オカ研結成②
放課後、僕は言われた通り教室に入った。
「おっ!?来た来た!」
中には今朝の少女ともう一人、左手に包帯を巻いた少年がいた。
「ふっ、来たか。我々は十五分前からここにいるのいうのに。」
なるほど。あの包帯は頭のけがの治療のためらしい。
「すんませんでした。で、入部届とか書けば良いんですか?」
「貴様何を言っている?今からこの部の発足の儀を執り行うのだ。」
僕はてっきり、この部が既にあるものだと思っていた。確かに、スカウトされた時にはこの少女の口から“部活に入りませんか?”などとは一切聞いていない。というか、何も聞いていない。
「いやー、最低三人は集まらないと部活として認められないって言われてたから良かったよー!」
「何人集まる予定なんですか?」
「四人だよ。」
丁度三人だったらすぐに帰ろうと思っていた僕の希望は消滅した。
「まだ一人来てないけど、自己紹介しちゃおっか!私は一年二組の柚菜っていいます!よろしくね!じゃあ、次の人」
そう言って、彼女は痛い人を指さす。
「我の名は恭一。今は学生として一年六組で学業に励んでいるが、実は…」
「ほんじゃ次、僕ね。一年四組の空太です。よろしく。」
その後、柚菜が部の設立に必要な書類を持ってきて、僕らはそれに署名した。結局その日は、四人目が来ることはなく、僕らは解散した。柚菜は“もう一人には明日聞いてみる!”と言っていたが、後に、ドタキャンされたことが発覚した。
そして現在、教室よりも狭い空き部屋を部室としてオカ研は成立した。僕も含めて変人しかいないこの場所は、居心地は悪くないうえ、新生活では数少ない話し相手もいるので、今のところ僕は毎日ここを訪れている。
「なぁ、空太。この世界のオカ研とは、一体どんな活動をするのだ?」
手持ち無沙汰な様子で僕は答える。
「適当に世間話でもしてれば良いんじゃない?」
「魔術の研究などは……」
「本気でするやつがどこにいると思う?」
「我はいると思うぞ。」
恭一が言い終えたとたん、部室の扉がガラガラと大きな音を立てて開いた。
「二人とも!オカ研最初の活動だよ!」