽くせないほどの高揚感を覚える。

だがそれはただの幻想にすぎない。

それでも人は、その幻想に意味を与え、共通の幻想を現実と呼ぶ。


たとえば目の前に「ゴキブリ」がいるとする。

だが、あなたがそれを「バッタ」だと信じるなら、それは「バッタ」なのだ。

この世界において、真実とは、必ずしも一つではない。

それぞれが抱える幻想の総和が、やがて「世の理」となる。


楽園を創るのは、神ではない。

他でもない、あなた自身である。私は、そう信じている。


これは、ジュースの中に生まれ、ジュースを味わい、ジュースに溺れた私の物語である。



ある春の朝、私は二郎系ラーメンの写真を見ながら、今日こそ行こうと決心していた。

しかしその巨大な丼と向き合う前に、まずは学校という現実に向かわねばならない。

期待と少しの不安。

完食できるだろうか。胃はもつだろうか――そんなことを考えながら、自転車を漕いだ。


学校の門をくぐると、彼女がいた。

さっちゃん。

彼女の姿は、風に揺れる花のように軽やかで、まるで世界が彼女を中心に回っているようだった。

彼女の躍動感は、私の心を簡単に吹き飛ばしてしまった。

その明るさ、その自然体な笑顔――それは、誰よりも速く、真っ直ぐに、私の中に差し込んできた。


昼休み、私は彼女の近くで、友達と無駄に大きな声で話していた。

それは、ある種の求愛行動だった。

彼女の笑い声を引き出せる距離にいたい。

ただそれだけで、私は生きている心地がした。



誰しもが持つ劣等感。

その唯一の解消法は、自らが「優」になることである。


彼女は、何もかもが自然体だった。

勉強ができるわけでも、特別に美しいわけでもないのに、誰よりも輝いていた。

私はその眩しさに嫉妬し、同時に彼女のように輝きたいと願った。

彼女と並んで歩くには、自分がもっと加速しなければならないと思った。


だから私は走った。

勉強をし、部活を頑張り、生徒会に立候補した。

すべては彼女の隣に立つため。

彼女と同じ高さで世界を見渡すため。



ある日、何気なくInstagramを開いた。

彼女のアカウントを見に行った瞬間、目に飛び込んできた文字。


「フォローする」


それはつまり、解除されたということ。

たった一文字変わっただけなのに、その衝撃はICBM並だった。

いや、ICBMでもここまでの破壊力はない。


私は何かしただろうか?

答えは――NO。

いや、本当は最初から感じていた。

彼女は自由に舞う蝶であり、私は地を這う虫だったのだ。

踊る彼女と、私は同じリズムを刻むことができなかった。



その瞬間、私の中で何かが燃え上がった。

人間だけに許された、唯一の本能――復讐心。


ただし、私の復讐は泥を投げつけるものではなかった。

私は、自分を高めることで復讐する道を選んだ。

彼女が振り向かざるを得ないほど、遠くへ行こうと決めた。


努力の末、私は生徒会長になった。

全校生徒に認められ、尊敬される存在になった。

それが、私の復讐だった。



だが、成功の光の裏に、影が潜んでいた。


群れることが生物の本能であるならば、私は本能に背いた存在だった。

権力は得たが、信頼は得られなかった。

会議は空転し、言葉は届かず、沈黙が壁のように厚くなる。


誰も私を傷つけるつもりはなかった。

だが、無意識のうちに飛び交う言葉の弾丸が、私の心に静かに突き刺さり、抜けることなく残り続けた。


私は限界を迎えていた。自然の摂理に従えば、私はここで終わるはずだった。


それでも、私は死ななかった。

人に助けを求め、対話を重ね、自分を見つめ直した。


そして気づいた。

この世界をどう見るか、それを決めるのは他人ではない。

外の評価でも、過去の傷でもない。


世界を形づくるのは、私自身の眼差しである。


ジュースに溺れた私が、ジュースから這い出し、ジュースを飲み干したとき、ようやく世界は甘く感じられた。


神などいない。

だからこそ、私はこの世界を、私の手で、私の意志で創っていく。


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