9話「悪魔の唐揚げ弁当」
「おい、まて何故そうなる。」
愛莉の持つその『モノ』を見て、俺は現実を知った。
「か…唐揚げ弁当…」
そう言うがそれは明らかに俺が知る「唐揚げ弁当」ではなかった。
ご飯だったはずの炭。ブロッコリーだったはずの茎。唐揚げに到っては弁当自体揚げられている状態だった。
俺は額に手を当ててため息を吐く。そして愛莉に目をやるとその瞳は今にも泣き出しそうな雰囲気だった。
(これはマズイ。)
俺は咄嗟に愛莉の手にある弁当らしきものを奪い。そして勢いで口に入れた。その瞬間、俺の意識は途絶えた。
目を覚ますとそこには愛莉の顔があった。心配そうに覗く彼女の顔は無性に守ってやりたくなるほど可愛いかった。が、しかし俺の脳内には一つの疑問で埋め尽くされていた。
「なんで膝枕してんだ?」
すると愛莉の顔はみるみる赤くなっていき俺はもう一度、気絶することになった。
数時間後。
「とりあえず。これは俺の手に余る事件だ。」
頬にシップを貼り、さすりながら言う。
彼女は肩を落として落ち込んでいた。
俺は小学生の時から使っているガラケーを出し、電話をかける。そしていつもより声を低くして話す。
「我、汝に助けを求める。暗黒の世界より出でよソルジャー!」
そして電話を切った。愛莉は驚き戸惑いながら聞く。
「な、何してるの?」
すると俺は"任せろ"と言いカッコつけた。
愛莉は彼の頭を心配しながら料理の処分をしていた。