あとがき §こういう感じで本編は作成されました。
諸々が千々に降下してくる夏々の日々
あとがき
こうして下書き原稿を作り、それを元に自分用の資料を作成したりしていました。
この時に作った資料、既にネタバレ有りの場所になっているのではっきり名前も出しますが、護治郎の家の間取りとか、TOXの襲撃スケジュール一年分とか作っています。
襲撃スケジュールも一年分なんていらないんですが『世界中の大都市を百個ぐらいピックアップ』してから『重複ありのくじ引きで襲撃順を決めて』、『襲撃間隔を乱数で決めて』これをまとめてカレンダーを作ったんですよ。ぶっちゃけて言うと、T RPGのGMが次に魔王軍に襲われる街を決める方式でずらっとやっちゃった感じです。
適当に作って日付を当てはめたら二年分あったので、作品に使えるところを前後に余裕を持たせて切り出して修正してという感じで一年分を決定版にした感じです。面白いので別表として別ページにくっつけときますね。
こんなん見てるだけで楽しいんですが、つらつらと見ていると本作クライマックスの後、十月までしばらく東京は平穏です。でもシカゴとか深圳にはなんかあるんでしょうね。(※乱数で作った表だから、作者の人はほんとにそこまで考えてません)
覚え書きのために書いておきますが、本作の本編は「一章を単位として、一ヶ月分を書き溜めて、更新月の一日以前に連続更新を仕掛け終えておき、更新月は一日から毎日千五百文字を目安に連続更新」という感じで更新されていました。このサイクルを毎月更新を目標にしながらやっていました。(※もちろん守れなかった時もある)
この方式は、ペースが作りやすくて非常に良かったです。
書き終わってるなら全部出しゃ良さそうなものをという気持ちもあったんですが、小耳に挟んだ話によるとネットの小説は一ページの分量が多いと手軽な読みやすさとか、読み止めやすさとかの理由で嫌われてしまう場合があるそうなんです。「えーと、どこまで読んだっけ?」が多いと大変だというのは読者としても心当たりがないこともないので、読み切りやすい分量にしていました。
あとこれは気持ちの問題なんですが「予約投稿をして自動更新されている状態はなんだか気分が良い」という、よくわからない嬉しさがあります。「なんだか有能になった気分」というのでしょうか。とにかく順調だと心の健康に良い作用があった気がします。
一章あたり約三万字を目安にしていたのですが、これはあんまり上手くいかなかったですね。けっきょく四万五千字ぐらいになっていた気がします。月あたり三万字をコンスタントにだと意外に速筆な感じがしますが、実はそうではありません。「全部書き直す」ぐらいのつもりだった下書き原稿を「準備原稿」と呼び替えて、書き直しではなくて大幅な改稿で凌ぎ切る形になりました。
改稿のために毎章四巡ぐらいしており、『第四章決定稿』が恒例になっていました。とはいえ、五十万字が七十五万字になっていますので、だいぶ書き足している感じではあります。
お話の筋は下書き原稿の時と同じなんですけど、手を抜くつもりで書いていた下書き原稿はどうにも説明が足りない。作中に妙に多かった「佐々也がなにかを勘違いして正しく理解していく」時の説明もだいぶ書き足しましたが、それよりも『普通の情景描写』がなによりも不足していました。
特に情景描写不足が顕著だったのが東京編です。
そもそも非常に特殊な風景の場所なので、描写をしないと読んでる人にはなんにも伝わらないんですが、書いてる人には見えちゃってますので「下書き原稿の時のはぶこうと思ったらいくらでもはぶける」という部分なんです。「下書き原稿」ってそもそもそこを省くことを目標に作ってたみたいなところもありますので、本編用に改稿する時には「誰だよこの準備原稿書いたやつ(自分)」と言って、泣きながら作業をしていました。
「準備原稿の描写省略」に泣かされた最たるものは本編ラストで、佐々也が眠ったあとですね。
書き手としてはあの場面って起きるべきことが色々と起きているだけで、話の筋としてはそれほど大事な部分というのは実はあんまり無いんです。
長い話って、終わらせるのに気迫が必要な部分というのがありまして、話をどこに落として、それをどう表現するか、ということに注力していたおかげで、あの辺は全部省略しちゃってたんです。眠った直後が知らん部屋で目覚めるシーンで、間になにがあったか周りに聞いて主人公が知るという展開でした。
やちよが刃物を出してくるシーンも、護治郎が泣きながらチャットするシーンも、北関東の上空をイルカが飛んでいくシーンも全部無かった。
とはいえ、本編の密度で書き直してきて二年弱続けてきた本編改稿中の私は、さすがにクライマックス全部省略はマズいということに気が付きまして、佐々也が折瀬に帰ったあと準備原稿だと五万五千字ぐらいだったものを、十一万字ぐらいにまで増量しております。
終わってみれば見どころになるシーンが多かったと思っており、書いてよかったなと思っています。(※準備原稿で終わり方が決めていたから、見せ場のシーンを書くときに力を入れられたみたいな面もあると思う。迂遠な手順が良い方に働いたのでしょう)




