7月27日(水)〜7月28日(木) 二日目〜三日目 赤羽
諸々が千々に降下してくる夏々の日々
第一〇章 未知なる土地に辿り着き、なんだかやたらと緊張している。
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7月27日(水)
〜7月28日(木)
二日目〜三日目
赤羽
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赤羽には二日滞在。
初日はコンビニ配信で、そのあとに道中のクイズの動画と、やちよちゃんの自己紹介から私とぞっちゃんがコンビニの話をするショート動画が配信されたらしい。
初日の夜、私は部屋で考え事をしているうちに眠ってしまった。自覚はなかったけど、疲れていたんだと思う。緊張していたし。ぞっちゃんは念願の編集作業の見学をさせてもらったそうだ。ショートの動画があって軽く見せてもらうのに都合が良かったとか。
二日目の朝食、ロビーを食堂代わりにして食事を出してもらえた。
そのときにスタッフさんと話をしたら、前日のコンビニ配信はかなり好評だったらしい。
ぞっちゃんは「分かってる」「信頼しかない」ということで評価が高かったとのこと。
最後にカメラに近づいてアップになったとき、画面のぞっちゃんに向かって結婚を申し込む人が居たとかなんとか。それから、私がぞっちゃんにクッキーを食べさせられるところではやたら盛り上がったとか。
ぞっちゃんはどこに出ても隠れない美少女なのでまぁ、盛り上がりますでしょう。
わかるわかる。
それから、私のあだなの方は「カオス」で定着し始めてるようだ。もしくは「くまちゃん」。合成して「カオスくまちゃん」っていうのもあったらしい。
カオスくまちゃんって……。
こどもアニメの悪役かなんかなのかって感じではある。
それに言っておくけど、私はくまのぬいぐるみには似てない。
* * *
二日目、朝食の後。
午前中の遅い時間から夕方になる前まで、全員で赤羽そぞろ歩きという番組の撮影をした。
そぞろ歩きって言っても別に赤羽周辺に森以外の見どころがあるわけでもなく、地下とか地上とかの町並みの撮影をして、その後にちょっとしたハイキングをする感じになった。このハイキングのときに時に、少し藪を分け入ったところにある太陽系時代の神社の跡地とかいう場所にも行った。
周りは他と変わらない雑木林で、社殿が残っているというわけでもなく、鳥居だけあって足元を見ると石段の痕跡があるというぐらいの場所だったけど。
その神社の境内に当たる場所に小屋を立てて住んでいる人たちも居た。
でも、住人たちは映像には映りたくないらしく、近寄って来たりはしない。遠くから見ている感じだと、子供も居ない様子だった。一人だけ赤ん坊を抱えている人を見ることは見たけど、その人もこちらを認識するとさっと立ち去ってしまった。
やちよちゃんにそれとなく話を聞くと、赤羽あたりに住んでいる人は元からの東京の住人というより、外地から来たばかりの人が多いのだそうだ。それなりに事情がある人しかいないわけだとか。
「ここらに住んでるのは、外地に戻るつもりがある奴とか、外地で暮らせなくて仕方なくここで暮らしているようなのばっかりだよ。だから私はこの辺にはあんまり詳しくない」
やちよちゃんは生粋の東京っ子ということなんだろうか?
そういう区分があるのだ、ということを初めて知った。
まぁ、いままでは本当になにも知らなかったってだけなんだけど。
ハイキングをしての出先、この日の昼食は、昨日のコンビニのオーナーに聞いた食堂のお弁当というのを用意してもらっていた。
よれひーさんが赤羽ホテルで相談したら紹介してくれたとか。
具が少なくて野菜ばっかりのサンドイッチ。残念ながらパンが美味しいというわけでもなくて、褒める所がまったくない。よれひーさんもそのお弁当を番組に使うのも諦めてしまった。
あえて言うなら、この東京という土地で不自由なく食物を入手できるところが偉いんだろうと思う。
二日目の撮影はこれで終わり。ホテルに帰ったら三時半ごろだった。
時間ができたから私は後のことを考えて洗濯をした。昨日今日の二日分。
それからご飯までの間にハルカちゃんの部屋で雑談。ぞっちゃんはやっぱり編集を見学しに行ってる。




