7月11日(月) 15:30
諸々が千々に降下してくる夏々の日々
第七章 裏山ロケット、長柄のマチェーテ。
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7月11日(月)
15:30
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今日はリモプレの学校が終わった放課後、ゴジとたまと叡一くんと分校舎に集まってロケットを作る予定だ。
ロケットのキットは昨日、日曜日の日中に届いている。本当は土曜には届いていたらしいんだけど、珍しく歓迎会で外出だったので、日曜日に時間指定して再配達してもらったそうだ。
私もロケットを見に行くことにさせてもらった。
そして私とゴジが不在にする間、幹侍郎ちゃんはハルカちゃんと窓ちゃんが見ていてくれる約束になっている。
わざわざ幹侍郎ちゃんを見るために窓ちゃんが来てくれるような形になっちゃって申し訳ないような気もしたけど、窓ちゃんはどことなく満更でもない様子だった。窓ちゃんは特に子供好きという印象もないんだけど、幹侍郎ちゃんのことをけっこう好きみたいだから、一緒に居られるのが嬉しいのかもしれない。
なんでかなとは思ったけど、なんで幹侍郎ちゃんと一緒にいるのが嫌じゃないか聞くのってすごく嫌な感じだから、ちょっと理由を聞きあぐねてしまったけど。
* * *
届いた荷物を分校舎に運ぶのは私達の役目だ。
ロケットの梱包は大小の二つ。
私が軽くて大きい方を持って、ゴジが重くて小さい方を持って行くことになった。
大きい方は主に長い筒とか尾翼なんかのロケット本体に当たる部分が入っていて、大きさの割にとても軽い。もう片方は燃料とか発射台とか専用工具なんかが入っている方で、こっちは小さい割にかなり重い。
特に発射台が重くて、ロケット本体に比べたらなんでこんなにっていうぐらい重い。説明書には理由が描いてあって、水平を取ることとその水平で安定を保つために重みが必要で、そのために発射台には重りを入れてあるんだとか。
理由があって重いなら文句言っても仕方がないよな……。
私が分担した大きい方は大きい方で、部品のひとつが一メートルの長さの棒なので、梱包全体としてはもはや持ちにくい大きさだ。でも大きいことは大きいんだけど、軽量化した部品がメインだから何も入ってないんじゃないかというぐらいに軽い。
学校に行ったらすでにたまと叡一くんが校門のあたりで待っていた。
たまは私達が視界に入るとなぜか大慌てで駆けてきた。
「なんだよ護治郎、佐々也ちゃんに大きい方の荷物持たせてるのかよ」
そう言いながら、私から荷物を受け取ろうとする。
ここまで持ってきたんだから最後まで運びたいと思ったのだけど、ロケットの話は元々はゴジとたまの計画なので、たまがそうしたいのであればこれを運ぶのはたまの権利だろう。そう思ったので、私は一言添えて素直に手渡すことにする。
「いや、これ軽いんだよ。気をつけて。軽くて却って危ないから」
「却って危ないって、まさかそんな。うわ、ほんとに軽いね」
荷物を受け取ったたまは、思っていたより何倍も軽かったせいで荷物をちょっと持ち上げてしまう。重みに抵抗するために入れていた力が余ってしまって反動になってしまった形だ。
少しおどけたたまの様子をほほえましく見守りながら歩いていたのだけど、叡一くんはどうしているかとなにげなく校門の方に視線を向けた。別になにをするでもなくその場で待っている。そりゃそうか。あと、鋭意費くんの横にはぞっちゃんも居た。
ぞっちゃんは、携帯端末のカメラをこっちに向けている。
まだ少し距離があるけど大声で呼びかけた。
「ぞっちゃん、どうしたの? 記録映像?」
「ロケット打ち上げるんだって聞いたから、私のストリームで流させてもらおうと思って」
「あ、そういうやつ? ぞっちゃんの番組、久しぶりじゃない?」
「そう言わないでよ。あんまり更新してないの、気にはしてるんだから」




