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諸々が千々に降下してくる夏々の日々  作者: triskaidecagon
第十四章 街道を行く。新宿〜池袋。
347/489

7月31日(日) 10:00 五日目:池袋地下居住区画・録画撮影

諸々が千々に降下してくる夏々の日々

 第十四章 街道を行く。新宿〜池袋。

━━━━━━━━━━

7月31日(日)

     10:00

       五日目

  池袋地下居住区画

      録画撮影

━━━━━━━━━━


┃ レザミ・オリセ探検隊、新たな街へゴ〜!

┃ ☆よれひーちゃんねる☆

┃  今日は新宿に行きま〜す! ね〜、さーちゃん。新宿ってどんなところかな〜?


「こんにちよろれいひ〜。よれひーちゃんねるで〜す! 今日は私、みーちゃんが隊長をやりま〜す」

 と、今日の始まりの挨拶をぞっちゃんがやっている。

 場所は池袋の丸ノ内街道の細長広場の駐車場近く。

 カメラの端に副都心街道へ行く下り坂がぎりぎり入らないぐらいになっている。

 私とハルカちゃんは横でぞっちゃんの挨拶を見守り、台本通りにふたりでサムズアップ。

「それでは本日は、抗生教の清水さんと一緒に隣の街に向かいたいと思います。隣の町の名前は新宿。まずは車での移動をして、行った先で色々と見て回った後、新宿で一泊の予定になってま〜す」

 と、ここで画面横からよれひーさん登場。

「あ……あれ? もう始まってる?」

「よれひーちゃん、遅いなー。もしかして寝坊しちゃった? はいはい、早く並んで並んで」

 これは私のセリフ。

 なんかこう、ちょっと面白い感じの道化だから三人の中なら私が適任だ。

 言いながら手招きして、画面端の場所によれひーさんを誘導する。

「あ、はい。ちょっと昨日は夜更ししちゃって……。こっちですか? じゃあ失礼して」

「……はい。じゃあ、ハルカちゃん。今日、車で走っていく道の名前を教えてくださ〜い」

「今日通るのはここから降りたところに宿場がある副都心街道。新宿までは車で三十分もかからない距離です」

 ハルカちゃんがクールに予定の説明をする。

 この紹介の時に、カメラが小さくパンして副都心街道に向かう階段をフレームインさせる。

 ハルカちゃんとぞっちゃんを残して、よれひーさんと私はフレームから外れてるはず。そしてだんだんズームしてハルカちゃんとぞっちゃんの二人も外れていく予定。

「あ、ほんとですか。意外と近いんですね。でもあの、撮れ高的には地上を歩いて移動のほうが美味しいかと思うのですが……」

 よれひーさんの呼びかけに合わせて、カメラが戻ってくる。

 カメラが予定位置に収まるのを待って、ぞっちゃんが先を促す。

「それには私がお答えしましょう。新宿は地上部分が埋まってしまっているんです。なので地下にしか道が無いんですね」

「あー、なるほどー」

 よれひーさんの質問に清水さんが回答。

 よれひーさんが相槌。

「はい、じゃあ車に乗ってくださ〜い。レザミ・オリセ探検隊、しゅっぱ〜つ!」

 ぞっちゃんはそう言いながら手を上げて元気に画面端に掃ける。

 私達と清水さんはぞっちゃんお誘導に従って同じ方にぞろぞろ掃けてゆく。

「あれ? これもしかして番組乗っ取られてる?」

 というよれひーさんのとぼけた顔をアップで写してから、あ、待って待ってーという感じで画面端に向かって慌てた様子で追いかけてゆく。

 新宿行は一泊二日なので荷物はちょびっと。

 私は一日分の着替えと洗面用具、手回り品の端末ぐらい。

 その手荷物を持って、カメラが見守るなか、みんなで車に乗り込んだ。


「という台本だったわけで本当はよれひー探検隊なわけですが、最初に丸ノ内街道から副都心街道へ乗り換えをします。丸ノ内線の宿場の台上からまっすぐ繋がってるこの駐車場から副都心線の宿場の台上へ坂道を下ります。意外に急な坂道ですから、みなさん気をつけてください」

 これはよれひーさんの天の声風ナレーション。運転手はけんちゃんさん。

 他のスタッフさんたちは、もう一台の車でついてくる形だ。

 駐車場から見えてる範囲のスロープを降り、ほとんど見た目上は丸ノ内街道の宿場のものと変わりない、細長い広場に到着。ここが副都心街道の宿場だ。

「実際に地下道を車で走ってみるとなかなか異様な感じではありますね。それでは、これから車に乗ったまま街道に降ります」

 広場の台になっているところから道の上に張り出す形で前後両向きのスロープが作られており、そこから車が街道に降りた。

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