状況確認
…一回これまでの出来事を整理してみよう。
俺の朝は遅い。
また遅刻ギリギリの時間まで寝てしまっていた。いつもだったら妹が母に頼まれてイヤイヤ起こしにくるのだが、ついに我慢の限界が来たのか起こしに来てくれなかった。
これ以上寝ていると本当に遅刻してしまうので、重く感じる身体をなんとか起こし、急いで朝食をとって家を出た。
学校では、お前いま寝てただろうとハゲた数学教師から難癖をつけられ、ネチネチネチネチ小言を長時間聞かされるハメに。
長すぎて授業終了のチャイムが鳴ってしまった。
これで終わりかと思ったのに、昼休みに職員室に来るよう言われてしまった。
どれだけ俺をいびれば気がすむのか。
昼休みも時間ギリギリまで怒られるのだろうなと思い、憂鬱な気分で午前の授業を受けることになった。
とうとう昼休みを告げるチャイムが鳴ってしまい、さらに憂鬱になる。
しかし、隣で友人達が茶化してくるのを聞いてると、そんな気分になるのが馬鹿らしく思えた。
学校に行き、授業を受け、時に怒られたりしても、友人達と馬鹿やって笑い合って楽しく過ごす。そんなどこにでもいる男子高校生の一日をおくっていたはずだった。
……少なくともこの時までは……
くっさい数学中年野郎のところにいってくんぜ! と友人達に言って席を立った次の瞬間、床に魔法陣と思わしきものが浮かび上がった。それは目を焼き潰すのかと思えるほど激しく光り、教室を白に染め上げた。
そして俺は今、祭壇の様な場所で席を立った時と同じ状態になっていた。
ナンダコレ⁉︎ ドウナッテンダ⁉︎ ソシテミンナドコニイッテシマッタンダ?
とりあえず冷静になれ、俺
coolだ、coolになれ……OK?
そうやって、一度冷静になった後周りがどうなっているか確認する。
まず、俺は祭壇だろうものの上にいる。しかし、俺が祭られることは決してない。周りに誰もいないからだ。しかも灯りがついておらず、部屋全体が埃っぽいので、長い間使われていないことがうかがえる。
一緒に魔法陣に巻き込まれたであろうクラスメイト達すらいない。別のところにとばされたという考え方もあるが、何かおかしい気がする。そしてそもそもここは一体……
なんがどうなっているのか、いろいろ考えているとき、ふと視界の端になにかのアイコンが映っているのに気がついた。それを意識したとき、
<ステータスを開きますか?>
という声が脳内に響いた。とりあえず、
<はい、お願いします>
そう念じた。すると、
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神崎裕二 LV1 17歳 男
職業:魔導師
体力;3000
魔力;3000
気力;3000
スキル;属性「火・風・土・光」魔力耐性 言語理解 召喚者
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………俺どうしちゃったんだろ?
頭がおかしくなったに違いない。だってこれは厨二という病気を患う人にしか見えないはずだから…
と、どれだけ思い込んでもくっきりはっきり見えてしまう。学校に突如現れた魔法陣、目の前に見えるステータス一覧というわけがわからない表示。
俺はどうやら異世界に召喚されたらしい。
捕捉 一般人の平均(大人) 100
召喚者の平均(LV1) 1000