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諸々が千々に降下してくる夏々の日々  作者: triskaidecagon
第二章 遙か彼方のあの星の流転の果ての悠久の……
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6月22日(水) TOX襲撃、二日前:神指護治郎

諸々が千々に降下してくる夏々の日々

 第二章 遙か彼方のあの星の流転の果ての悠久の……

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6月22日(水)

TOX襲撃、二日前

    神指護治郎

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 学校のテレプレには、佐々也と天宮が一緒の端末で授業を受ける姿が映っている。

 場所はうちの二階。

 天宮は端末を持っていないから、まあまあ自然な成り行きと言えなくもない。

 学校に行けばテレプレ用の施設はあるから行けば良いようなものなんだけど、佐々也がめんどくさがって行かないんだろう。僕だって行かないから、そこは分かる。

 とはいえこの現代、特別な技術でもなんでもないテレプレのできる端末を持っていないっていうのはそれだけでとても珍しいことで、二人で一つの端末を使っているというだけで非常に目立つ。

 この後、クラスメイトたちのなぜなぜ攻撃にさらされるのは間違いない。

 昨日から佐々也と天宮が本当にうちに住み着いている。

 隠しきるほうが難しいだろうから、そのことは隠さないことに決まった。

 つまり、二人がうちに住んでいることはクラスメイトみんなにも知られてしまうだろう。

 問題が山積みで、ついつい頭を抱えてしまった。

 佐々也と天宮がうちに住んでいることを知れば、クラスメイトたちからは僕だっていろいろ聞かれるだろうし、そもそも二人がうちに住んでいることから問題なんだ。

 問題は何重にもある。でも押し切られてしまった。


   *   *   *


 天宮は人間でさえないから天宮が住み着いたとしても気持ちの上では問題じゃない。確かに一人で住むには広い家だから、場所を取らないなら非有機生物が住んでいても無視していられる。物理的に視野に入れないでいることもしやすい。

 女の子の姿だから最初は抵抗があったけど、話を聞けば聞くほどそういうのじゃない事がわかった。最初に心配していた得体が知れないというタイプの恐ろしさはまだ無くなったわけではないのだけど、こちらを害してくるかもしれないというタイプの危険は佐々也の言う通りたしかに感じなくなっている。

 そもそも、可愛い女の子なら誰だって好きだろうみたいな目で周りから見られているところから割とけっこう気に入らない。

 見目形だけを問題にするなら、佐々也含めてこの集落の女子はけっこうなかなか可愛いだろ、みんな、みたいなところはある。枝松とか真宮とかなら誰が見ても美少女だろうし、深山だって普通に美少女だろう。佐々也でさえ見た目と声だけなら可憐な美少女だぞ、あれで。下の町のクラスメイトとそんな話になるときには、たいてい美少女揃いの教室とか言ってやっかまれていたりするし、佐々也でさえクラスメイトたちからは繊細で引っ込み思案に見えているらしい。

 そんな感じなのに、ちょっと可愛いからってああいう宇宙生物に恋愛感情を抱くかもしれないと思われるのは、非常に納得が行かない。恋愛感情っていうのは、見目形から自動的に芽生えるもんじゃないんだよ! 少なくとも僕は!!

 ……まぁ、誰も天宮が人間ではないことを知らないんだけど。


 それともうひとつの問題。

 佐々也に対しても隠している大きな秘密。

 幹侍郎(みきざぶろう)のこと。

 その秘密が露見してしまうかもしれない。

 これまで何度か打ち明けようと思っていた事ではあるけど、こちらから打ち明けることと、露見してしまうことではなにかが違う。順を追って話せば佐々也はその違いを気にしないかもしれないとは思うけど、隠し事をしてたのがなんとなく弱みになるし、それ以上に自分としての気持ちの問題がある。

 そう思うとなんとなくバレてしまうのが一番困るわけで、なんというか、どうしたらいいのかよく分からない。

 佐々也はあれで居て賢い。

 というか、本質的にすごく賢いのに、頭の中がどうなってるのか出てくるものがなんだかアレという方が近いんだと思う。

 勘が良いというというのとも違う。というかおそらく勘は悪い。

 勘が悪いからなんかアレになっちゃうんだろうけど、その手前のなにかに気がついて自分の中で消化する能力はとても高い。消化したあとに出してくるものが他人より多くてその場で反応するための時間が足りず、なにかの話をした後に思い出して語りだすようなこともあるぐらいだ。

 だからたぶん、佐々也に隠し事をしていることを気づかれないでいることはできないと思う。どちらかと言えば気づかれても聞き出されないようにすることを目指したほうが成功しそうな気はする。とは言っても、頭の中でなに考えてるのかほんとにわからないからなぁ……。本当に、どうすればいいんだろうか……。

 とりあえず、なんとなく知られてしまうことだけは避けないといけない。

 折を見て自分から打ち明けるしか無いんだけど、なんて言えばいいのか。

第二章 終わり。

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