あとがき §もしかしたらこれは長い話になるかもしれないと気付く
諸々が千々に降下してくる夏々の日々
あとがき
ここら辺までは頭の中にだけ形があった時期で、小説を書くかどうかも決めていない、大きく括れば小説の元ネタには入るかもしれませんが、どちらかと言えば妄想の部類です。
とはいえこれぐらいまで妄想が進むと、そろそろどこかに書いておかないと忘れちゃう感じになってきて、じゃあまあ実際に小説にするかという感じになってきます。時期にすると二〇二〇年の六月とか七月ですね。
いまのところ「(完成版と殆ど変わらないめちゃめちゃ大掛かりな世界設定の輪郭)」と「このメンバーで東京に行く」ぐらいのことしか決まってしません。
実際に小説を書くとなると、妄想にも芯が通って、更に掘り下げは進めやすくなります。
この設定で東京に行けるのか?
そもそもどんな理由で? とかなんとか。
でもこれはすぐ『なにかの理由(この時点で未定)』で『あの子』がここに住めないから、東京に移住する話にしようかな、と決めました。設定上、東京はなんとなく旅行できるような場所ではなくなっているので、これぐらいの理由付けは必要な気がします。
あ……あれ? なんか雲行き怪しくない? このまま行くと「北関東が平坦すぎてなんかウケるから高校生が北関東を縦断する話」にならなくないか? という事にこのときには気付かず、「住めない理由」をどんどん掘り下げてゆきました。ここで本作の独自設定『コンプレキシティ』が生まれます。私も気軽に読めるSF作品を書きたいなぁと考えるぐらいにはSF好きなので新概念とか考え始めると興が乗って止まりません。「独自設定」とか「手軽に読める」の反対概念なんですが、楽しくなっちゃったんだから仕方ないです。
これでだんだん長大化への歯止めが効かない感じに……。
そもそもの背景設定が壮大なので、独自設定を背景設定に紐づけはじめると壮大化が止まりません。いつのまにか「これ……中編では終わらないな……」という所まで肉付けをしてしまいました。
で、この辺で気がついたんです。
「主人公の幼馴染、主人公が男の子で、主人公の異性だから女の子になるけど、この役目が女の子だと話の主題がブレるな……」って。
これね、具体的な作品内の人名を出しますけど『護治郎が女の子だと作品趣旨がちょっと変わる』ということです。
なんか可哀想になりすぎちゃうんですね。更に言うと現代日本でも通用する可哀想な話になってしまい、なんでこんな壮大な舞台でやってんだ……。ってなりそうな予感がありました。
これはちょっとピンチです。手軽に読める楽しいものを書きたいのであって、かわいそう話は主眼ではありません。可哀想さというのは全体の雰囲気に与える影響力が強いんです。
でも実はこの時点ではまだなんにも書いてないので、「ほな幼馴染は男の子にするか……。じゃあ主人公は異性だから女の子ね」と、最初の構想をさくっと裏切りました。
これに合わせて友人関係もどんどん性転換。
性転換もなにも、まだ書いてない話なんだから、元の性別もなにもない話なんですが。