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諸々が千々に降下してくる夏々の日々  作者: triskaidecagon
第十八章 夏の夜空に飛ぶイルカ
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……8月7日(日) 12:00 池袋抗生教本部・佐々也

諸々が千々に降下してくる夏々の日々

 第十八章 夏の夜空に飛ぶイルカ


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 ガイアさんと意思疎通ができるかもしれないやちよちゃんが居るから叡一くんの個人的な目的である高階者の追跡には都合も良いし、飛ぶための推進剤もタネ切れだからということでやむを得ない面もあり、東京に居続けになることについては叡一くん本人は納得らしい。

 叡一くん用の部屋、というのも私が居た部屋の近くに設けられたそうだ。

 その『私の部屋』。

 池袋本部の中に置かれた私の部屋という部屋のこと。

 この部屋は、実際にこのたび抗生教の巫女ということになった私とハルカちゃんの私室としてあてがわれたのだそうだ。

 いかにも旅館の客室然としたこの部屋は元々は教主の客室だったらしい。歴代の教主にも個人の付き合いがある場合というのはもちろんあり、そのために教団のゲストルームとは別に用意されている部屋だとか。まぁ、教主というのはあまり個人の付き合いがない立場の人である場合が多いので、それほど使われてきていなかったらしい。

 この一帯は本部でも居住区画という扱いなので、なんならやちよちゃんの私室も近い。でも客も居ないので、やちよちゃんは人気の少ないまあまあ淋しいところに住んでいたわけだ。まぁこれは余談か。

 なんというのか、こういう部屋を好きに使って良いとあてがわれるっていうのはどういうことなのかと言うと、つまりなんというか私の身の上がなんかそんな感じになったということでもあるのだ。このへんの『なんかそんな感じ』のわかりやすい意味付けが『巫女』という身分なわけだ。

 なにぶんにも私はTOX襲撃の直前に飛来するイルカに乗って教主が東京に無理矢理連れてきた人物である。ところがやちよちゃんは、私のところにTOXが来やすいということは抗生教の人たちには説明していないらしい。いくら対処に慣れているとはいえ、東京の人も抗生教の人も進んでTOXに来てほしいわけではないから、バレたら流石に反発されてしまうからだという。そりゃそうだろう。納得しかない。

 とにかくそんなこんなで私には特別扱いをするような名目がとりあえず必要だということになり、それでまぁやちよちゃんの仲間だということになり、とりあえず適当な分類として巫女ということになったらしい。私が寝てる間に。

 だから私の巫女という身分はやちよちゃんがそう言ってたからというだけでくっついているもので、教団側からはそんなに重視されてない。

 巫女と言われても私にはやちよちゃんみたいな神秘的な能力は無いので適任でないから辞退すべきではないかと抗生教のなんか偉そうな人に尋ねたのだけど、別に能力なんかはどうでも良く、結局はやちよちゃんの付き人兼友達係ということで良いらしい。それぐらいであればできないことはないので辞退はさせてもらえず、巫女の身分とこの部屋をあてがわれたわけだ。

 そんなわけでいつの間にか抗生教の構成員にされてしまった。

 私の意向は反映されていないとはいえ、TOXの時に東京の防御力を頼りにさせてもらえるのは私としてもありがたい。

 また、組織の一員として互助組織的な役目というのも、やちょちゃんの付き人兼友達係は替えの効かない重要な役目であり、私に関しては他の役目も特に無しで良いらしい。

 事務方としてその場に参加していた清水さんには私には広報係としてストリーマーの佐々也ちゃんをやって欲しいとも言われたけど、それは断った。

 やちよちゃんの付き人も友達もやるのは構わないけど、ストリーマーはちょっと人格的に負担が大きすぎて無理だ。番組出演の方は性格的に向かないし、それだけじゃない。

 実際にストリーム番組に関わって分かったけど、私には番組制作に関する知識がまったく無い。性格だけじゃなくて能力的にも無理だ。

 どうしてもストリーマーが必要になるのだったら、私としてもぞっちゃんを紹介する用意がある。これも番組に関わって分かったんだけど、ぞっちゃんには知識もあるし能力的にも問題ない、というか能力的には出演者以外の面を含めてもかなり有能であるように思う。

 まぁ、紹介されたぞっちゃんがなんと言うかは知らんけど。

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