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諸々が千々に降下してくる夏々の日々  作者: triskaidecagon
第七章 裏山ロケット、長柄のマチェーテ。
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7月12日(火) 17:30 真宮窓

諸々が千々に降下してくる夏々の日々

 第七章 裏山ロケット、長柄のマチェーテ。

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7月12日(火)

     17:30

       真宮窓

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 三十分前の通信点呼が終わった。

 私は防衛隊の端末を部屋に置いて、バトルライフルの弾薬を持って部屋を出る。

 個人用の端末は持参するけど、こっちにだってGPSはついているから、電源は切っておく。そしてバイクが置いてある優花子と共用のガレージへ。

 ガレージの隅には小さな更衣室がついていて、そこで戦闘服に着替える。

 更衣室の隅、衣装棚の奥の方に隠すように置かれた専用の銃器ロッカーから銃を取り出す。

 前回の襲撃では銃で直接TOXを殴って歪めてしまったので、同じ型だけど、これは新しく貸し出されたものだ。貸出に当たって、殴ると壊れるから銃では殴るなと注意された。

 まず最初に三点射の空包(くうほう)を三発。あとは弾倉に実包(じっぽう)

 装弾しながら改めて銃を見る。

 口径が大きくて反動も大きいバトルライフル。狙撃に使うような大きめで火薬の多い銃弾を連続で発射する手持ちの機関銃だ。変身前の状態ではまっすぐ撃つのも難しいぐらい、大変な攻撃力のある武器だ。

 慣れてしまってはいるけど、時々この武器の威力が恐ろしくなる。

 誤って人間に当てたら、余程あたりどころが良くない限りその人は死んでしまう。

 バイクには銃を載せる専用のホルダーがあって、バトルライフルはそこに積み込む。

 あまり人に会いたくないからバイクでの移動だ。

 オフロード仕様のバイク。

 スタンドを畳んでバイクに跨り、クラッチを外して、キックでエンジンを掛けた。

 ガソリン車だ。

 現地集参のある防衛隊員は、緊急出動用にガソリン車の使用が推奨されている。


 さてと。

 エンジンをアイドリングさせ、走り出す前にこれからの流れをもう一度思い浮かべる。

 まず最初に、護治郎くんの家に向かう。

 お願いして用意してもらうことになった武器を受け取る。

 その後、叡一くんとの待ち合わせ場所に行く。

 叡一くんに敵の場所を教えてもらう。

 そして護次郎くんの家に向かう前のTOXをすべて倒す、という流れだ。

 TOXを倒したその後、自分がどうするのかは考えていない。

 防衛隊に捕まるのだろうという漠然とした思いはある。

 私は規則を破るし、命令なしでに銃を使えば違法になる。

 更に、護治郎くんの武器をもらっても、凶器の所持に関する法律に触れると思う。

 だから、抵抗するつもりはないし、逃げもしない。

 護次郎くんの家、神指邸の地下に向けられる嫌疑の目を逸らすことができたら作戦成功なのだから、自分の安全などに構うような気持ちはない。

 警告の二回目だからそう強いTOXが来るわけではない。

 予報によればルークが何体かと青虫。

 襲来するTOXの姿を望遠鏡で見ているので、よほどのことがない限り外れない。

 いずれにせよ、すべて私が倒さなければいけない。

 私が居なければこの集落には防衛隊が居ない時間ができてしまう。そのときに、集落への被害を出してしまうことは本意ではない。

 私がすべて倒す。

 命に替えても。

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