表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/8

町へ行こう!2

 

 無事に関所を通り抜ける、街の中へ入る


 山中からみてもわかったが、

  綺麗なところだ。



 建物はクリーム色の壁に、燃えるような赤の煉瓦の屋根で統一されていて、街全体で一つの作品となっていると感じさせられた。


 街を二つに割る、ここの名物の石畳みの大通りには

  様々な店が出ていて、人々の喧騒や独特の香辛料の匂いが気分を浮つかせる


 ここは始まりの街、サーラワ



 いやぁーこりゃすごいな…

 こんなに街並みが綺麗だなんておもってもみなかった。景色も素晴らしいのだが、何より飯が美味い。


 異世界はメシマズだってよく言うけど、そんなことはない。日本に勝るとも劣らない美味さである。


 特に、塩をたっぷり漬け込み味付けをしたという肉を挟んだサンドイッチは絶品だった。(豚肉に似ていた。)

 あちこちの店からいろいろ勧められ、気づいたら両手いっぱいに食べ物を抱えていた。


 花より団子とはよくいったものだ。



 美味い物を食べ、気分良く散策していると

 向こうに何か人だかりができている。

 気になってふらーっと立ち寄ると、人だかりの中央には馬に乗った1人の若い騎士がいて、疲労がみられるが、何やら嬉しそうな顔をしていた。

 そして、手に握っていた伝書を読み上げる。

 伝書はくしゃくしゃで、汗でにじんでおり、とても重要なものであるのが伺えた。


「勇者ショウ・ワクイ様が魔王を討ち取られた!

 勝利である。我々人類の勝利である!

 とうとう我等は、魔族に勝利したのである‼︎」


 少しの間、沈黙がその場におとずれた。

 しかし次の瞬間、歓声が起こりその場の音をすべてかき消した。



 勇気が魔王を討ち取った


 その情報は、すぐ街中に広まり人々は泣いて、笑いあって、戦争終結を喜びあった。


 100年近く続いた戦争が今日、終わりを告げたのだ。




 人々が、歓声を上げて喜びあうなか、

 俺はトンカチで頭を打たれたような衝撃を受けていた


 勇者が魔王を倒した


 そのこともそうだが、それよりもっと俺を驚かせたことがあった。


 ショウ・ワクイ


 この名前には聞き覚えがあった。

 当然だ。一緒にここに召喚されたはずのクラスメイトの名前だったから。

 

 どうして、お前を俺と一緒に来たんじゃないのか?

 それに、他の奴らはいったい……?



 なにがなんだなわからない

 思考がまとまらない、目がぐるぐるする、世界が遠のき、うるさい歓声が聞こえなくなる。


 そんななか、俺は近くにいた男に無意識にこんなことを聞いていた。


「ショウ・ワクイってなんだ?」

 男は信じられないといった顔をして、

「うそだろ…?お前ショウ・ワクイ様を知らないのか?」

 首を縦に振る。


「マジかよ…勇者といえば知らない奴なんかいない、人類最強の英雄だぜ。

  3年くらい前に突然現れて、その強大な力で魔王軍にいる13人の幹部達を次々に倒し、それまで劣勢だった人類軍の士気を一気に高めたんだ。

 勇者様の仲間の方々もみな英雄と呼ぶに相応しいお方たちさ!魔術士のチカ・ニカイドウ様や、武闘家の

 リョウ・ハギオ様に狩人のマサト・ヤダ様……

 チカ様は、とんでもねぇほどの美人だとか!叶うなら一度お会いしてみてぇなぁ…

 あとは……ッチ!魔導師の野郎か…あの連中のことは喋りたくねぇ!」

 

 すべて、聞いたことのある名前だった。

 そして、三年前だって?


 男に詳しく話を聞き、わかったのは勇者達が現れたのは聖歴1322年で、今は聖歴1325年だということ。


 どうやら俺は三年遅れてこの世界に召喚されたらしい。



 …………うそん




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ