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諸々が千々に降下してくる夏々の日々  作者: triskaidecagon
あとがき
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 あとがき §小ネタ的なこととか色々。

諸々が千々に降下してくる夏々の日々

 あとがき

 順番に説明するような事はだいたい終わったので、ここからは小ネタ的なものをつまんでいきます。要するにネタバレの塊になりますので、ネタバレ忌避の方は特にご注意ください。


 実は本番原稿で大胆に変えたのは、冒頭です。

 本当に一番最初。

 準備原稿では時系列的に一番前のシーンとなる『佐々也が護治郎に煮物を届けるシーン』から始まっているんですが、Web小説なのにヒキが弱すぎるだろうということで、ハルカが転校してくるホラーっぽいシーンから始めることにしました。

 日時表示がはっきりしてるのでこういう時系列入れ替えのレトリックはすごくやりやすくなってたんですが、全編を通じてほとんど使いませんでしたね。

 他には佐々也が配信番組に引き出された時、ぐらいですか。


   *


 ハルカの身体を構成している『銀沙』ですが、最初あの名前は無くて「金属細胞」の「金属生命」という呼び名だったんです。

 ただこの名前だとあまりにも普通名詞っぽすぎて、名前だけ出した時に具体的に思い浮かぶものが人によって違うものになりそうだと思ったので固有の名前をつけました。

 実のところ『銀沙』という名前はあんまり気に入ってはいません。

 ああいう「小さいものが寄り集まってなんでもできます」みたいなのって、今風のよく聞く名前だと『ナノマシン』という言葉があるんですが、銀沙のスケールは髪の毛の太さと比較していくスケールなので『マイクロ』なんです。でも『マイクロマシン』というのは現在、「ほんとに作れないかな?」ぐらいのところにある技術なので、『ナノマシン』みたいな魔法の言葉の代わりに使うとちょっと嘘が目立ちすぎるという問題が起きてしまいます。それで名付けたんですけど、あんまり上手い名前が思い浮かばなくて、SFというよりファンタジーみたいな名前になっちゃいました。

 マイクロとナノのサイズ的なギャップは、「キロメートル→メートル→ミリメートル」の、それぞれのギャップと同じだけある感じです。「ミリメートル→マイクロメートル→ナノメートル」が上と同じで各千倍。

 小麦粉の粒子がだいたい二〇から二〇〇マイクロメートルぐらいらしいです。

 最初に粉末系ヒロインみたいなことを妄想していたわけですが、ナノマシンだと粉でもない感じになっちゃうわけです。そこは譲れなかった。(※譲ってもいいのに……)


   *


 現実にネタ被りをされた話。


 そもそも、この話はコロナより前の時期から構想していた世界観なんです。構想というより妄想ぐらいかもしれませんが。

 このあとがきの最初の最初に「現代人の視線」ということを言っていたと思うんですが、そのために用意した仕掛けが「文明が一度後退した後に、一定以上発展しない世界」です。つまり、今よりも少し未来になってから、大災害で文明が少し後退して現代より少し前ぐらいになって、何かの理由で現代以上には発展できない世界。

 作中の設定で言うと「文明が後退する大災害」っていうのが、最初のTOX襲撃です。

 発展できない理由付けとして、そのあとの「人間が集まるとTOXに攻撃される」設定を用意しています。

 実はこの理由付けには「都市が作れないと人類の文明は発達しない」という非常に強い主張が含まれているんですが、作中で明示しなければその主張自体に気がつくのは難しいだろうし、気が付かなかったら「まぁそんなもんのような気がする」と言う感じで看過してもらえるはず、という感じでこんな設定になっています。

 と、この設定の話を、ダイヤモンドプリンセス号が一月に日本に来た年の八月に下書き原稿を始めているわけです。

 つまり「リモートでの学校の授業参加」で田舎の方の話をやろうかなという構想がコロナの前からあったって事なんですが、パンデミックに超タイムリーにネタ被りをされるという非常に悲しい感じになってしまいました。(※脚注)

 現実に追いつかれたといえば、上記の発想で「人が集まると(TOXに)罰せられる」世界設定をしているわけなんですが、よく考えるとコロナで人間が集まれないのと同じような構造の出来事ですよね。これにも驚いております。

 これは物語の必要に応じてけっこう無理矢理作った設定なはずなんですが、現実にネタ被りをされてしまいました。書き始めた当初から、「元ネタがコロナってわけじゃないんですよ」って言っても信じてもらえないだろうなという気持ちでやっています。「違うぞ」というだけで、だからなんだって話でもありませんし。

 逆に、人類にとって寄り集まることに対する欲求がけっこう強いところを見て感心したりもしていました。人間はどうしても集まりたくなり、その欲求に負けて集まってしまうとTOXに攻撃されるという設定が、意外なぐらい説得力があることが確認できてしまった形ですね。

 世界規模簿のパンデミックにネタ被りされるような事態はなかなか起きないような気がしますので、いい思い出になったなぁという気持ちでおります。


   *


 ネタ被りといえばそういえばもう一つ驚いたやつがあり、なにかというと「子供人格の戦闘ロボット」です。

 私、該当作品を見ておりませんで詳しい内容を把握しているわけじゃないんですけど、なんか噂で聞いたところによるとそういうロボットが水星の方が舞台に含まれる有名なアニメ作品に出ていたとか。

 もっとも、人格がある戦闘ロボットというのは昔から居て(※鉄腕アトム、勇者シリーズ等)、人格が子供なロボットというのも昔から居る(※鉄腕アトム、がんばれロボコン等)ので、私の方としてもオリジナリティを主張するようなアイディアではないんですが、噂を聞いて「なんという間の悪い……」とはなりました。

 作品の性質が異なるので噂に聞いた方のやつは絶対に戦闘しているでしょうし、こちらの作品のロボットはご覧の通りで戦闘シーンみたいなものとは縁遠いわけでして、被ってるかもと思う人の方が少ないに決まってるんですけどね。

 書いてる身としては、パクったって言われたら悲しいよなぁとは思うわけです。(※パクってはないですけど、人格がある戦闘ロボットとか、人格が子供のロボットみたいな作品はもちろん念頭にあり、アイディアの元にはなってます。オマージュと言うほど特定の作品には寄せてもいません)


  *


 あとはそうですね、ネタ被りじゃなくて、こっちから寄せたやつもあります。

 本作における粉末枠の降格ヒロイン。突然現れて友達として居候をはじめて、便利なお願い事を色々されてしまうという、ほぼド◯えもんになってしまった、『天宮ハルカさん』の事とかですね。

 もう本編を書ききったのでバラしますが、この人は私が投稿している別の作品、『かくて火星はヨミにまつろい、星霊たちの赤き地に満ち』という作品の登場人物。いや、当時はほとんど人物じゃなかったんですが、この作品に登場しています。(※当時は苗字も無い)

 こっちの作品もエンタメの作品です。

 とはいえ『説明不足でもいいからアイディアをぎっちぎちに詰め込む』みたいな読みにくさに繋がりかねない事を意識して書いているものです。面白いとは思いますが人によっては飲み込みづらいかもしれないので、好みに合う方だけどうぞ読んでみてください。

 え? 「どこかのアイドル作品のメインヒロインみたいな名前しとるやんけ、名前とかもうちょっと隠すつもりとかないんか」ですか?

 そうだった、その話をしようとしてました。

 いやそれがですね。『火星……』のときはギャグだったので苗字も無しで「ハルカ」だったわけです。よくある名前だからこれは似てても仕方ないですよね。

 でも、本作では学校に通う都合上、適当に名前を名乗らないといけません。

 そもそもこの人は偽名で名乗ってもまったく問題のない人なので、下書き原稿の時は「ハルカかなた」だから『かなたちゃん』とかにしてすっとぼけるつもりだったんです。

 という感じで、最初はちょっと隠そうかとも考えてたんですが、本番原稿の時によく考えたら元の要素なんにも残ってないので逆にもう隠す必要ないなってなったんです。

 『天宮り◯むちゃん』と『春音あ◯らちゃん』がコンビで出てくる作品もありますし、『七〇〇歌さん』が主役で登場する作品もありますから、本作の『天宮ハルカ』さんもそういう感じなんですよ。

※予備校での放送授業とか放送大学とかの形で、現在のオンライン授業の前駆形はかなり前からありました。だからものすごくオリジナリティが高い発想というわけではないんですが。でも、作品の想定に現実に追いつかれて驚いた。

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