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諸々が千々に降下してくる夏々の日々  作者: triskaidecagon
第十八章 夏の夜空に飛ぶイルカ
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8月2日(火) 23:00〜8月6日(土) 8:00 夢@佐々也

諸々が千々に降下してくる夏々の日々

 第十八章 夏の夜空に飛ぶイルカ

━━━━━━━━━━

8月2日(火)

  23:00

   〜

   8月6日(土)

      8:00

     夢@佐々也

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 夢。

 夢を見た。

 遠い未来の夢。

 背景は燐光を発さない暗い夜空。

 そこに点々が散らばっている。

 夢の中の私はこれが星空だということを知っていた。

 夢を見ている私は、これが星空なのかと思って感心している。

 あの点々が星々なのだ。

 そんな星空を足元に敷いて、私はダイモーンになっているらしい。

 眼の前には丸くて青い地球。

 夢の中の私は自分がダイモーンだということを知っていた。

 夢を見ている私は、自分がダイモーンになっていることに驚いている。

「ガイアのスナップショットとモックアップが完成したらしいよ」

 みたいなことを私とハルカちゃんが喋っている、そんな夢だ。


「いまのスナップショットを作っても、全盛期のガイアさんにはならないんじゃない?」

「地球にだって記憶も一貫性も在るんだから、その知性を失うわけには行かないでしょ。エイドスは自分で操作できるんだから、太陽に飲み込まれるような危険のないところで地球自身が在りし日の姿に戻りたいなら戻ればいいんだよ」

 この夢、時代はたぶん遠い未来。

 元の場所に戻った地球がいつしか膨張する太陽に飲み込まれて姿を失うことになる頃のことらしい。

 太陽が膨張?

 長い年月を経て、恒星が寿命を迎えるその時、膨張して最後に破裂するという話をなにかで読んだことがある。でもたしかその時というのは、何億年も未来のことじゃなかったっけ。

 夢の中の今はまさにその時、地球の意識つまりガイアさんのスナップショットをどこかに保管する計画があるらしい。

 遠未来、技術の進歩も豪快だ。

「それに聞いた話によると人類は別になってるんでしょ? ガイアさんにも人類は含まれてるんだから、重複してるんじゃないの?」

「それを言ったら個人だって含まれてるのに人類が別にあるんだから、重複とかそういうのは問題じゃないの。全体として稼働する孤立性があるなら構成要素はどうあれそれは個別の知性なんだよ」

「まぁそっか……。人間の集団にも性格とかあったりするもんね。それに、ダイモーン達は構成要素にそんなにこだわらないし……」

「佐々也ちゃんがいまさらそんな事を言ってもねぇ……。もう生まれ変わってだいぶ経つのに」

「生まれ変わる前のほうが誤差ってぐらい短いのに、まだ私はその事実に馴れないよ」

「ダイモーンの能力は器用に使ってるのにね」

「それは便利だから使うよ」

 夢の中だとはいえ、自分が言っているというのに、まったくなんの話をしているのかわからん。

 もしかして地球全体をスナップショットにして保管するだけじゃなくて、そこからダイモーンにでもしようという話なのか?

 そういえば私もダイモーンになってるけど、そもそもいつなったんだ?

 周囲には特に人間がいないけど、人間無しでダイモーンだけでこうしてるってことは、もしかしてダイモーンのほうが人類より進化した存在ってことになるのか?

 長生きなだけじゃなくて?

 地球が元の場所に戻ってるとして、イルカはどうなった?

 幹侍郎ちゃんは?

 夢を見ている私はそんなことが気になるんだけど、夢の中の私は別に気にならないらしくて情報が追加されない。仕方ないよな、夢だもんな。

 たぶん夢の作者も設定をそこまで考えてないんだよ。

 まぁ作者は夢を見てる私のはずだから、変な言い方かもしれないけど。

 明晰夢というか、夢の設定が気になってきたらいつもなら遠からず目覚めるんだけど、今日はなかなか目覚めない。

 ハルカちゃんと地球のダイモーンの話を続けている。

「しかしこれ、地球が実際に収容されたら、私達もやちよちゃんみたいに地球と意思疎通できるようになるのかね?」

「無理じゃない? 地球がどこからどういうアウトプットしてるのか、いまもって不明なんだから」

「知性があることが判ったとしても、意思疎通もできないと思うとなんだか虚しいもんだね」

「人類は犬猫とだってたいして意思疎通もせずに付き合ってきたんだから、気にするほどのことじゃないんじゃない?」

「犬猫は見てたら可愛いし……」

「地球だって可愛いと思えば良いんじゃないの? 見方によっては可愛いかもしれないよ?」

 ハルカちゃんの言葉を受けて、星空に浮かぶ青い地球をまじまじと見直す。

「可愛い……かなぁ? こうして眺める分にはまったく理解できないというわけじゃないけど、ちょっと大きすぎるからねぇ……」

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