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天使の輪~オマージュによる男性表現・女性表現~

作者: チャーコ

2014年投稿『天使の輪』という恋愛作品のオマージュを、とある男性作家さんが冗談で書いてくださいました。そのあと、私と性別による思考・表現の違いを話し合いました。

※私は「肉食系S系女子」ではありません。あくまで冗談です。

どこかで見たような内容があるかもしれないので確認をお願いします。


(ここから)

タイトル『私が肉食になった理由』


「……小学五年から好きでした! 恋人になってください!」


 お昼の公園に、春を告げる暖かい風が吹き抜けていく。

 ──私の初めての告白。そして、私は初めて失恋をした。

 彼に出会って、何もかもが変わっていった。

 そんな私の初恋──。

 

 彼と出会ったのは、小学五年生のとき。

 同じクラスのちょっぴり髪の綺麗な男の子。

 なぜだか、彼の一挙一動に胸が高鳴っていく。

 とても不思議で、心地よい感覚だった。

 それが初恋だと知ったのは、それからもう少し経ってから。

 

 中学校に入った頃には、すっかり彼に夢中。

 本当に優しくて素敵な彼。

 毎日発見して、毎日好きになっていく。

 彼の髪、彼の声、彼の眼差し、全てに心が震えた。

 近くに寄るとぽかぽかとおひさまの匂いがする。

 好きすぎて──おかしくなりそうだ。

 しかし、非常に残念なこともある。

 それは彼がモテすぎてしまうのだ。

 まあ、私がこれだけ好きになるくらいだから、ライバルが居るのは当たり前。

 大人しく待っていても他の女に取られてしまう。

 私はことあるごとに彼に纏わりついた。

 他の女なんて一切寄せつけません。

 ──ほとんどストーカーだ。

 彼は少し迷惑そうにしながらも、優しく接してくれた。

 そんな彼に甘え続けて、積極的にどんどん迫っていく。


「この数学の問題わかんない、教えてくれない?」

「オススメの面白い漫画なにかないかな?」

「演劇やるんだけど、自信がないから意見もらえない?」


 異性だけじゃなく、同性にまでドン引きされるレベル。

 これでいいのだろうかと思いながらも、すでに歯止めが利かない。

 

 修学旅行も上手いコト周りを説得して、自由行動のときに京都の二条城で彼と二人になった。

 うふふふ、と笑う私を見て彼は不思議そうな顔を見せる。


「あれ? 他の奴は?」


 班行動厳守の場面で二人きりなのだ。

 疑問に思わないわけがない。

 私はぎくりとしながら答える。


「え、と、体調悪いから私たち二人で楽しんでこいって……」

「……本当に?」


 彼は怪しげな視線を向けてきた。

 うう、ばれている……。


「ごめん、嘘ついた。本当は周りを説得した……二人になりたかったの」


 彼は、はっきりとため息をつく。

 呆れられたかもしれない。

 でも、すぐに彼はいつもの顔で笑ってくれた。


「なんだそれ……本当、お前といると退屈しねえな」

「それって、楽しいって意味?」

「ああ、お前と一緒にいると楽しいぞ。本当にいい友達だよ」


 にっこりと笑った彼の顔は、いつも何倍も輝いて見えた。

 素敵な彼、その全てが愛おしく思えたんだ。

 彼と一緒に回った京都、楽しかった思い出。

 いつまでもはっきりと思い出せる記憶になった。

 

 でも、楽しい時間は長くは続いてくれない。

 気がつけば、もう中学生活も残りわずか。

 結局、八クラスもあるのに、彼とはずっと同じクラス。

 私が陰で操作していると陰謀論が出たほどだ。

 そんな奇跡的な確率を経て一緒にいる。

 運命的な何かを感じて、気持ちが勝手に盛り上がっていく。

 だけど、奇跡はそこまで──高校は別になってしまうようだ。

 彼の学力に私ではついていけなかったのだ。

 卒業したら、もう会えなくなると思ったら、涙が出てきた。

 ずっと一緒にいたい。

 自分の気持ちを伝えよう。

 散々伝えてきて、相手にされていない気もするけど、それでもきちんと伝えてみるべきだ。

 

 そして、卒業式の日、彼を公園に呼び出した。

 来てくれた彼は、ほんの少しだけ迷惑そう。

 告白をする前から心が折れそうになる。

 その表情だけで返事がわかったような気がした。

 それでも私は『お前と一緒にいると楽しいぞ』と言ってくれた彼の言葉を信じて想いを伝えたんだ。

 

 結果は……やっぱり上手くいかない。

 

 彼が本当に言いたかったのは──。

 

『本当にいい友達だよ』

 

 ──だったんだ。

 

 本人の目の前で私は泣き出してしまった。

 我慢なんてできない。

 ボロボロと涙が溢れて、頬を伝って流れ落ちる。

 友だちになりたかったんじゃない。

 隣で笑っていられる恋人になりたかったんだ。

 

 桜の咲く頃に始まった恋は、桜の咲く頃に散っていった。

 

 好きという気持ちを教えてくれた彼。

 とても苦しくて……甘酸っぱいなんて言えない程、苦い。

 だけど、楽しかった。

 追いかけている日々が本当に楽しかった。

 素敵な恋をくれた彼。

 すでに公園にはその姿はなかった。

 ──ひとりで舞い上がっていたみたいで、酷く惨めで悲しい気持ちになる。

 だけど、自分を嫌いになりたくない。

 彼が大好きだった自分を否定したくない。

 追いかけた日々が間違いだったなんて思いたくない。

 私は涙を拭いて、あはは、と笑うと見上げる。

 空一面には桜の花びらが楽しく踊っていた。

 まるで私を応援してくれているようだ。

 前に進まなきゃ。

 そして、いつかまた彼に会えたなら、私から言ってやるんだ。

 

『貴方のせいでひどい肉食系S系女子になった』と。

 

 そのために、たくさんの恋をしよう。

 もっとうまく立ち回れる本物の肉食系S系女子を目指して──。


(ここまで)


パクリ疑惑がありますが、オマージュです。


 ♦ ♦ ♦


 二〇一四年八月『天使の輪』という私の初恋玉砕話を投稿した二日後に、このパクリ疑惑オマージュ作品を冗談メッセージでいただきました。メッセージをくださったのは、とある男性作家さん。仲良しだった男性作家さんと、そののち男性的表現・女性的表現の違いを話し合いました。


 私の初恋の彼は「優しい」設定だったので『天使の輪』を踏まえるならば、口調も優しくして欲しいと要求を述べた返信が面白かったのです。


 男はおそらく『優しい=口調も優しい』とは考えていません。男は上下関係を重視していて、優しい人とは立場が上なのに優しくしてくれる人です。


 つまり、口の悪い上司でも、守ってくれると優しいとなるわけです。

 逆に立場下の人間が、優しい口調で優しくしてきても、優しいとは思いません。気遣いが当然とか、下手すると『生意気』という感情になるかもしれませんね。


 でも、女性の場合は『口調が優しい=優しい』になるわけですよね? ここが非常に驚きだったわけです。



 さらに別件で、私は女性が直接的表現を好まない傾向にあることを言いました。


>女性は直接表現を好みません。

 でさらに納得してしまいました。


 何をかというと、女性は全ての部分を見て総合的に優しいと判断するのだと。

 優しそうな笑顔だとか、声だとか、口調だとか、なんかそう言ったふんわりとした部分。

 それらが積もり積もって優しいと判断するのでしょうね。だから、女性は相手を好きになると、あれやこれやと細かくなんでもマメにやってくれるわけですね。


 でも、おっしゃる通り男は直接的な表現が好きです。なので、細かくやってくれても、相手はそれが好きなんだろうなくらいにしか思いません。極端な話だと、誤字や脱字を見つけてくれるのも『ああ、チャーコさんは見つけるのが趣味な人なんだな』みたいな感じです。


 実にひどい話ですね。なので、男ははっきりと『貴方のために探しているの!』と言わないとわかってくれないのです。逆にそれさえ言えば、細かくやるよりもポイントが高かったりするわけです。


 話を戻すと、個人的には、優しいを表現するのは、口調ではなく態度や行動だと思っていたので、あの場面の彼は優しい口調ではなかったというわけですね。

 しつこく迫ってくる女を迷惑そうにしながらも相手にしているだけで、優しいと思うのです。



 以上、個人差はあると思いますが、この男性作家さんと表現や思考の違いを話し合って、お互い以降の作品作りに生かしていきました。


 他作家さんの作品を拝読していまして、特別に作家さんの性別を意識しませんが、こういう何気ない表現の違いから「男性的表現かな? 女性的表現かな?」と感じるようになった次第です。恋愛作品でしたらなおのこと顕著になりますので、このやり取りを思い返しては、異なった表現を楽しむようになりました。


 その他にこれから作品を書くうえで、男性的思考・女性的思考の違いを教えていただけますと嬉しいです。同性の作家さんとのやり取りも勉強になりますが、異性の作家さんとの話し合いも意外な発見が多く、今後もいろいろ認識の違いも含めながら、創作活動に励んでいきたいです。


 最後に付け加えるならば、性別による差別はないことをご理解いただけますと幸いです。

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