表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/47

やきもち?

その後、私は裏方に撤していた。

飲み物が足らなくなり、私は近くのコンビニに出ようとしてた。

他のメンバーは、サンタの格好のままなので外に行きにくいだろうと思い、自分からすすんで行く。

「詩織。その格好で外に行くと寒いよ」

そう言って、里沙がコートを差し出してきた。

「ありがとう」

私は、それを受け取って着ると、体育館を出て買い出しに行く。



ジュースにお茶、お水をかごに入れる。

ニリツトルのペットボトルを十二本分。

領収書を書いてもらい、戻ろうと歩き出す。

流石に重いなぁ。

と思っていたら、いきなり軽くなる。

あれ?

私は、顔をあげると護が軽々と荷物を持っていた。

「女の子が、こんな重い物持って…。買い出しに行くなら、声を掛けてくれれば良いのに…」

「だって、楽しんでもらいたかったから…」

「あのなぁ。お前が居なかったら、楽しめないだろうが…」

護が、呆れたように言う。

「だって、今日の私は、ホスト役だよ。一緒に居るわけにはいかないじゃん」

「わかった。でも、帰りは一緒に帰るからな」

「うん」

学校まで、護と手を繋いで戻った。



時計の針が、八時を指そうとしていた。

私は、再びマイクを持って、ステージに上がった。

「皆さん。今宵のパーティーは、楽しんでもらえましたか? 三年生の皆さんは、息抜き出来たでしょうか? また、一・二年生の皆さんも楽しめたでしょうか? クリスマスは、まだ終わってはいませんが、本日のパーティーは、これにてお開きにさせて頂きます。皆様、お気を付けてお帰りください」

私はそう告げて、お辞儀をしステージを下りて、出口に向かう。

出口の所で、役員は並んで見送る。

それぞれの役員が、お礼の言葉を掛けていく。

「ありがとうございました。お気を付けてお帰りください」

私は、笑顔で挨拶する。

「生徒会長。この後、一緒に何処か行かない?」

って声が掛かる。

「ごめんなさい。私達、まだやることがあるので、行けないです」

やんわりと断ってる横を護とちひろさんの姿が、目に入ってきた。

ちひろさんが、これよがしに護の腕に絡み付いている。

私と目が合うと、ちひろさんがニヤツいてる。

そして。

「玉城君は、頂くわね」

って、小声で私に告げる。

ハァー。

今日は、仕方ないか…。

私は、肩を落とすした。

本当は、今すぐ言い返したかった。

でも、こんな所で、大声を出すのは、お門違いだ。

私は、自分の気持ちを押し殺しながら、笑顔を絶やさなかった。

生徒が居なくなった体育館の後片付けを始めた。



黙々と片付けをこなしていく私達に優兄が。

「今日は、楽しかった。これからも頑張れよ」

って、言葉に私達は、笑顔になる。

よかった。

付け焼き刃でやったから、不安だったんだよね。

「優兄、こちらこそありがとう。忙しいのに演奏してくれて」

「こんな楽しい事に参加させてもらえない方が、悲しい」

「そう言ってもらえて、よかった」

「じゃあ、お先にって言いたいけど、里沙ちゃん、外で待ってるから」

優兄は、里沙に手を振りながら言う。

「里沙にベタ惚れだね」

私は、里沙に耳打ちする。

里沙の顔が赤くなる。

可愛いなぁ。

粗方片付いたところで。

「反省会しようか」

私が言うと頷く。

「今日のイベントの感想、どう思った?」

「皆が楽しそうに踊ってるのを見て安心した」

「意外と、皆食べるんだなと思った」

「そうだね。追加で飲み物買いに行った分も無くなってたもんね」

「初めてのイベントだったけど、何処か直した方がいいところとか、こういうところが良かったってこと、何かある?」

「そうだな。セッティングの細心部のチェックの甘さかな」

「後、連携が取れていなかったよね」

「そうだね。密に連絡取れなかったよね」

「今後の連携の取り方を考えないとね」

「後は、何かある?」

一同は、首を横に振る。

「何か思い付いた事があったら、随時言って。今日は、遅いので解散ね」

私は、皆を見渡し。

「お疲れ様でした」

最後に照明を落として、出口に向かう。

暗闇なので、目が慣れてなくて壁伝えで歩く。

ハァー。

やっと、終わった。

体育館を出て、鍵を閉める。

他の入り口の鍵もかかってるか確認する。

職員室に行こうとして、自分の持ち物を体育館に置きっぱなしなのに気づいて、再び戻ることに。


鍵を開けて、中に入る。

暗闇にも馴れて、ステージまでで行き、袖に置いていた紙袋を見つけ、それを持って再び出口に…。

その時、目の端に人影見えた。

エッ。

誰?

怖い…。

動けずにいた私を誰かが、抱き締めてきた。

「詩織、心配したよ。何時までたっても出てこないから…」

その声を聞き、安心して体を委ねる。

振り返らなくても、わかる。

大好きな人だもの。

「ごめんね。片付けと反省会してたんだ。今日しておかないと忘れてしまいそうだったから…」

「本当に?誰かに誘われてたとかじゃないのか?」

護の心配そうな声。

「誘われたけど、断ったよ。って言うか、怖い兄達が居るし。それに、体育館を閉めてから、忘れ物に気付いて取りに来たてたんだ」

「そっか…」

護の安心した声。

「ほら、早く閉めて帰るぞ」

私は護に促されて、体育館を出る。

鍵を閉めると職員室に鍵を返す、先生にお礼を言って出る。

「お前、本当に徹底してるな」

護が、苦笑する。

そうかな?

「さぁ、帰るか。明日の待ち合わせの時間も決めないとな」

護が、さりげなく手を繋いできた。

「そうだね」

明日は、護と久し振りのデート。

って、さっきの聞かないと…。

「護、さっきちひろさんと出てきたよね」

「あぁ。それがどうかしたか?」

どうかしたかって…。

私が、黙り込むと。

「何? 気になるのか?」

私は、黙って頷く。

「帰り際に掴まっただけだ」

「本当にそれだけ?」

「疑ってるのか?」

「だって、ちひろさん帰り際に私に“玉城君は頂くわね“って…」

私が、不安げに言うと。

「確かにちひろに誘われたが、断ったよ。オレが今ここに居ることで立証されるだろ」

真顔で返される。

「嬉しそうにしてたよね」

私の言葉に。

「それって、妬きもちか?」

って、嬉しそうに聞いてくる。

「……」

私は、何も言えなくなる。

「ハァ、全く…。ちひろとは、門の所で別れた。詩織が居るのに誘いに乗るわけ無いだろ」

呆れながら私の頭を撫でる。

「クラスの奴等にも誘われた。でも、先約があるからって、断った」

護が、耳元で言う。

「ありがとう」

嬉しくて、お礼を言ってしまった。

「当たり前だろ。こんな可愛い彼女を一人で帰すわけないじゃん。それに、おれ自身も詩織と一緒に居たかったしな」

照れ笑いする護。

私は、護に抱きつく。

「何?」

護の驚いた顔。

「嬉しいな。こんなに想われているんだなって、改めて思った」

「ハハハ。それより、その格好寒くないか?」

「大丈夫だよ。護に包まれてるから、暖かいよ」

「それならいいんだが…」

私は、護の顔を覗き込む。

「護は、心配性なんだから…」

「仕方ないだろ。オレは、お前が一番大切なんだから」

真顔で答える護に、私の方が照れる。

「顔、赤いぞ」

「誰がさせたんですか、誰が…」

私は、膨れながらそっぽを向く。

「そんな顔するなよ。可愛すぎて、食べたくなるだろうが…」

護が、耳元で囁く。

その言葉で、更に熱くなる頬。

「あれ、さっきよりも顔が赤いぞ」

護が、頬に触れてくる。

護の手が、冷たくて気持ちいい。

私は、その手に自分の手を重ねた。

「詩織」

ゆっくりと護の顔が近付いてきて、唇に軽いキスが落とされる。

「詩織、愛してる」

甘い囁きと共に、唇を塞がれた。


「明日、九時半に駅で待ち合わせな」

そう言って、護は帰っていく。

私は、その背中を見送った。


「ただいま」

家に入ると、何時もなら怒濤のようにやって来る兄達が来ない。

何で?

私は、リビングに顔を出すが、兄達の姿は、どこにもなかった。

「お母さん、兄達は?」

リビングで寛いでいた、お母さんに聞いてみる。

「隆弥はバイト、勝弥は彼女とデート。優基は、部屋で勉強してるよ」

と返ってきた。

そっか。

出掛けてるなら、うるさくないはずだ。

私は、自室に行く。

机の上に置いておいた作りかけのマフラーを仕上げる為に、編み出した。

護、喜んでくれるかな?

そう思いながら、一生懸命編み上げた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ