表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
諸々が千々に降下してくる夏々の日々  作者: triskaidecagon
第三章 降下してくる危機が近づいてくる日々
51/489

6月24日(金)20:57 TOX襲撃、三分前 :真宮窓

諸々が千々に降下してくる夏々の日々

 第三章 降下してくる危機が近づいてくる日々

━━━━━━━━━━

6月24日(金)

    20:57

TOX襲撃、三分前

      真宮窓

━━━━━━━━━━


 私は初動対応網。防具を装備して移動用のバイクを準備し終えて出動準備状態。

 武器はバトルライフル。弾倉の最初の三点射が空砲になっていることを確認、ライフルを銃架から取り上げて安全装置がかかっていることを確認、弾倉を装着済み。その上でバイクのライフルホルダーに収めている。

 三分前。

 そろそろ来る。

 今は防衛隊任務用に配布された携端で、サイマルストリームのTOX情報を確認している。

 防衛隊のTOX初期対応は三段階になっている。私が今待機している各地の初動対応網、TOX到来時に一時間以内で到着できるように待機している県内の即応部隊と、即応部隊の対決状況から応援に駆けつける近隣県の参集部隊。

 即応部隊にしても参集部隊にしても基地署に集合してTOXの襲来をきっかけに出動する形になっていて、直接戦力の私もそこに集まるのが常だ。現地以外の初期対応網の人員はよほどの近隣の場合以外は基地署に集合して参集部隊の後詰に加わる。近隣だった場合には現地で即応部隊に合流する。

 集合場所は麓の町。

 つまり隣の市、県内でも三番目に大きな街の基地署。

 いまは優花子がそこに行って即応部隊の輸送の準備をしている。

 優花子は輸送能力者で、優花子がいると資材や装備の輸送力が実質五倍ぐらいになる。また優花子の能力では重さも変わるので、重量物の移送にも役に立つ。細かい原理なんかはよく分からない。

 「能力や能力者は現代科学では判明できない」という話を聞くことは多い。

 獣に変身する私の能力も科学では解明できない。

 細胞が変化するとか、骨格がどうこうとか、筋力が何倍とか、科学で測定できる部分はあるようなのだけど、他の人と違ってなぜ私にはそういう変化が起きるのか、起こせるのかというのはわからないらしい。

 もちろん、私自身にだってどうやっているのかはわからない。

 わからないけど、できてしまう。


 私は今日は基地署への集合はしていない。

 初動対応網だから現地待機。

 即応部隊が到着するまでの間、現地で被害を最小限にするために手を尽くす係で、地元の警察や役場と協力しながら任務をする。

 その他の自然災害と違い、軌道要素とかいうものの関係でTOXはいつ来るかどこに来るのかが事前にかなりはっきりと分かるのでこういう分担ができる。事前にわかるとは言っても、質量攻撃でなくて警告レベルの襲撃の場合には稼働できる状態のTOXを地上に降下させてくるから、大気圏内でかなり減速してくるので厳密な位置予測はできなくて、六時間前に一〇〇キロの範囲に絞られる程度。

 落下時には流れ星になって燃え尽きるほどの速さでなく、肉眼で見えるほどの明るさにはならない。肉眼で見えなくても、大きな望遠鏡なんかで追跡をしているから、見逃すことはないらしいけど。

 地表に到着するときには秒速百メートル以下。

 時速にすると三百キロ以下だから、建物にぶつかればほぼ必ず破壊されるけど、地面に衝突するなら大きな穴が空くほどではない。

 実際に落下する地域が自分の担当範囲になるかどうか判明するのは、実際に落下するわずか一分前。つまり自分が出動するかどうか分かるのが一分前になるということだ。

 これぐらい時間が近いと事前に分かっているとは言えない。


 サイマルストリームで公開されているTOX予報は誰でも見ることができる。

 具体的なビジュアルとしては、日本地図上の予報円がどんどんすぼまっていく感じのもの。見る側の設定で予報円のサイズを固定にしておくと、それまでは比較的ゆっくり拡大していくのだけど、五分前ぐらいからぼーっと見てても分かるぐらいのズームが始まり、残り一分では落下していると錯覚するような急激なズームをしていく。

 大抵の場合、最後の五分を見ている最中に自分の担当範囲が円から外れてゆく。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ