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怪異調査譚  作者: 山椒魚
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空かずの教室①

「空かずの教室?」

 僕はあっけらかんとして問い返した。

「そんなのガセに決まってるだろ。」

「違うよ!私ちゃんと新聞部の人に聞いてきたもん!」

「空かずの教室…か。面白そうだな。良いだろう、我が力を貸そう。」

「ヤッター!もちろん、空太君もやるでしょ?」

「まぁ、二人がどうしてもって言うなら。」

 出会って間もないこの二人だが、わかったことがいくつかある。

 柚菜は典型的なアホの子だ。人の言うことを何でも簡単に信じ込んでしまう。次に紹介する恭一の“別次元から来た”という設定を本気にして、“別次元はどんな世界だった?”などと質問していた。もちろん、誤解は解いたので、オカ研で恭一の研究が行われることはない。

 そして、その恭一はいわゆる中二病である。といっても、症状は軽いもので、よく設定忘れることがある。それ以外はなかなか馬が会うやつなので、今では僕の良い話し相手になっている。

 それはさておき、僕達はその空かずの教室とやらを実際に見てみることにした。


「ここだよ!」

 例の教室は、四階の2つの階段のちょうど真ん中あたりの場所にあった。何に使われているかもわからないその教室は、扉のガラス窓の内側から、黄ばんだ新聞紙が貼り付けられている。

「確かに、今も使われているような気配は無いな。鍵もかかっているし。」

 引き戸の取手に手をかけながら、恭一はそう言った。

「入れないんだったら、これ以上進展はないだろ。」

「確かにそうだよね。どうしよっか?」

「なら、外から観察する。もしくは、教師に頼んで鍵を開けてもらうなどという手もあるぞ。」

「さっすが恭一君!私、外から見てくる!」

 絶対に鍵を開けてもらった方が効率的だと思うのだが。

「じゃあ、我々は教師に鍵を借りるとしよう。」

 そうして僕達はこの教室をあとにした。


 まず、僕達は顧問の先生を頼ってみることにした。

「あの教室の鍵か………。」

 この不思議な反応が気になったので、僕は質問してみた。

「先生はあの教室を使ったことはあるんですか?」

「無いね。というか、ここに来てから一度もあの教室が使われているところを見たことがないな。」

「そうですか。」

「今、鍵を持ってくるよ。少し待っててくれ。」

 そう言うと、先生はおもむろに立ち上がり、職員室の奥へ姿を消した。

「空太よ、やはり空かずの教室の噂は本当なのか?」

「確かに信憑性は出てきたな。」

 しばらくすると、先生が姿を現した。そして、この不思議な噂を信じつつある僕達にこう告げた。

「すまないが、鍵が見当たらなかった。」

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