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諸々が千々に降下してくる夏々の日々  作者: triskaidecagon
第十八章 夏の夜空に飛ぶイルカ
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……8月4日(木) 22:30 大宮:みぞれ

諸々が千々に降下してくる夏々の日々

 第十八章 夏の夜空に飛ぶイルカ


――――――――――― ――――――――――― ―――――――――――

「えーと、どうやらイルカは大宮を通り過ぎた、という事みたいです。東北地方の方から来たみたいなので、大宮を通り抜けて東京を超えて海の方に行くんでしょうかね? え? 赤い光が消えた。音も止まった……。黒い本体が見えるような……、ちょっと夜空に紛れて見えにくいですけど、うっすらあるはずの夜空の光が消えてる所がある……ような気がするんですけど、確信が持てない……。よれひーさーん!」

「あの大きな魚、もしかして東京で止まりました?」

 はい。いま拡大中です。東京の、あれは池袋の辺りですね。

「え? 池袋って、私達が行った、あの池袋ですか?」

 そうなんですよ。いやー、早めに切り上げて失敗だったかもしれませんね。

「イルカさん、池袋になにか用事があるのかな〜?」

 うーん、なんなんですかね。明日にでも清水さんに連絡して聞いてみます。まぁでもイルカが来るって知ってて僕達を帰らせたんだろうから、教えてくれないかもしれないけど。

「オンレコで大丈夫ですか? ストリーム中ですよ?」

 あーっ、情報漏れとかじゃないから平気は平気だけど、今のところはアーカイブからは消えます。みんなもしーっ、ね。まぁ僕が失礼なやつってだけだから、口外してもいいけど、面白くないでしょこんなの。

 これはツッコみづらいと思ったんだけど、顔に出さないよう努力する。

「さ……さーちゃんが居てくれたらなにか面白いことを言ってくれた気がするんだけどな〜。ちょっと連絡してみよ」

 えー! ここで携端を出すんですか!?

「すいません人前で。あ、画面は映さないでくださいね」

 いや映しませんよ、それは。僕もプロですから。

「え〜冗談ですよ〜。信用してなきゃ携端なんて出しませんから」

 大丈夫です。呼び出しの間を埋めてるだけですから。

 どうですか? 出てくれそうですか?

「駄目みたいです。受信はしたみたいですけど、オンラインにはなってくれないです。さーちゃんと久しぶりに話したかったな〜」

 えーっ? 久しぶりって、一昨日まで一緒に居たじゃないですか。

「ずっと一緒に居たから、なんだか居るのが当たり前みたいな気がして。さーちゃん、なんて言うかな……。えーと……。私も見たかった〜! とか言ってくれるかな〜?」

 佐々也ちゃんさんはユニークな人でしたから、きっとなにか面白いことを言ってくれた気がしますね。私もイルカに乗りたい、とか。

「えー! 乗れるなら私も乗ってみたいですよ〜。でも、乗ったらあの音がうるさそうかも〜」

 あー、ほんとだ。

 もし乗るならレポートをお願いしたかったけど、うるさくて無理そうですね。

 どうも池袋に止まったところで一段落したみたいなので、緊急ストリーム配信はここらへんで終わりにします。よれひ〜ストリームでした。ゲストはみーちゃんさん!

「あ、すいませ〜ん。居座っちゃって。私も番組の締めをやりますので、ここで失礼しま〜す」


 さようなら〜と、よれひーさんの配信にきっちり最後の挨拶をして、ぎりぎり映り込むぐらいの別の場所に移動。よれひーさんの側に支障があれば、カメラから外すだろう。

 私は完全によれひーさんの方に背を向けて、そちらの状況を視界から外す。

 カメラを向いて番組側の最後の挨拶。

「はい、そういうわけで、ところどころよれひーさんの生配信にお邪魔したりしながらの緊急番組はそろそろ締めたいと思います。空に赤っぽい光が見えて、逆噴射に変わって、近づいてきたら黒い魚みたいな姿でした。赤い光ははロケットの噴射炎みたいでした。でも私が前に見たロケットの炎とは色は違ってました。そしてすごくうるさかった。私の友達が飛ばしたロケットは、これぐらいの、一メートルぐらいの棒みたいな小さいものだったんですけど、それでもけっこう大きな音だったので、音がうるさくなってきた時にこれはもしかしてヤバいかと思った……。すいません、可愛くなかったので言い直します。きゃ〜っ! って思ったんですけど、実際に近づいてきたら、ちょっと凄まじかったです。うるさすぎてヤバヤバ〜でした。それでは、現場からこれでレポートを終わります。番組名未定。ん〜、おまけの投げキッス。チュッ」

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