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序章
雨の日だった。
五つにも満たない歳の少年が自身が住まう古民家の窓から、天より降り注ぐ水滴の行方を静かに眺めていた。
周りに人の姿はない。留守番をする年頃では無いが、
彼の母親は近所のコンビニに牛乳を買いに走っていて、一人で暫しの留守番を頼まれていた。
トプンッ...
後方にある和室の居間から微かに音がした。
少年は少し首を傾げ、そっと障子を開けた。
...5分後、母親が帰宅した。
母親は家中を探したが、
留守番をしていた少年の姿はどこにも無く、
居間には一通の手紙が落ちていた。