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再会またはただいま

キシシカ「何でこんなに更新遅かったんだよ。」

ザエ「別作品の字数が10万文字を超えるまで頑張ってたそうだ。」

ウルタール「迷惑をかけてすまないね。」

キシシカ&ザエ「「あんた超脇役だろ!」」

 ザエたち勇者パーティーが俺の弟子になることが決まった。計画通り!あとはこいつらを俺が鍛え直して、1周目みたいに堕落させないようにする。そしてキヨラと結婚する!

 ふふふ、覚悟していろ勇者ども。これから地獄かと思うくらい扱いてやる。いっぺん地獄に落ちてるお前たちなら大丈夫だろうさ。グハハハハ!


 というわけで、俺はザエたちをある場所に連れてきた。


「ここがどうかしたのか?」


 そこにあったのは民家より多少大きいもののあちこちに汚れやひび割れがあり、今にも崩れそうな建物だった。


「お前たちにちょっと頼みたいことがあってな。あ、そうそう、キヨラ、おばちゃんと旦那さんに悪いところは無かったか?」

「何で分かるんですか……お二人とも極めて初期ですが、病気の元が見受けられました。顕著になるのは数年後だったでしょうね。この私が治療しておいたのでご安心ください」


 それは良かった。これで2人の料理がまだまだ食えるってもんだ。


「それは良かった。助かったよキヨラ。今度お礼に婚約指輪をプレゼントさせて……」

「さりげなくプロポーズしないでくださいっ!絶対嫌です!」


 ぐぬぬ……なんて手強いんだ。魔王倒した時の方が楽だったぞ。

 まあいい。どうせ1周目でも都合の良い雑用ぐらいにしか思われなかったんだ。ここから好感度を上げてまずは恋人どうしになってやる。今の俺に怯えてるキヨラもそれはそれで趣があるが。


「な、何か今恐ろしいことを考えてませんか……?」

「え?」


 勘がいいな。そういうところも大好きだ。

 まあそれはいい。それよりも用があるのはこっちの建物だ。懐かしいな。ここに来たのは1周目でザエたちと旅を始める前だったか。

 ドアを軽くノックする。


「はーい!……あ、キシシカお兄ちゃん!」


 そう言って俺に抱きついてきた女性の名はケリルレ。血は繋がっていないが俺にとっては妹のような存在だ。


「おう、久しぶりだなケリルレ」

「もう、何言ってんの!今朝冒険者になるからって言って出ていったばっかじゃない!」

「ああ、そっか」


 おっといかんいかん。まだタイムリープに慣れていないようだ。気を付けねば。


「それでお兄ちゃん、何で戻ってきてくれたの?もしかして、冒険者になるのやめてやっぱり孤児院を手伝うことにしたの⁉︎そうだよね?」

「うーん……半分当たりかな」

「半分?」

「そうだよ。おっと、その前にこいつらを紹介しとかないと。おいおまえら、自己紹介」

「ふん、いちいち指図するな。僕はザエ。勇者って言ったらお前でも分かるだろ?」

「ゆゆゆ、勇者さまっ⁉︎」


 やっぱ驚いてるか。まあこいつら仮にも勇者だしな。俺より弱えけど。


「ゆ、勇者さまが、どどどどどうしてキシシカと?」

「驚くなよケリルレ。何と俺はこいつらのパーティーに入ることになったんだ」

「え、ええええええええええ!!!???」


 流石に驚きすぎだろ。勇者ってやっぱりとんでもねえ有名人なんだな(いい意味で)。1周目だと毎日顔合わせてたし、追放されたあとは指名手配犯になってたし、こいつらがこんなにチヤホヤされてるのは違和感しかねえよ。


「ななな何で、何で勇者さまがうちのキシシカと?」

「それはな、俺がこいつらの……」

「僕らのパーティーに荷物持ちとして加えてやってんだ」

「……は?」

「光栄に思うんだな。勇者である僕のパーティーに加わることができるなど、貴様ら凡人にとっては夢のまた夢……」

「おい」


 ケリルレの声のトーンが明らかに下がった。人生2周目の俺の直感が告げていた。まずいと。

 見ると、ケリルレの顔からは先程までの笑顔がとうに消え失せ、熊ですら殺せそうな気迫でザエを睨みつけていた。

 

「今荷物持ちって言ったな?つまりあれか?てめえらは()()()を馬車馬みたいに使って自分たちは楽しようって魂胆か?」


 あれ、何だろう?何でこんなに全身が寒いんだ?あ、そうか。ケリルレのせいだ。こいつ、俺のことになると何故か容赦しねえからな。


「ぼぼぼ、僕の勘が、あああ謝った方がいいと告げているね」

「お、女ってのは恐ろしいな……」

「ちょっとキシシカさん!早く彼女を止めてください!」


 お、キヨラが名前を読んでくれた。これは尊い。にしても、もうこいつがいたら1周目でもザエたち止められたんじゃねえか?まあ()()()の話だが。よし、そろそろ止めとくか。流石にここで喧嘩になったらケリルレに勝ち目はない。


「よーしよしケリルレ落ち着け。俺は大丈夫だ。それにな、俺はこいつらの師匠でもあるんだぞ」

「……え?師匠?」

「そうだ師匠だ。だよな?」


 ザエたちに同意を求める。


「ちっ、まあそうだな」

「認めたくはありませんけど」

「今のところは僕と同じステージに立てていると認めよう。今のところはだが」

「悔しいが、こいつはマジだ」


 何で全員ちょっと嫌そうなんだ。嫌そうなキヨラの顔が拝めたのはいいとして、ザエとサカシは何か不満でもあるのか。ネンズは歳の割に素直だな。


「て訳だ。どうだケリルレ。驚いたか?」


 彼女に向き直りながらそう訊ねる。すると、先程までの殺意の化身は何処へやら。両目がウィルオウィスプ1000匹分くらい輝きながら俺を見ていた。


「おおお、お兄ちゃん、すっごーーーい!」


 ぐおっ!急に抱きつくなケリルレ!お兄ちゃん苦しくて死にそうだぞ!い、息が……もう女神様と再会するのか……。


「すごいすごいすっごーい!あの勇者さまたちの師匠になるなんて!うんそうだよね!だってお兄ちゃんは世界一のお兄ちゃんなんだから。でもやっぱり言わせて。お兄ちゃんすごい!最高!ケリルレ、お兄ちゃんのこと大好き!」


「お、おい、そいつ息してねえぞ」

「これは回復魔法が……いるんですか?」

「これだから馬鹿は理解できない」

「楽しそうだからいいんじゃねえのか?」



 こうして俺はケリルレと再会を果たした。いったいいつぶりだろう。そう、確か80年以上だな。なんせ1周目で彼女が死んだのは、俺が18歳の時だったのだから。

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